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俺の場合、告白の話をすると、必然的に失恋の話をすることになる。
思えばあれが、最初で最後の失恋だった……
3月10日
その日は俺たちの卒業式だというのに、天気は俺たちの門出を祝福していないのか、かなり冷える日であった。
散るのは桜ではなく雪。
春の雪は美しくも悲しい。
高校の卒業式というものは、これまでの卒業式とはまた、違った感情が生まれる。
中学から高校に行くにあたり、離れ離れになる友人はいたが、いっても隣町の高校に行くってレベルで、住む場所さえ代わらなければ、今まで通り普通に遊べないこともない。離れ離れになったことを、そこまで実感することはなかった。
でも、高校は違う。
就職や進学の関係で県外に行く人間は多くいる。
ウチの学校の場合、地元に残るやつの方が少なかった。
本当の意味で離れ離れになる。会いたいと思って会える距離ではなくなるから。
当然、俺も県外就職という選択肢を選んだ。
……ウチは両親の折り合いが悪く、楽しいと言えるような家庭ではなかったから、早く家を出たかった。
俺が入学式の日以来、ずっと好きだった彼女は友だちと笑いながら話をしたり、写真撮影を楽しんだりしている。
彼女は地元に残る組だ。実家の家業を手伝いながら、大学で勉強をするため、実家から1番近い大学を選んだらしい。
彼女の連絡先を俺は知らない。
彼女もまた、俺の連絡先を知らない。
おそらく、俺が彼女と顔を会わすのもこれが最後かもしれない。
このまま、好きだという気持ちを伝えずに後悔するか、好きだと伝えた上で後悔するか。
同じ後悔なら後者だろう……
俺は、彼女に告白することに決めた。
……とは言っても結果は分かりきっている。
絶対に断られる。
彼女には、今 付き合っている人がいて、同じ大学に通うことが決まっている。順調にいけば、ゴールインするんだろうな。彼女の結婚式に俺が呼ばれることはない。