第3話! 実力未知数?
ファルクスの街に着いた私たち
「わあー!」
外から見てもかなり大きい街だったが門を抜け中に入るとそこはレンガ造りの建物が並んでおり、あまりの非現実感に呆気に取られてしまった。
「この道をまっすぐいくと噴水のある広場があります、そこを右に曲がると冒険者ギルドがあります。
まずはそこに行きましょう」
女神様の案内に従って歩くと大きな建物が見えて来た、あれが冒険者ギルドという物なのだろう。
「それでは中に入って冒険者登録を済ませましょう」
「魔王を倒すのに冒険者になる必要があるんですか?」
「いえ、そういう訳ではありませんがこれから長い旅になります。
冒険者ギルドは今では街の何でも屋というイメージが強いですが、元は文字通り遺跡や未踏の地を探索する冒険者を斡旋する場所です。
これから長い旅になります、旅に関するサービスも一応残っているので利用できるものは何でも利用しましょう、その方が楽できますからね」
どうやらパッとやってきてパパッと魔王を倒して終わりという訳にはいかないようだ。
まあ、分かってはいたけど少し不安になってきた。
「失礼しま〜す...」
ギルドの扉を開けて中に入るとロビーになっておりたくさんの人が集まっている。
テーブルを囲んでご飯を食べたり酒を飲んでいる人や沢山の紙が貼られたボードの前で何か相談している人たち、力比べをしているのか腕相撲をとっている人もいる。
私は少し足早に受付であろうカウンターに向かった。
「冒険者ギルドへようこそ!
本日はどう言ったご用件でしょうか?」
カウンターにいる受付嬢が元気よく話しかけてきた。
「えっと、冒険者登録って言うのをしたいのですが...」
「冒険者登録ですね、ではこちらの紙にサインをお願いします」
と言って一枚の羊皮紙を渡してくる。
置かれているペンを手に取り紙に名前を書く。
「?」
名前を、書いた...
日本語じゃない文字で...?
「???
何でこんな文字が書けるの?」
「ああ、それは私が教えました」
と、女神様がよくわからないことを言ってくる。
「教えたっていつ?どこで?」
「まあ、この世界に転送する時ですね。
いわゆる睡眠学習という奴です」
なんか違う気がする。
でもこの世界の文字や言語が分からないなんて事が無いのはいい事なのかな?
早いところ、この書こうとしている事と実際に動く手の違和感に慣れよう。
「これでよしっと、ではこのカードをどうぞ」
受付嬢から一枚のカードを受け取った。
「これは?」
「それは冒険者証明書です。
それを持っていることでご自身が冒険者であるという証であり、全国の冒険者ギルドでサービスを受けることが出来るのです。
なので無くさないで下さいね。
絶対に!無くさないで下さいね?」
「は、はい...」
とても強く念を押された、無くす人が多いのだろう。
「それでは、これからサチさんの実力を測りますね。
杖を持っているという事は魔法使いという事でよろしいでしょうか?」
「はい、多分...」
すると受付嬢はカウンター下から眼鏡のようなものを取り出した。
「それはなんですか?」
「これは色んな物に込められた魔力を測る魔法のレンズです。
もちろん人の魔力も見れるのでこれでサチさんの魔力を測り、適正な依頼をこなしてもらいます」
(依頼を受ける気は無かったのだけれど)
「うーむ、こ、これは...!?」
受付嬢の顔が強張る。
「えっと、どうかしました?」
「なんて魔力量...こんなの初めて...!?」
「え?」
どうやら私は凄いのかもしれない。
「そんなに凄いんですか?」
「ええ、とても、いえとてつもない強い力を感じます、その杖」
「え?杖?」
え?私じゃないの?
「一体どこでそんな杖を手に入れたんですか?」
「え、え〜っと...」
「本当のこと、言わない方がいいですよ」
女神様が忠告してくれた。
「あ〜、凄い人からの授かり物、です。
誰からは言えませんけど...」
「なるほど、わかりました深くは問いません。
なにか理由があるのでしょう」
「あの、ついでなんですけど。
私ってどのくらい強いんですか?」
「え?サチさんは...えっと...げ、あ、いや...
中の下、くらい....ですかね......」
めちゃくちゃ濁された、一瞬下って言いそうになってた。
「あ、はい、わかりましたー」
こんなんで魔王を倒せるのだろうか、私は。
「あの、それで一つ依頼を頼みたいのですが」




