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月曜に初めて月曜に始まる  作者: 荻戸 凌丞
第一章 入学式の帰りに目の前で死ぬ男
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第3話 月曜からのやりなおし

「なんだなんだ!?事故か!?」

「高校生がトラックにひかれた。」

「おい、息してないぞ?!」

「そこの君!携帯は持ってるか?!」


呆けていると知らないおじさんか尋ねられる。


「え、あっはい」


「早く119!友達だろう!間に合わないぞ!」


そう怒鳴られ俺は、のろのろと携帯を出し、救急車を呼ぶ。

なんだ?なんで今日、轢かれてるんだ?入学式の日に車にひかれるなんて俺の記憶にはないぞ?違う世界線だからって唐突すぎないか?

そもそも俺はどうなる。なんで今俺は普通にここにいる。こっちの世界の俺が死んだら月曜日に戻るんじゃなったのか?まだ死んでないのか?けど心臓止まってるって。


思考がまとまらない。道路に目を向けると、春城が転がっている。いや、どう見ても春城だったものだ。明らかに死んでいる。じゃあどうなる?俺は東として一生生きるのか?

そもそも俺は本当に春城フミヤだったのか?ただの夢を見てただけなのか?


群がる人々から離れ、俺はふらふらと家路をたどる。

あれ、救急車の人たちに説明とかしなきゃいけないんだっけ?でも明らかにあれは死んでいた。じゃあ説明もくそもないだろう。俺が説明してもあいつの命がどうこうなるわけじゃない。




「ただいまー。お兄ちゃん、なんか帰り道で事故起こってたよ。なんかお兄ちゃんの高校みたいだよ?知り合いとかじゃなかったよね。」


二葉ちゃんが帰ってきたみたいだ。あれ、俺の妹だっけ?東の妹って俺の妹だっけ?


「お兄ちゃんも気を付けてね。お兄ちゃんちょっと抜けてるところがあるから…」


「…」


「、お兄ちゃん?」


「…外出てくる」


「え、ちょっとどーしたの!?」

俺は公園でボーっとする。案外人は自分一人でも落ち着けるものなんだな。

心傷は時間が癒してくれるっていうけどまじその通りだな。タイム イズ メディシン。それとも俺のメンタルが強すぎただけ


うん、俺は間違いなく元春城フミヤ。女神のせいで今は東の体に乗り移っている。

よし、大丈夫。自我ははっきりしてる。さっきはこう、自分が何者なのかっていう若者あるあるにどっぷり浸っていたみたいだ。全く俺もまだ若いぜ!


とまぁ冗談はこれくらいにして、さすがに家に帰るか。もう夜も更けている。というか日付が変わってしまう。

二葉ちゃんも心配してるだろうし。しかし混乱しているからといって冷たかったかな?。早く謝らないと。


俺は足を一歩踏み出す。そう踏み出したはずなんだけど、

何故かベッドの中に入っていた。


「こーれは...」


時計を見る。

2017:04:10   6:30


体を起こし部屋を見る。間違いなく東の部屋だ。

日付も昨日のまま。

もしかしてこれが【やりなおし】ってことか?

けど、1週目と起きた時間が違う。

部屋を出て階段を下りる。


「あ、お兄ちゃん。今日は早起きだね!。」


「お、おう」


東の妹、つまり今の俺の妹の二葉ちゃんと朝食をとる。


「今日から高校生だね!お兄ちゃん。」


「そ、そーだね」


「ま、あんまり人に気を遣いすぎないようにね。それで中学大変だったんだし。」


え、そんなの東からきいたことないんですけど


「あ、ああ。わかってるよ。」


「お兄ちゃんはもう少し自分勝手に生きたほうがいいと思うよ?あ、二葉食べ終わったから行くね!」


「お、おう。いってらっしゃい」


うーん、俺第一声【え、】か【あ、】じゃなかったか?妹との距離感がわからん...まあ探り探りやってくしかないか。

教室に入り、再び寝たふりをしていると、また話しかけられる。


「なぁ!どこ中?俺は第一中だけどお前は?」


「僕は、最近ここに引っ越してきたんだ。」


「おおそうなのか!?俺の名前は春城フミヤ!よろしく!」


「おお、僕は東。よろしく。」


とくに春城に変わった様子はない。やっぱり一週目と完全に同じ感じなのか?





「今日から君たちの担任となった山田です!一年間よろしく!とりあえずー、君たちも自己紹介しようか」


昨日自己紹介した人たちにもう一回自己紹介するってなんかつらいな。まるで誰にも覚えられない人間だよ君はって言われてる気分。


「僕の名前は東です。高校からこの辺りに引っ越してきましたよろしくお願いします。」


「俺は春城フミヤ!親が何を考えたか知らないけどこのご時世にカタカナ名前だ!まあ呼ぶぶんには変わらないんだけどな!趣味とかは現在模索中!好きな食べ物はシリアル!みんなよろしく!」


着々と自己紹介が終えられていく。自己紹介が変わってる人もそこそこいた。多分俺がちょっと分を変えたからそっからバタフライエフェクト的に変わったのだろう。ということは俺の行動次第であのトラックの動きもかえられるかな。さすがに無理かな?

