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最強もふもふ  作者: 木常
最凶軍団サクッと誕生編
3/16

003 その名はアニキ?

 俺は気ままに飛び続けた。どこに向かっているのかも分からない。時間もどのくらい経ったのか分からないがちっとも疲れないのであまり気にならない。


 今どの辺を飛んでいるんだろう?そもそも世界ってどのくらい広いのか?


 俺は気まぐれでマップを呼び出してみた。 すぐ頭の中に今飛んでいるあたりの全体の地図が出る。 見渡せる範囲の10倍くらいだろうか。 どのくらいの範囲などと具体的には考えていなかったが、丁度いいくらいの縮尺で出てくるあたり、やはりこのインターフェースのスキルを考えた者は優秀だ。


 試しに縮尺をいろいろ変えてみたが、広くは地球全体、拡大すると住宅の庭木が分かるくらいまで大きくなるようだ。 地図上にいろいろな色の点があったのは、人やエルフや魔物なのか、あるいはダンジョンの入り口や宝箱なのか。 まあ、おいおい検証していけばいいだろう。


 検索機能もあるのではないかと思うと、すぐに検索画面が出てきた。 便利なもんだ。


『どのような事を調べますか?


 ステータス画面へ →


 スキル詳細画面へ →


 言葉や物事の意味や詳細 →


 時間や距離や計算など →


 人物図鑑 →


 魔物図鑑 →


 動植物図鑑 →


 鉱物金属図鑑 →


 魔法図鑑 →


 武器防具図鑑 →


 魔道具機械図鑑 →


 いろんな機能があるなあ。アイテムボックス内のアイテムだけで1000万点を超えてるから、そりゃ検索機能も重要か。

 俺はまだ何も知らないから、とりあえず誰かに会って話でも聞いてみるか。


 マップ上の検索 → 人族や魔物の検索 → 検索条件 攻撃力20万以上 半径100km以内 ☆検索実行 』


 『該当ナシ』


 うーん、つまらない。 攻撃力を俺の1/10程度にしたから簡単に見つかるかと思ったのだが。


 弱い奴だと話も聞いてくれずに怯えるだけになってしまいそうなので、攻撃力はそのままの設定で捜索範囲を半径1万キロ以内にしてみた。 これなら地球の半分近くだから流石に見つかるだろうと思ったらビンゴ、今度は数か所で反応があった。


 よし、ここから一番近くの該当者のところに行ってみるか。 これは楽しみだ。




 一番近い紫に点滅している点は、ここから2000kmほど東にあった。 特に急がずに飛んだのに2時間くらいで着いたから、どうやら俺は音速に近い速さで飛んでいたらしい。 下手に音速を超えると衝撃波を出して注目されるかもしれないから丁度いい速さだな。この竜は使い勝手がいいかもしれん。 お気に入りフォルダーに入れておこう。


 俺は地図を拡大して、攻撃力20万超えの相手の場所を絞りこんでいった。地図で確認しなくても見えてきたな、アイツか。8000mを超える山が連なる山脈の中、一際高い山の中腹に、そいつはいた。 今の俺と同じ竜だな。


 そいつもかなり前から俺の接近に気付いていたらしく、既に警戒オーラで満ち溢れている。


 そうでなくてはいけない。 せっかく世界最強になって一番最初に会う相手が、敵かもしれない相手の接近に全く気付かないようなボケ野郎だったらガッカリだからな。


 俺はある程度スピードを落とすと、そのまま真っすぐ そいつに向って飛んで行った。 俺がある程度まで近づくと、そいつはついに岩棚の巣から飛び立ち結構なスピードで向ってきた。


 「おい、てめー、何の用だ? この辺りはこの俺様の、スカイスクレーパー様のナワバリだ、許可なく侵入するのは許さん! 一体何の用があってここに来た?」


 また時代錯誤な暑苦しい奴が出てきたなあ。 ナワバリとかヤクザじゃあるまいし、許可とかボケた事を言っているが、その許可はどこで取れるんだ?麓に許可証発行所でも作ったのか?無きゃイチャモンじゃねーか、しかも何の用とか聞いてくるが、どうせ興味もないくせに。


 「おい! 何ニヤニヤしながら黙ってるんだ?! 口が聞けねーのか?あん? それとも耳が聞こえねーのが?  はっ、とんだガイジだな。」


 駄目だ、こいつ知能のカケラも無さそうだ。


 「これだけ俺様が警告してやってるんだからな。 出ていかなくて怪我しても知らねーからな!」


 そう言うと、スカイスクレーパーは、凍てつく吹雪を吐き出して攻撃してきた。威嚇射撃のつもりらしく、俺には当てないように俺の回りをぐるっと一周するような動きだ。言葉とは裏腹に甘い奴だなあ。


 「俺様の攻撃にビビッたか? 言葉が分からねーガイジでも、俺様が怖いって事くらいは分かっただろ? そこに這いつくばって許しを請うかすぐに逃げ出せば、優しい俺様は許してやるんだぜ。」


