表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

1

俺の場合、告白の話をすると、必然的に失恋の話をすることになる。

思えばあれが、最初で最後の失恋だった……



3月10日 

その日は俺たちの卒業式だというのに、天気は俺たちの門出を祝福していないのか、かなり冷える日であった。



散るのは桜ではなく雪。 

春の雪は美しくも悲しい。



高校の卒業式というものは、これまでの卒業式とはまた、違った感情が生まれる。 


中学から高校に行くにあたり、離れ離れになる友人はいたが、いっても隣町の高校に行くってレベルで、住む場所さえ代わらなければ、今まで通り普通に遊べないこともない。離れ離れになったことを、そこまで実感することはなかった。



でも、高校は違う。

就職や進学の関係で県外に行く人間は多くいる。

ウチの学校の場合、地元に残るやつの方が少なかった。

本当の意味で離れ離れになる。会いたいと思って会える距離ではなくなるから。



当然、俺も県外就職という選択肢を選んだ。


……ウチは両親の折り合いが悪く、楽しいと言えるような家庭ではなかったから、早く家を出たかった。



俺が入学式の日以来、ずっと好きだった彼女は友だちと笑いながら話をしたり、写真撮影を楽しんだりしている。

彼女は地元に残る組だ。実家の家業を手伝いながら、大学で勉強をするため、実家から1番近い大学を選んだらしい。



彼女の連絡先を俺は知らない。

彼女もまた、俺の連絡先を知らない。 

おそらく、俺が彼女と顔を会わすのもこれが最後かもしれない。


このまま、好きだという気持ちを伝えずに後悔するか、好きだと伝えた上で後悔するか。


同じ後悔なら後者だろう……



俺は、彼女に告白することに決めた。

……とは言っても結果は分かりきっている。

絶対に断られる。



彼女には、今 付き合っている人がいて、同じ大学に通うことが決まっている。順調にいけば、ゴールインするんだろうな。彼女の結婚式に俺が呼ばれることはない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