第8話 青春
「ホントに部活作る気ですかぁ?」
「ああ、其の方がいろいろ都合がいいだろ」
三人で食卓を囲み、二葉ちゃんの料理に舌鼓を打ちつつ帰りの話をする。
てか二葉ちゃんの料理まじうめぇ。中三にしてこの領域とか。どんだけ東のやつ料理任せてたんだよ。
「え、なに?お兄ちゃん部活作るの?」
「お、おう。まあ作れたらだけど…」
「どんな部活にするの?」
「んーまだ何にも決めてない。それこそ先生たちから反対を食らう可能性の方が高いし…」
「何するかも決めてないのに部活作ろうとしてるの?変なの」
俺もそう思うよ。
だけど案外部活を作るっていうのは妙案だと思う。
というのも、週に一回の死の運命から春城を守るためにも俺は春城と同じ部活に入る必要がある。
なるべく自由に動ける部活がいいなと思っていたところにこの女神の一言、「部活を作る」である。
確かに部活を作れば少なくとも放課後は春城と一緒にいられる…なんで俺がこんな乙女チックなこと言わなあかんのか
「何するかもわからないのに部活作ろうとしてるんですかぁ?おまぬけさんですかぁ?ぷぷ」
こいつは二、三時間前の自分の言ったことさえ覚えてられんのか?!鳥か?その頭の髪飾りはトサカを象徴してるのか?
「何ですか?この飾りはあげませんよ?とっても価値のある代物なんですからこれは」
「そうか、この家が金に困ったら真っ先にそれを売ってやるよ」
「お兄ちゃん、そんなことしちゃダメだよ」
「あっはい。」
「…ほんと二葉ちゃんには弱いですねぇ…」
基本的に女に弱いんだよ…いつ豹変するかわからんし。
しかし、部活か…
あの青春バカが喜びそうな部活にしねーと入んないよなぁ。さて、どーするか
「お兄ちゃん黙っちゃった。」
「きっと変な妄想してるんだよ。私たちの
ゲシッ!!
「おっとすまない。足が長すぎた」
「やりましたねやりましたね!!最低ですよ。女性に手を出すなんて!!」
「手じゃなくて足だしー」
「二人とも行儀悪い!!」
こいつのせいでいっつも二葉ちゃんに怒られてる気がする
「自業自得ですよ」
だから読むなって
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朝の登校時間は嫌いじゃない。
地獄が始まる少し前っていうのは、なんというか少しワクワクする。地獄とわかってて向かう俺かっけー的な
おそらく心の防衛機能がバグってる。嫌なことを嫌だと感じさせない俺の心。着々と社会に都合のいい心になっていくなぁ…
おっと、部活部活、どうするか。
青春らしいといえばやはり運動部だろう。しかし運動部で三年間控えだったことを誇らしく、俺の青春だった、といえるほど俺は強くない。別に控えだった人を馬鹿にしてるわけではない。ただ俺が実際そうだっただけだ。
あの時俺を野球部に誘った東山君。僕は今でも君に逆恨み中です。
それに運動部を新しく作るのはなんとなく難しそうなので却下。となると
「文化部か…」
「なんですか?文化部作るんですか?」
「ああ、そうしようかと思ってる。どんなのがいいと思う?青春らしさを満喫できる部活」
「そうですねぇ。料理部とかどうですか?この学校ないですし」
「家庭科部があったろ?そこで料理するんじゃね?」
そもそも青春らしいかも審議である。
「じゃあお菓子部はどうです?!いまだこの学校に無く!まだ見ぬ先輩後輩とお菓子を作り!そして高めあう腕!どうです!完璧でしょう!」
「だからそれは家庭科部の守備範囲だろ?ていうかお前は自分が食べたいだけだろ」
「な、ななななにをぉ!!そんなことないですよ!妄想は頭の中にとどめておいてください!!」
「まあお菓子部は却下」
「ええー、せっかく食べに行けたのに!」
やっぱりそれ目的じゃねーか。ん?なんか今違和感が…
「お菓子部を作らない京一さんと話す意味などありません!!」
そう吐き捨ててダッシュする女神。いつもそうしてくれると助かるんだけど。同級生と一緒に住んでるっていうのがばれたくないので家の近くで一緒に登校するのは本来なら控えたい。
さすがに一つ屋根の下に同級生が一緒に住んでるっていうのがばれるのはやばいと思う。