おっ次でラストか。二回も自己紹介を全く同じ相手から聞くのも中々にかったるかった。もう次は失敗できないな。

そんなことを考えながら最後の自己紹介を聞こうと目をやる。


よく転校生に一足先にあった物語の主人公が、その転校生が教室に入った瞬間「あー!!」などと叫ぶが、そんなことはリアルではしない。人が驚いたときはただただ黙りそいつを凝視するものだと、俺は今日一つ学んだ。


「私の名前は遠寺 恵瑠です。みなさん、よろしくお願いします! 」

きれいな金髪と裏腹に中身は真っ黒女神が、それはもうとびっきりの笑顔で自己紹介を締めた。・

「なぁ東。クラスで一番かわいい子誰だと思う?」


「さぁな。てか初日の昼休みからそんな話かよ。」


「そりゃそうだよ。こちとら思春期真っ盛りの男子高校生だぜ?いまこんな話せずにいつ話すんだよ。」


そういう話を教室のど真ん中でするからモテないんだよ。いや、モテなかったんだよ…

ああ、ほんと後悔ばかりの恥の多い人生だったよ全く。

お、やっと、あの女神一人になった。


「あの、遠寺さん。ちょっといいかな?」


「はい?何ですか?」ニコッ


あれ?なんか反応が…何その笑顔。あの世みたいなところで全く見せなかった顔じゃん。


「ああ、ちょっとここでは話しにくいからさ。いいかな?」


「はぁ…?」


まてまてまて。この反応俺のこと知ってる反応じゃないぞ?まさか似てるだけ?!

けどもう引くに引けねぇぞ…

俺は屋上に向かう。教室からは、抜け駆けか!?という声が聞こえたがここは無視。



「あのさ、遠寺さん。遠寺さんって」


「ごめんなさい!!」


「へt?」


「あの、私今、誰ともお付き合いするつもりはないんです、だから


「ちょちょちょっと待って。そんなんじゃないよ!?会ってまだ何時間もたってないのに告白とかするわけないでしょ!?俺がプレイボーイだとしてもまだコールなってないのにプレイするレベルの早さだよ!?」


「え、すみません!勘違いしちゃって…」


顔を赤らめる遠寺さん。え、何この子。かわいいんですけど。実質三歳下なのに。やばい。

やっぱ告るか?いやでもさらって振られてたな。やっぱなしで。


「じゃ何の御用なんですか?」


「ああ、えと、その」


聞くだけ聞いとくか?なんかあの女神に関係してる人かもしれないし…


「あ、あのさ。前世とかって信じる?」


「え?ナンパですか?」


「いや違くて!!」


でも確かに今のは、明らかにナンパぽかった。しかも化石時代の手法!

やばいやばい。入学初日から同じクラスの子にナンパしたやつとか俺だったら関わりたくねぇよ。どうする、なんていう!?


「ぷっ」


「えっ?」


「も―だめです!!面白すぎます。何ですか?!【前世とかって信じる?】って。ただのやばい人じゃないですか。あっはっはっはっはっは!!ひーおかしー!!」


…このむかつく感じの顔。間違いないよな。うん


「おい」


「ちょっと待ってください。まだ余韻が!!あの焦る顔が!!」


「おいくそ女神」


「だから!ちょっとまってくださ


俺はその日、はじめて女子の頭をほんきでどついた。





「まじで叩くとは思いませんでしたよ、あー痛い」


「よかったな。念願の痛みを味わえて」


「何言ってるんですか。痛みが欲しいなんて言うのはあなたみたいなマゾだけですよ」


「まて。なんで俺がマゾになってる。さすがに看過できない発言だぞ」


「気づいてなかったんですか?ドМじゃないですか」


「誰がドМじゃ?!」


「あー自覚なしかー。性質悪いなー」


クッソなんなんだこいつ。さっきまでの俺のときめきを返せよ…

まてよ?そういえば


「今俺って精神年齢18だよな?」


「精神的には中学生くらいに思えますが?」


「誰が中二だ。ていうかお前って、何歳なの?俺より早く生まれてるはずだよな」


「女性に年齢を聞くとは失礼ですね?まぁ、私はあなたと同じ時に生まれましたよ。だ・け・ど私はあなたの人生を何回も見てる、いわばあなたの人生の先輩なんです。もっと敬ってください。」


「何回もって?」


「さぁ、10周超えたあたりから数えてません」


どういうことだ?俺は何回も死んでるってことか?あ、そういえばそんなこと言ってたっけか?じゃあなんで俺にその記憶がないんだ?

しかし、俺がまず思ったことは


「おまえ、みかけによらずババァなん

バチン!