 空の上で『這いつくばれ』とか! ほんとアホだな。そろそろ寝言も飽きてきたから、ちょっと遊んでやるか。


 俺はシッポの先端で、スカイスクレーパーの鼻先をちょっと軽めに叩いてやった。


 「ほげっ?!! ほうわぁぁぁぁぁ・・・・・・・・」


 スカイスクレーパーは変な声を上げながら鉄棒の前回りのような感じで7回転すると、今度は吊ってある糸が切れたみたいに突然に錐揉みをしながら落下していった。


 ふむ、どうしたもんか。この展開は読めなかった。もっと強そうに見えたのになあ。下まで様子を見に行くか、それとも放っておいて次の強そうな奴の所に行くか、そんな事を考えていると、真下から猛烈な勢いでヤツが上昇してくるのが感じられたから待つ事にした。


 「おらおらおらおら~、貴様!不意打ちとは卑怯者のする事だぞぉ、そんな奴には俺様がおしおきしてやるから感謝しろ~~!!」


 物凄いスピードで上昇しながら、7色の光線を打ってくる。 さっきの吹雪と違って今度は光の速さなので避けるのは不可能だ。 ん? 光の速さだからピカッとした瞬間にはもう攻撃が届いているはずなのに、俺はどうして来るって分かったんだ? ああ、これが未来予測能力って奴か。


 魔法障壁を張るか瞬間転移するというのが光線攻撃へのセオリーなのだろうが、俺は敢て攻撃を浴びてみた。 さて、どうなる。


 一瞬で俺は7色の光に包まれる。 氷属性の猛烈な冷気、炎属性の猛烈な熱気、土属性の物理的な衝撃、光属性の内部まで沁み通るような痛み、闇属性の心を折らんとする脱力感、生物魔法の肉体の動きを封じる圧力、風属性の切り刻む刃、全てが同時に俺の全身に襲い掛かってくる。それは10秒ほど続いた。


 なるほど、流石に攻撃力20万超えだ、結構痛いぞ。 確かめてみたら、俺の体力が35万から15万に。 20万ほど持ってかれていた。ふむ、もう一回くらったら死ぬのか、それは大したもんだ、褒めてやらなきゃ。


 スカイスクレーパーは凄い勢いのまま俺の高さまで一気に登ってくると、俺のほうを向いて哀れな声を出した


 「うわあ、ごめんよぉ、また怒りに任せてリミッターを切っちゃった。 俺の悪い癖だ。 ごめんよぉ、見知らぬ竜、俺は別に殺すつもりはなかったんだ。 でもよぉ、おまえも悪いんだぜ、俺の忠告を聞かないし、それに普通は避けたり障壁張ったりするだろ? そのまま受けるバカはいねえよ。つまりお前がバカだったんだよぉ、だから許してな、お前がバカで俺様が強過ぎたのが悪かったんで、別にお前が悪かったわけじゃないからな。」


 何か言ってるが、どうせ聞く価値もない事だろう、それを遮るように、俺は一言言った。


 「うむ、思ったよりも強いな、お前。 褒めてやる。」


 「!!!!!!!!!!!!!!」


 スカイスクレーパーは空中で凍り付いた。口をあんぐり開けて、言葉も出ない。


 「どうした? 俺が喋れたので驚いたか?」


 「き・・・・きさま、どうして生きている? あ、俺様に分からないように一瞬だけ転移してすぐ戻ったか? それとも俺様には見えない障壁を張ったか?」


 ほう、思ったよりもバカではないのか、的確な判断だが、それ以前に俺が魔法に飲み込まれるのは確認しているはずだからな、ただの現実逃避発言だろ。


 「いや、普通に攻撃をくらって普通にしているだけだが?」


 「嘘をつくな! 俺様の攻撃を受けて生きていられるはずがない!?」


 「普通に生きているが?」


 「貴様ぁああああ! まだ言うか?!! これ以上言うなら、もう一発!!!!」


 「ああ、それには及ばん。結構痛かったからな、もう一度は遠慮願う。代わりに、俺の魔法を見せてやるから、待ってろ。」


 出鼻をくじかれたスカイスクレーパーはキョトンとした表情で俺のほうを見ている。 いや、さっきから思っているが口は閉じた方がいいぞ。


 俺はさっきの魔法を思い出しながら、模倣するように口の中に魔力を貯めていく。あの程度の魔法であれば模倣スキルや複写スキルを使うまでもない、自分で出来るであろう。


 「あわわわわわ、なんて魔力?!!! ま、まさか俺様よりもずっと上???」


 俺は真下の森林に向けて、先ほどと同じような魔法を放った。 若干、炎魔法が爆炎魔法に、風刃魔法が暴風斬魔法にというようにアップグレードしていたような気もするが、まあ、細かい事ぁ気にしない。」


 目がすっかり点になって口を閉じるという単語すら忘れてしまったようなスカイスクレーパーは、それこそ何も言えずに、ただそのまま浮いている。


 ふむ、こんなもんか、それじゃ、次の強い奴のところに行くか。 邪魔したな、と思い、飛び去ろうと向きを変えた時、不意に後ろから呼び止める声がした。



 「アニキ!!!!!!! アニキと呼ばせてくれ!!!!!」 

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