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月曜に初めて月曜に始まる  作者: 荻戸 凌丞
第二章 部活動中に頭に死球(物理)を受ける男
17/25

第17話 変化?



昨日は明日。つまり昨日からしたら明日の今日。俺は秋田先輩の教室に向かっていた。

先輩の入部届をもらうためだ。それを山田に届けて、その時におそらく敵になるであろう学年主任を説き伏せる。そしたら晴れて青春部は創部される。VS学年主任は俺一人で頑張るしかない。…うへぇ。


「あれ?あんた。何してんのこんなところで」


声を掛けられ振りむく。俺はなんて運がいいんだろう。

秋田先輩に廊下で会えるとは。これで先輩の教室訪問という苦行から逃れられる。


「あ、入部届をもらいに来ました。」


「あ、そう。ちょっとまっ、いや、きて」


「は、はい。」


言われるがまま先輩についていく。うわぁ嫌だなぁ。先輩の教室じゃん。


「何してんの?入っていいよ?」


この空気が嫌なんですー。まるで群衆の中に放たれた珍獣を見るかのような目。

別に悪意があるとかそういうことじゃなくて、単純に人見知りな俺からしたらちょっときつい。こういう時は知ってる人だけに集中するが吉。


「はい、これでいい?」


「おっけーです。」


「ま、今まで陸上以外の部活のことなんてよくわかんないけどよろしく頼むわ」


大丈夫、俺も子の部活が何をするのかほとんどわかりません。見切り発車もいいとこだったし。


「活動がいつから開始なの?」


「あーそれは山田に聞いてみないと…あーーー!!」


「ちょ、急にどうしたのよ!!」


二年生の目が俺を刺す。やめて!見ないで!


「いや、あ、ありがとうございました。また連絡します」


「あ、ちょっと!!っもう!!」



俺は入部届を持ったまま職員室に走る。

忘れていたことに気づいたからだ。何にって?

山田に創部の話をすることだよ!!

先輩のことばっか考えてて、今回のルートで山田に言ってなかったんだ。5人をそろえることと学園主任を説き伏せるどころか、そもそも山田の承認すらない!!

今から間に合うのか?だけどもう教頭たちも出張に行ってるし援軍が期待できない。主任の前に山田に反対される可能性まである。

落ち着け、カーム、カーム。

よし…ダメだったらもう一回頑張ろう。

潔さもいい男の条件のはず!!


「失礼します!1年1組の東です!や


「お、東。時間ぴったりだな」


「え?」


「じゃあ渡してもらおうか」


な、何を?宿題?古文の宿題とかあったけ?


「何ぽけーっとしてるんだ。秋田の分の入部届を持ってきたんじゃないのか?」


な、なんでそれを今の山田が知ってんだ?!それに秋田の分だけって…

とりあえず渡しとくけど。


「よし。これで5人集まったわけだ。活動自体は来週の月曜からで、場所は、そうだな、多目的教室Bにしよう。以上」


「あ、あの、なんで俺が部活を作るって…」


待てよ?もしかして、もしかしてなんだけど。山田もループしてるのか?前のルートの時に俺が言ったことと今回の俺の言ったことをごっちゃにしてる可能性がある。だとしたら俺のループは誰かを巻き込むのか?


「何言ってるんだ。春城とお前で作るんだろう?アオハル部ってやつを」


「ア,アオハル部?」


「ああ、春城のやつ、やる気だったぞ?普段なら部活なんか作れるかと一蹴するんだがな。その熱意は学年主任の心までも動かしていたよ。春城からはお前も含め他のやつらの入部とだけはもらっていた。あと一人はどうすると聞いたら秋田の分はお前が持ってくると言ってきたからな。そして、期限の日の今日、お前が秋田の分を持ってきたということだ」


