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月曜に初めて月曜に始まる  作者: 荻戸 凌丞
第二章 部活動中に頭に死球(物理)を受ける男
12/25

第12話 4周目

さて、順調にいってた今週もループ。今週4回目の月曜の朝。

今回は春城の野球部入りは防げたはずだからそれ以外の死因ってことなのか?

そっから考えたらこの週は捨てなきゃならんぞ。めんどい…


「いいいや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」


っなんだ?!このちょっと汚い叫び声は女神!


タッタッタ


「おい!どーした!?」


「あ、ああ、ああああ」


女神はただ涙を流し喘ぐ。まるで大切な何かを失ったかのように


「お、おい。落ち着け。な?深呼吸しんこ


なぜ俺が言葉を失ったのかは、女神の目前の光景を見れば一発でわかる。

冷凍庫が開いていて、そこには保冷剤と冷凍食品しかなかったからだ。



「アアアアイスがなくなってますぅー!!!昨日3000円分も買ったのに!高かったに!!まだ一箱しか食べてないのに!!」


こういうことだ。3000分とか高いとか言ってるけど買ったの俺だけどな?とか一晩で一箱食ってんじゃねー堕落女神とか突っ込んでやりたいが、ここは大人らしく慰めてやるか。


「あのな?お前時計見


「あなたですか?!あなたですね?!私のアイス食べたのは!!勝手にアイス食べるなんて外道もいいとこですよ!!クズなのは知ってましたがここまでとは知りませんでしたよ!!」


…落ち着け。こいつは大好きなアイスが急になくなったと思って驚いているんだ。

ここは事情を把握している俺がクレバーであるべきだ。


「だからな?月曜日にもど


「クズも行くとこまで言ったら犯罪ですよ?!確かに私と同じアイスを食べたくなるっていうその人間としては仕方のない欲求が芽生えるのはわかりますがそれを抑えることが人としての在り方なんじゃないですか?そんなことできないなんてチンパンジーと一緒ですよ!!」


プチーン


「はああああ!!?言いがかりもいいとこだぞこのくそ女神!!!まず俺はとってない!!それに一応俺の金が3000円も金出してんだぞ!!仮に盗ってたとしてもそこまで言われるほどのことでもないだろーが!!あとチンパンジーは99%以上人間とDNA被ってんだよ!」


「うわー!!薄情しましたね!!仮に、とか使うやつは大体やってるんですよ!!返してください!!私のアイス4000円分返してください!!それにでぃーえぬえーとか意味わからない言葉で話を誤魔化すのはやめてください!」


「さり気に1000円足してんじゃねーよ!そんなバカみたいにアイス食ってるから胸ないくせにそこかしこに肉がついてんだよ!!!!」


「さ、さぁいってーですよ!!勝手に食べただけでなく開く直り逆ギレコンボですか?!そ、それに人が気にしてるとこまで!!!クズ オブ ザ クズですよ!!!」


「食ってねーし言われたくないならしっかり摂生しろや!!」


「お、おにいちゃん…」


後ろからの呼びかけに背筋が凍る

あ、まずい、きかれてないよな?いや、多少なら構わんからなるだけ聞いてないでくれ


「女の子にむ、胸がちっちゃいとか太ってるはほんとにダメだとおもう…」


そう言って部屋に走って戻る二葉ちゃん


「ちがう!!これは誤解なんだ!!俺は、俺は悪くないんだーー!!」





結局朝は二葉ちゃんとは口がきけないまま登校することに。

ただでさえ死因考えるので頭いっぱいなのに、二葉ちゃん問題まで重なるとか。アリエン。年下の女の子の機嫌ってどうやって戻すんだ?お菓子?辛い物?縫いぐるみ?


女の子はお砂糖、スパイス、素敵なものいっぱいで作ってるってどこかの博士が言ってたけどそれらのどれかを貢げば機嫌治る?

