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古城と光芒
ある国の廃城で親子が遊んでいました。
遊び疲れた父親と少年は木陰に座って休むことにしました。
母親は少し離れたところでほほえましげに二人を見ていました。
家族は木漏れ日の中で幸せを感じていました。
少し休んだ父親と少年は再び廃城の庭を駆け回りました。
母親は微笑みながらやはりそれを見ています。
木々のざわめきが、終わ画の水流の音が
親子の耳に心地よく響いてきます。
日が傾いてきたので、親子は家に帰ることにしました。
「お父さん、今日も楽しかったね。」
「ああ、そうだな。」
親子の楽しげな会話が聞こえてきます。
「明日から仕事で昼は家を空けることになる。一緒にいてやれなくてごめんな。」
「ううん、お母さんがいないのにはもう慣れたから大丈夫!」
そう笑って言う子供の顔は少し寂しそうでした。
母親は寂しそうな、それでも安心した表情で風と共に消えていきました。