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第1話 いざ!異世界へ!

駅のホームで帰りの電車を待つ、今日は豊作だった。

欲しかった推しのタペストリーが言い値で手に入った。

これを飾るために部屋を片付けないといけない。


それにしても少し買いすぎちゃったかな、かなり重くなっちゃった。


持っている紙袋には推しのタペストリー、同人誌やランダム封入の缶バッチが大量に入っている。

なかなか電車が来ない、各駅停車でしか帰れない者の性である。


明日から高校生デビューか...


思い返せばひどい人生だった。

小学生のころからデブだといじめられ、中学に入ってからよりひどくなった。

そんなこともあり引きこもりになってしまった。

だがそんなある日「彼」に出会った。一目ぼれだ。


「彼」は王族の生まれだったがメイドとの子供であったがために子供時代にほかの兄弟や周りの人からいじめを受けていた。

だが「彼」はそんな状況を変えようといじめに耐えながら猛勉強し魔法の技術を磨き主人公の通うことになる魔法学園の特待生にまでなった。

そこで平民でありながら貴族の通う学園に入学したことをよく思わない人からいじめを受けている主人公をかばい、二人はよき友人となる.....


私はそんな「彼」と自分の今を重ねてしまった。

正直、おこがましいとは思っているが、私も「彼」のように変われるだろうか、とそう思ってしまった。

「彼」に出会っていなければ私は今頃部屋の隅でいじけていただろう。

でも今は違う私は変わるためにできることをした。

デブから変わるためにダイエットをした。いい高校に行くために勉強をした。

結果一人で推しのグッズを買いに行けるくらいには見た目も整ったし、メンタルは回復した。私立だしちょっと遠いけどいい高校に合格できた。

正直今でも怖い。

でも私は変わった、これから新しい人生が始まる。


「2番線に電車が参ります。黄色い線の内側でお待ちください。」


ようやく電車が来た



ドンッ!



「え?」



何かに押された。

慌てて体勢を立て直そうとしたが持っているグッズのせいで足がもつれてしまった。



「あっ」



そのまま私は線路に飛び出してしまった。







「....んっ」


眩い光で目を覚ます。


「あれ?何があったんだっけ?」


思い出すのは線路に倒れて動けない私、スマホを片手に持って慌てている男、とその他大勢。



「ていうかここどこ?病院...っぽくはないか」



あたりを見渡すとまるで絵画のような純白の宮殿のような場所におり、そして階段の上に玉座に座っているきれいな女性がいる。



「目が覚めましたか?」


女神が如き神々しさをまとったその女性が話しかけてきた。



「えっと、私はどうして...それにここは...」


「混乱してしまうのも無理はありません、何せ死んでしまったのですから。」



ああ、やっぱり死んじゃったんだ私。


「体は動きますか?記憶に混乱はありますか?」


「え?えっと」


立ち上がって体を動かす、痛みやしびれもない。


記憶も死んでしまう直前の記憶はあやふやだが自分の名前、日野森幸(ひのもり さち) 明日から高校生 好きな食べ物コロッケ 好きなアニメ魔法学園グレイトジャーニー


うん、ばっちりだ


「大丈夫です、問題ありません。

それで、これから私、どうなるんですか?やっぱり閻魔様のところに?」


「実はあなたにお願いがあるのです」


お願い?神様直々のお願いとはいったいどういうことだろう。


「私はあなたの世界の神様ではありません。

いわゆる異世界の神なのです」


「異世界?の神様がどうして?」


「私の世界はいま侵略者によってその秩序が乱されているのです」



それはまたスケールの大きい...


「そんなに強いんですか?その..侵略者って」


「今、奴は自らを魔王バハムートと名乗り世界を我が物にしようとしています。」


「それでどうして私に?」


「私も最善を尽くしましたが奴にかないませんでした。

それで最後の手段として異世界からの使者、転生者に頼らざる負えなくなりました」


「いやいや、だとしても私、普通の女の子なんですが...」


「今はそうかもしれません、ですがこの空間に現れたことそれは特別な意味があるのです

それに転生者はあなただけではありませんすでに私の世界へ召喚された転生者もいます。

お願いします、どうか私の世界を救ってください。」


そういうと女神さまは私に向かって深々と頭を下げた。

きっとそれほどまでに厳しい事態なのだろう。



「ごめんなさい」


私にはできない



「っ...!なぜですか?」


「私はこれ以上生きていても仕方がないんです」


そう私は死んだ、つまりもう二度と「彼」に会えないということだ。

そんな人生耐えられない。



「もちろん私からも全面的にサポートします!望むならどんなことだって...」


「だったら一ついいですか」


「なんですか?」


「生き返らせてください。

私をもとの世界に返してください、それなら異世界だってなんだって救って見せます」


「....」


女神の顔が強張る。

きっと神様であっても死んだ人間を生き返らせるのは難しいことなのだろう。



「わかりました、その願いかなえましょう」


「本当ですか!」


「はい、私の世界を救ってくれたあかつきにはあなたをもとの世界に蘇らせることを創造神の元に誓います。」



なんか凄いことになったかもしれないけど、


「必ず世界を救ってみせます」


本気の思いには本気の思いで返す。「彼」から教わったことだ。



「それではこれを」



そういうと女神は両手を前にかざすと突然光りだし、光の中から一本の杖を取り出した。


「その杖は私の力を込めた特別な杖です。

そして短い間ですが私と会話できるようになっています。

見知らぬ土地にいきなり放り出すわけにもいきませんからね」



「ありがとうございます」



「それではあなたを異世界へと転送します、準備はいいですか?」



「.....はい!」




正直まだ状況が飲み込み切れてないし不安で胸がいっぱいだ。

でもやるしかない「彼」にもう一度会うために、元の世界に帰るために。



「それでは、いきます!」



そういうと女神は再び両手を前にかざし何か呪文のようなものを唱え始める。

すると足元が光だし一瞬にして私は光に飲み込まれてしまった。

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