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月曜に初めて月曜に始まる  作者: 荻戸 凌丞
第二章 部活動中に頭に死球(物理)を受ける男
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第11話 アイス

さて、あとは職員室にいる山田に入部届を渡すだけ。

とりあえず部活は作れそうでよかった。

それに、まあ意図したわけではないが女子3男子2というなかなかの黄金比率の部活になってしまった。あ、女子2男子2その他1か。ここでポイントなのが男子が1ではないこと。というのも男一人、それが俺だった場合あまりにも居た堪れなくなりナチュラルフェードアウトしてしまう。だから男は二人でおっけい。そもそも春城監視のために作った部活だしな。


「山田に渡すのは俺一人でいいや。春城は帰っていいぞ」


「え、俺部長だろ?なら行ったほうがよくね?」


「いろいろ細かいこと聞かれたら答えられんだろ?だから俺一人のがいいんだよ」


「あっそう。じゃ、よろしく…」


いまいち納得してないな。1年部長という肩書どんだけワクワクしてるんだよ。俺だったら3年でも部長になんかなりたくないぞ。そこ、なれないんだろとか言わない。


ガラッ


「失礼しまーす。1年


「おお、東か。入れ入れ」


「うっす。」


「で、なんの用事だ?」


俺まだ誰先生に用事があるかとか言ってねーんだけど

まいっか。


「部員5人そろったんで、部活創設の許可をと」


「…5人そろったのか」


ああ、あんまり苦労せずな。多分その苦労はあとからくるだろうけど。特に秋田先輩。


「ええ、そりゃもう死ぬほどの困難を乗り越えて5人集めましたよ。こりゃぁ内申書に書いてくれてもいいんじゃないでしょうか」


「あーそれなんだが…」


「?」


「部活の件、いったん白紙にしてくれないか?」


ガタッ


「?

はっ、え、な、なんでですか!?ちゃんと5人集めましたよ!」


「ああ、多分お前ら、というかお前の本気度からして集めてくるとは思って今朝、職員会議でその話をしたんだ。その時に学年主任の先生にな…」


「なんていわれたんですか!」


「そんな内容のわからない部活動にかける予算などない、とな。教頭たちから許可をもらってることも伝えたんだが、なかなか意見を曲げてくれなくてな。

だがお前らの熱を直に感じた私としては、部を作ってやりたい。だから、もう少し待ってくれないか?」


「ていうか教頭先生たちは?」


「今は出張でな、来週には戻るからその時にまた先生たちで話あってみるつもりだ。だからすまん。もう少し待っといてくれ…」


申し訳なそうな山田を背に俺は職員室を出る。

ん?なんか床に…俺のキーホルダー?いや違う。春城のだ。弟からもらったアルファベットのHの形をしたキーホルダー。よく考えたらちょっと卑猥だな。俺の心が卑猥なのか?ま、明日渡すか


それにしても部活が作れそうなのは来週、か。最初聞いたときはもう作れないのかと思ったけど何とかなりそうでよかった。教頭の許可ももらってることだし、山田が何とかしてくれるだろう。


しかし学年主任め。誰かはわからんがなかなか言いやがるな。

何が、そんな内容のわからない部活動にかける予算などない、だ。

いや、全くその通りだな。うん。確かにこんな意味不明な部活を作ろうとしたらふつう止めるか。逆に山田が普通ではないからな?まだ厨二が抜けてないのか?

なんつって。さすがに失礼すぎるか。


よし、肩の荷も下りたし、我が家に帰ろう。我が家歴1か月程度だけど。



「たでーまー」


「お帰りおにいちゃん。」


「おう。二葉ちゃんかえってたのか」


「うん。ていうか【ちゃん】はやめてよ。実の妹、しかも年は一つしか離れてないんだよ?」


「あはは、前向きに善処して呼べたら呼びます…」


「それ絶対呼ばないやつだよ…」


妹にちゃん付けってやっぱおかしいのか?

けど俺の場合実の妹でもないし何なら年は4つ違うんだよ。

そして免疫のない年下妹。表に出す態度はなるだけ普通にしようと努めてるけど、内心割とドキドキしてるんだよなぁ。

しかしこんなことを声に出すとあの女神からキモイ×3飛んでくるから声には出さない。


「安心してください。十分きもいですよ」


「うわっお前帰ってたのか。てか意味もなくきもいとかいうな!」


「さっき帰ったばかりですよ。あと、ちゃんと意味はあるんですよ?なんですかなんですか。言ってほしいんですか?」


こいつ俺の心読めるのか?さすがにそんな奴同居とかしたくないし何なら追い出すぞ。

確かめたいけど、もしさっき考えてること二葉ちゃんに聞かれでもしたら余裕で死ぬ。

天使のような二葉ちゃんですらドン引きしてる顔が目に浮かぶようだ。

よし、確かめないでおこう。


「まあ京一さんのヤバメの性癖のことは置いておいてさっさと行きましょうよ」


は?どこに?あと、性癖云々は意味が分からん


「アイスですよアイス。3000円分の」


「げっお前忘れてなかったのか」


「忘れるもなにも昨日のことじゃないですか」


「なんで昨日言わなかったんだ?」


「…見たいテレビがあったんですよ!!さあ行きましょう行きましょう!!」


こいつアイスのこと忘れてたよな?仮にも一緒に住んでるんだから、お前がテレビ見てたかどうかなんか一発でばれるんだぞ?こういうところで脳みそがかわいそうなところが出てしまうんだな。