「は、はぁ」


前回と全然違う気がするんだが。まあいいか。ご都合主義、大いに結構。その後都合対象が俺である限りはな。これで来週に行けそうだ。



「それで、何も聞かずに帰ってきたんですか?」


「いや、聞こうと思ったら春城いなくて。それに今回は野球部の練習が終わるまでグラウンドに張り付いていたからな。確実に今回あいつが死ぬ可能性はない。」


たまたま茶道部の見学を終え帰り道が一緒になった遠寺と話をする。

今回の春城の死因は、部活動中に野球ボールにあたって死ぬ、と思っていた。

これが外れていた場合また一からだがおそらく当たっているとは思う。三回これで死んでるし。

だが部活を作ることが完璧にできたことで春城が野球部に行くことはなくなった。

そしてもしもの保険として今日は野球部を見張っていたがそこに春城は現れなかったことから多分今回はクリアだと思う。


「けど、一個疑問があるんだよなぁ」


「何ですか何ですか?この女神様に言ってくれれば一発解決間違いなしですよ!」


いや、お前の頭脳には全く期待していない。が、喋ることによって俺の頭が整理されるだろうから喋るか。

ぶっちゃけこのやり直しの悩みも共有できる人がこいつしかいないというのがなぁ。

もっと有能な人に相談すれば解決も早そうなのに。実は一週目クリアの後、春城にやり直しのこと話したことはある。だが【お前、教室でそれはやばいだろ…】蔑みの目で見られた。二葉ちゃんに手紙で伝えても【お、お兄ちゃん…わ、私には早いよ…】と、ドン引きされたし。明らかに俺の意図することが伝わらないようになってる。しかも俺が変態的なこと言ったようになってる。

ちなみにそのあと二葉ちゃんは口きいてくれなかった。それ以降絶対人に話さないと決めた。

しかしこいつは女神だからか、特に問題なく話せるらしい。

だからありがたいはずなんだけど…


「私が予想するにですね。なんでさんの顔なのにモテないかについて悩んでますね!!」


「そうそう、こいつの顔イケメンで俺の中身が合わさればもっとモテ…じゃねーよ!!乗ってあげたけどさぁ!」


こいつは基本的に人話を聞かないアホなのだ。

一か月一緒に生活して見つけた長所はアイスを食べても頭がキーンとならないところくらいだ。ちょっとうらやましいけど。


「私にはあなたにはない、人と仲良くなる力があるんですーー!ていうかさっさと話してくださいよ!その疑問とやらを!」


「もっと女神らしい長所はないもんか…

えっと、疑問っていうかな、春城が今回なんで創部の話を一人で行ったかってことなんだけど」


「はいはい」


「多分だけど、今回は月曜日に春城たちに部活を作りたいって言ったんだよ。

で、今までの春城は絶対一人で創部するとは言わないんだよ。けど今回は言った。この理由は、俺という中身が春城である東との交流で、俺の知ってる俺から少し離れて行ってるんじゃないからだと思うんだよ」


「へー」


「てなったらさ、今までの俺の記憶があんまり役に立たなくなってくる可能性がある。その辺をどうするかが今後の問題になるんだよな」


「そーですか」


「…お前のアイスもらうから」


「あーはいは…今なんて?」


「じゃっ!!先帰ってアイスもらうからな!!」ダッ


「ちょっ待ってください!!人のアイスとるとか人間じゃないですよ!!」


うるせー!!人がシリアスで語ってんのに生返事ばっかしやがって!


「お前みたいな寸胴でも女性だからな!!これから叩くのはやめにして、こういう復讐方法にするわ!!」


「だ、誰が寸胴ですかーー!!!あなたなんか男じゃありませんー!!」


後ろからはものすごい形相で走ってくる女神。女神としてしてはいけない顔だと思うんだけど。

まあ理由は何であれ部活も作り、今回のルートは一見落着。

終わりよければすべてよ


「オエっつ、つかま、ハァ、ハァ、捕まえましたよ?ゲホォッ!!」


げ、こいつ、なんでこんなに速いん?!


「あ、アイスの力、甘みなオロロロロロロ


拝啓、未来の俺。道端でキラキラを吐くような女とだけは付き合わないようにしてください。

とても、とても服が汚れます。

敬具



感想ってどうやったらもらえますかね…感想がなさすぎて悲しい…

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