まあこの悩みの発端の女神様は多分純度100%のケミ〇ルXで構成されてると思う。


「マジで帰りに返してくださいね!!5000円分アイス!!」


「着々と上乗せするんじゃないケミカル女神。あとマジで気づかないのか?携帯見てみろよ」


「?…見ましたけど!!?」


「…すまん。日時を確かめてみろ」


「たまにその慈愛に満ちた目をしますよね。なんでで、あっ」


慈愛じゃなくて悲哀に満ちた目のつもりなんだけど。

まあいい。どうやら気づいたみたいだ。月曜日に戻ったのだと。

確かに前回は上手くいってたと思ってたし、今日を木曜と勘違いしても仕方ない。


だが、人の話を聞かずにあそこまで言ったことは許されない。いや、俺個人として許してもいいんだけど、ほら、これからの社会生活のためにね?けっして俺の器がちっさくて根に持ってるとかじゃないので悪しからず。

ということで


「おい、なーんかいうことあるんじゃないのかな?女神様よぉ」


自分でもなかなか下卑た表情をしていると思う。仕方ない、俺の最高の笑顔はこういう時しかこんにちはしてこないのだ。さぁさぁ、悔しそうに、陳謝の意を述べるがいい!


「あ、あの」


「うむ。」


「ついに記録更新しやがりましたね。一週間に三回も死なせるなんてフミヤさんがかわいそうですよ。やっぱり最初みたいに私のサポートがないとうまくいかないみたいなのでサポートしてあげましょう。」


「…」


「なんですかなんですか?私のやさしさが心に染みわたり過ぎちゃいましたか?」


「お前なんで現世にいるんだっけ?」


「?あなたのサポートです」


「なら最初からサポートしやがれぇぇぇぇ!!」バシィン!!


「アイッタァッァァ!!」



「とにかく、今回は春城から少しも目を離さずにいる。なおかつ部活を作ってあいつが他の部活に入るのを防ぐ。これが今回やることだ。ベストは部活に入れて今週をクリアする。最悪でも前回と同じルートをたどってあいつの死因を探る。OK?」


「わっかりました」


しかし先週と先々週を経て、だいぶ分かったと思うんだけどなぁ。週に一回、決まった原因で春城は死にそうなる、というこのループのルール。最初の週は車と衝突、次の週は転倒が原因で死んでるし。

そして今回は野球ボールに当たった死亡。だから部活に行かせないようにしてたのに。


確かに水曜日は春城から目を離したけど帰るだけだったしなぁ。

うーむ。帰りに野球部の弾が当たったとかか?けどちょっとありえないんだよな、設備的に。だとしたら別の死因か?うーむ。


「おまえさ、春城が水曜の放課後何してたかわかる?」


「んー私も放課後はさらって帰りましたしねぇ。強いて言うなら放課後に体操着でグローブってやつをもってグラウンドに居たことくらいしかわかりませんねぇ。」


いやいや、同じクラスでしかもそいつが俺らの命運を握ってるんだからもっと観察してくれよ。

ん?まて?今なんつった?


「だから放課後フミヤさんグラウンドにいましたよ」


「…」


わかった。こいつに期待しちゃだめだ。こいつは俺の家に住み着いている、ループしている証として神様がくれたペット的なものだ。ペットに手を挙げるなんてしちゃいけない。うん。やさしく、教え諭すんだ。


「あのな?二週目が終わったときに、俺言ったよな?今回の死因は野球ボールに当たることだって」


ポクポクポクポクチーン


「あ!!!…テヘペロ」


殴りたい子の笑顔。


ペチーン


「いったぁぁぁぁぁい!!」


いかん手が出てしまった。さっきはペットのように扱うと決めたのに。

でもよく考えたら俺ペットかったことなかったわ。


「人の頭をたたくのはやめてください!!」


「ごめんごめん。けど痛くはないだろ?不思議と」


「た、確かに音の割に全く痛くはないですけど」


それもそのはず。春城に代々伝わる、音の割に全く痛くないツッコミ、を俺は18で覚えたからな。これを習得することにより、兄弟間での殴り合いも音だけ派手にすることができ、けがを未然に防ぐことができるのである…春城家は何を代々伝えてんだよ