主にモテない男子及び女神と仲いい女子からの攻撃が。というか俺だったらまず僻む。
傍から見たらかわいく見える子と一緒に住む野郎なんて磔拷問だぜ。俺個人としてはあの貧乳よりも二葉ちゃんの方を意識しちゃうけど。いや変な意味でなく。
「ハァハァ、ゲホッ、オオエェ」
「…何してんだ」
「走るって、ハァ、いう行為は、ゲホッ、本来、フゥ、下界の愚民しかしない行為で私が慣れていないのも当然ですよね、オオエッ。私を助ける権利を、あなたに授け、ます、ゲホッ」
「そんだけ喋れるならダイジョブだな、水だけ恵んでやる」
「そ、そんなぁーーー!!町内の奥さーん!!この人は実の妹に対してよく
「やめろやぁ!!」
結局朝からこの女神をおんぶする羽目になる
てかコイツ50メートルも走ってなかったぞ…
こっちの世界の一か月どんだけ走ってなかったんだよ
「遅いですね早く歩いてくださいよ」
「貧乳のくせに誰かさんは重いんですね、威厳の重さかな?」
ピキッ
「通学中の僕たちー。このお兄ちゃんはね、家の引き出しの中のコレクションがねーそれはそれは歪んだ
「羽毛のように軽いですね女神様」
「わかればいいんですよ」
前世の俺の情報はせこくない?
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何とか重量級まな板を抱えて学校につく。
女神はぐったりと机に突っ伏す。
さて、アイツらは居るかなと
「おっす東!!」
「朝からうるさい」
「う、うるさいはひどくない?まあいいけどさ。部活、やっぱ作んのか?」
「まだ考え中…あ、尚江が入るところ知ってるか?」
「永久ならまだ決めてないらしいぜ。なんせ色々まわってるらしい」
「はぁ?なん
「すべての部活にそれぞれの良さがあってね。その中で一つに絞るのはなかなかに酷なものなんだよ」
「うおっ!!!」
耳元で囁かれると同時にガターン!!といい音を立てて俺は後ろに倒れる。
「そこまで驚いてくれると驚かしがいがあるってものだよ東。だけど椅子漕ぎはやめた方がいいよ。驚いたりしたときに危ない。」
「尚江、おまえが驚かせたんだろうが!」
「僕はただ君に椅子漕ぎの危険さを教えただけだよ」
ぐっ、ただ会話に入ってきただけだしなんもいえねぇ!
それに…
クラスの全員がこっちみてる。見るなみるな!!こんな時ばっか見やがって!!どうせなら俺が長座体前屈で学校新記録だしたときに注目しやがれ…新記録なのに誰一人興味も垂れない悲しみ、誰がわかるだろう…
「永久ちゃんまだ決まってないんですね!意外です!」
しれっと会話に入ってくる女神。
「どれもこれも楽しくてね。ま明後日には決めるさ。大事な三年間の高校生活を決める事柄だししっかり考えるさ。ところで東、部活を作るんだって?」
「あ、ああ」
「君にそんな積極性があるのは意外だね」
まぁ目立ちたがり屋ではないからな。うまいこと言って部長も春城にするつもりだし。
「まあ俺だって青春を楽しみたいんだよ」
「ふむ、まあそういうものか」
「いや、お前が言ったじゃん【大事な三年間の高校生活を決める事柄】だって。」
「まあ、な。なら一つアドバイスだよ。」
「お?」
「青春を楽しむには青春を知る必要がある」
「お、おう。それで?」
「以上だ」
「いや、どーゆ―ことだよ!」
なんだ?中二病か?僕っ娘ロング中二なんて属性過多だぞ?スリーアウトだぞ?
キーンコーンカーンコーン
「おっと授業が始まるぞ!部活づくり頑張ってくれ!!私にできることならなんでも付き合うぞ!」
「いまなんでもっt
「おらー席つけーみんな大好き古典の時間だー」
あ、くそ、戻りやがった。
青春を知る?どーゆ―ことだ?
【一限目】
うーん…
【二限目】
うーーん…
【三限目】
うーーーん…
【四限目】
うーーーーん…
そうか!!
キーンコーンカーンコーン
「しゃあ!!飯飯!!東!飯の時間だ!!」
「おう!そんで春城、一つ聞いてくれ」
「うん?なんだ?」
「俺と一緒に作ろう!【青春部】を!!」
「は?」
あ、やっぱ恥ずかしいこの名前。
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