言い終える前に首が180度回る。おかしい。首はこんなに回らないはずなんだけどな


「女性にその言葉は禁句ですよね」


だからと言ってガチビンタはよくないと思います。暴力反対。すぐ力に訴えるやつは自分は頭が足りませんって宣言してるみたいなもんだぞ。全く。


「なんで女神のお前がここにいるんだ?なに?女神としてやっぱ適性がなくってクビ?」


「っ!!違います!!…あなたがさっそくループし始めたからこれはもう私が出るしかないな!と思ったんですよ!」


こいつそんな殊勝な奴に見えなかったぞ?適当に説明してアイス食ってたやつだぞ…


まあいい。何よりこいつに聞かなきゃならないことがあるんだった。


「なぁ、なんで俺は昨日交通事故にあったんだ?いや、遭うこと自体は運が悪かったのかもしれんけど前世では交通事故には一回も遭わなかったぞ。」


これは確かな記憶である。事故になんか一回もあったことはないし、何なら風邪だって引いたことがない。超健康優良児でそこだけは親にも褒められたぞ。…そこしか褒められてない俺って…


「は?ふつうに事故ってたじゃないですか。車だけじゃなくて工事現場とかでも。何わけのわからない嘘ついてるんですか。あ、このとっても美しい慈愛に満ちた女神様の気を引くために意味のないウソを?そーゆーのやめてください。人間に興味ないので。」


「馬鹿垂れ。誰がお前みたいな勘違い女神なんかにそれこそ意味のないことするんじゃ。

てかまじで俺覚えてないんだけど」


「あれ、今までの死んだ記憶はないんですか?」


「?昨日車にひかれてたけど。こっちの俺、えーと春城が」


「いや、じゃなくてそれよりも前の…あっ…」


勘違い女神はどっからだしたのか、見覚えのある本を開く。

あれは、あの世みたいなところで見た本だ。

なんかというか、うん、ルールブックというか説明書というかそんな感じがする。

ちょっと待て、今アイツ小さい声で、やっばいです、ていったぞ。


「な、なぁそれ貸してくれない?」


「だ、だめです。これは…女神以外が触ると、その触ったものは業火に包まれ死にいたってしま


「顔で嘘ついてるのまるわかりだ!かせっ!!」


無理やり勘違い女神から本を奪い取る。

ほら、なんともない。何が業火だこの嘘つき女神。


「すみませんすみません!謝りますから返してください!!」


「こっちは文字通り命がかかってるんだぞ!?」


後ろでギャーギャーうるさい騒音女神を無視して中身を見る。

ん?これ最初らへんのページ以外まっしろじゃねーか。

とりあえず、書いたある分だけ読んでみるか。

【第零条対象者の体つまり東京一の体では、その者は死亡することはない。


【第一条対象者は他者の体に乗り移り、自らの生命活動の停止を防ぐ。一定期間死亡の回避を達成したものは


【第二条乗り移り先の胎児が出生した時を本システムの開始とする。なおそれまでの対象者の生活、性格、死因などすべての記憶を引き継ぐ。】


【第二の二条 対象者の本システムの開始をその監視者の定める時とする場合には、最終死亡の世界の記憶のみが引き継がれる】



第二の二条までしかないって、どういうことだ?いやそもそも…


「なぁ」


「は、はい?」


「俺って何回も死んでるっていってたよな?」


「はい…」


「俺の乗り移りってなんで高校からなんだろうなぁ。」


「私が決めたからですね、はい」


「つまり俺は自分が死んだ要因が最後の人生分しかないわからないってことだよな。二の二条にそう書いてあるもんなぁどう考えても、今まで死んだ記憶全部持ってたほうが死亡回避しやすいよなぁ」


「そ、そうですか?そうとも限らないんじゃ


「いや限るわ!なんで赤ん坊からスタートにしてくれなかったんだよ!そしたら自分が前世で死んだ理由やらタイミングやらわかって楽々クリアだったじゃん!しかもお前10回以上俺は死んでるって言ったよな!それを前情報なしで回避しろってか?無理ゲーこのうえなしだろ!

さぁ答えろ!なんで俺は高校生スタートなんだ!?」


もしかしたらこいつにも何か考えがあるのかもしれない。それこそ凡人の俺が思いつかないような、女神ブレインで生み出された名案が...


「ふふふ、わたし、考えたんですよ。」


「お、おう」

ごくり、と生唾を飲み込む。


「赤ちゃんスタートってめっちゃ時間かかりません?わざわざ高校まで待つって...わたし、さすがにめんどくさくて…おっとその拳を下ろしてください。女の子に手を挙げるなんて最低ですからね?」


暴力はいけない。それはわかる。ましてや女の子を叩くなんてやっぱり男としてはよくないことだと、そう思う….


だけどこいつはくそ女神であって女の子じゃないからいいよね!


「このアホ女神がぁぁぁぁ!!!」


「いったぁぁぁぁぁぁ!!!」


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