「け、けど音にびっくりしてつい痛い!!って言ってしまうんですよ!できればやめてください。」


「俺も叩きたくて叩いてるんじゃないんだけど。女の子は叩いたことないし。」


「私も女の子なんですけど」


おまえはもうそんな年でもないんだろう。

けど、まあ、悔しいがこいつのおかげで一週分の情報が手に入った。

春城は俺と別れたあと野球部のところに言って体験入部をした。その結果ボール死したんだろう。


今思えば山田が部活を作ることは無理的なことを行ったときにドアの方で音がした。

そして春城のキーホルダー。


ここからは春城のこんなストーリー導ける。

1東に山田のところに行かせたけど部活ができるか気になる。

2聞き耳を立ててるとどうやら部活を作ることは不可能。

3なら早く部活に入らないと部活仲間ができない。

4東は明日誘おう

ってところか。


ぜーんぶ推測だしもう確かめるすべはない。それに4についてはそこそこの願望が入ってる。けどこれでどうすればいいかはわかった。単純に春城と一緒に職員室に行けばいいだけだ。ちゃんと話を聞けば部活を作ること自体はたぶんできるということはわかるだろう。教頭たちの許可はもらってんだし。そうすれば野球部の近くには寄らないだろう。

なんとかこの周で乗り切りたいぜ。


「どーするんですか?これから」


「基本的には前週の行動を早める感じで行く。善は急げってな。其の方が春城も余計なことしなさそうだし。」


「そうですか…ならお菓子部とかどうですか!!?」


あれ。こいつには前の週の記憶が残らないのかな?それともそれが女神クオリティなのかな?




朝に春城たちに部活を作ることを話し、今は春城とともに秋田先輩の教室の目の前にいる。

どうすっかなぁ。行かなきゃならないと分かっていても嫌なことは後回しにしたい主義。

善は急げ?それは俺が急ぎたい事案のみの話であって、やりたくないことはとことん後にする派です。もしかしたらその間にしなくていいようになるかもしれないし。


「どうしたんだよ。秋田先輩を勧誘するんだろ?」


「ああ、そうだけどさ。やっぱり昼休みにお邪魔するってのは失礼にあたるような気がさ。ほら、ご友人とお食事中かもしれんし」


「なにいってんだよ。お前が早く集めたがいいってって言ったんだろ?

すみませーん!!秋田先輩いますかー!!」


早い早い早い!躊躇がないのか!

いや落ち着け。俺は一回会ってるんだ。たとえ向こうがそのことを知らなくても俺のメンタル的にそのことはプラスに働くはず。


「うるさいわね。あたしが秋田 美郷だけど、誰あんたら。面識ないんだけど。」



だめだ。たとえ前にあったとしてもこの怖さは変わりましぇん。


「なんか怒ってます?」


ばばバカ!何を聞いてんだ。このアホ!怒ってます?って聞いてうん!怒ってるよ!って答えるやつがあるか!?それにたぶんこれは


「はあ?怒ってないんだけど。素の顔なんだけど…」


あ、ちょっとへこんでる。強気な女性のへこみ顔ってなんかいいよね。

クズだって?そんなん百も承知。


「そっすか!!おれは春城です。で、こっちは」


「東です。」


「実はですね部活の勧誘に来ました!!」


ピクッ


「勧誘?」


「はい、こっからは東が」


うおっ急に話を振るなよ。びっくりするだろ。


「あーえっとですね。僕たち今部活を作ってて、今週の木曜までには部員5人集めなきゃいけないんですよ。で、あと一人なの


「…なんで勧誘に来たの?」


「えっ?だからあと一人なので先輩を」


「そうじゃなくてなんでまだ陸上部の私に勧誘に来たのって聞いてんのよ!!」


えっ?



「用が終わったなら私戻るわね。」


「まっ」


「なに?」



「いや、あの、すみません…」


陳腐な謝罪に耳も傾けず、秋田先輩は教室に戻っていった。


「断られちまったな。教室戻ろうぜ東」


「ああ、俺はトイレ行ってくるから先戻っててくれ。」



何で勧誘に失敗した?東が変なこと言ったから?

いや違う。

秋田先輩はまだ陸上部のあたしにって言ってた。

やめたんじゃなかったのか……


ああ?!そうか!!

前回の尚江は火曜日に【昨日退部の話をしている人がいた】って言ってた。

つまり月曜である今日の放課後に秋田先輩は部活をやめる予定だったんだ!!

それなのにまだ退部もしてない秋田先輩に俺が勧誘をしちまったから!

ルートが変わっちまった!!!!













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