「早く行きますよ」ニコッ


目が笑ってない笑ってない。スマイル下手か。どっかのハンバーガー屋だと無料サービス品なんだぞ全く。そもそも


「誰がいくか。こちとらせっかくやること終わって思いっきりだらけられるのに」


「うわっ人との約束破るなんてサイテーですよ。人として終わってます。ねー二葉ちゃん」


「お兄ちゃん…」


「何してんだよ!!早くいくぞ。ドスモスでいいな!あそこなら安いしいっぱい買えるぞ!」


「露骨に態度変えますよね…」


「二葉も行きたい!!」


「ああ、もちオッケ!」


3人で近くのドラッグストアに向かう。アイスとかお菓子ってなんでスーパーよりドラッグストアの方が安いんだろう。店の大きさは変わらんから仕入れの量とかも変わってなさそうなのに。こういう時にはスマホで検索するといいよ!わからないことがあったらすぐに調べる。これが有能への大一歩。ちなみに俺は既に有能だから調べません。


おい、今この女神鼻で笑ったぞ。二葉ちゃんが不思議そうに見てるだろうが。

それにしても中三にしては素直というか、俺、いや兄に懐きすぎじゃね?二葉ちゃん。

東のやつ、よっぽどいいお兄ちゃんしてたんだろうなぁ。

そうなると少し気になるな。今の俺がどれだけお兄ちゃんしてるか


「二葉ちゃん」


「ん?なに?」


「俺ってさ、4月くらいからちょっと変わったかな?」


「うーん、そうだね。ていうか入学式の日から急に元気になったていうか、それなのにしどろもどろというか、二葉以外の人に口が悪くなったていうか…」


「おーけー。もう大丈夫。」


東より顔面も行けてなければ性格もイケてなかったようです。それを実の妹ちゃんに言われました。死ぬべきか?


「で、でも!とにかく元気なったからよかったと思う!!お兄ちゃん中学のころ元気なかったから…」


そうなのか?俺が知ってる東は爽やかハツラツモテ男だったけど。ッチ。


「けど恵瑠ちゃんへの態度はひどいと思う。女の子叩いたりひどいこと言ったりしちゃだめだよ!」


恵瑠ちゃんて誰だ。ああ、こいつのことか

う、うーん。俺からすれば大概こいつに非があると思うんだけど…

そもそも論だけどこいつがよく考えて転生させてくれればこんな苦労もしてないし。俺1回死にかけてるし。


けど二葉ちゃん目線で見れば俺は、宿無し女の子が頼ってきたのに野宿させようとして、家でもそこそこの暴言を吐いてるのか。

あれ?俺クズなのか。クズだな。まあいいかクズでも。


「二葉ちゃん。俺の言葉は遠寺が嫌い故の言葉じゃないだよ。一緒に住んでるっていうことはもはや家族。そして家族に躊躇いなんて必要ないんだ。

俺はこいつが壁を感じないように、俺に対して何か言うことを躊躇わないように、心で涙を流しながら、冷たい言葉を発してるんだよ。」


「ペテンの香りがします。」


お前ペテンなんて単語知ってたのか。

痛い痛い。すぐに人を蹴るな。足癖悪いな。だから貧乳なんだよ」


「は、はぁぁ!!今言いましたね!!はっきりと言いましたね。貧乳と!!関係ないのに!セクハラですよ!訴えますよ!お巡りさん呼びますよ!!」


あ、声に出てらー

「うるさいうるさい。声が大きい。ほら、二葉ちゃんがびっくりするだろ。」


「…さっきの言葉も恵瑠ちゃんことを想って言ってるんだよね?」


「あ、ああもちろん。」


「じゃあ二葉にもおんなじ対応して!!」


「へ?」


「恵瑠ちゃんと同じように接して!!」


「いや、ちょっと、それは…あ、ついた!入ろ入ろ!」


「あっ…お兄ちゃん。なんか私に対してなんか他人みたい。嫌われちゃったのかな…」


「いやー、それはないでしょう。ただ子供なだけですよ」


「二葉が?」


「京一さんが」


「そうかな?もしかしてお兄ちゃん恵瑠ちゃんのことが好きなのかも…」


「そんな不安そうな顔しなくても…ですが、あり得ますね。私と一緒に暮らして私に惚れないなんて有り得ない!」


いーや


「アリエルでしょ」

というかお前は俺の好みの反対、裏側にいってるんだよ。容姿の加点を帳消しにするほどの性格でな。


「なんだ、行ったんじゃなかったんですか」


「いや二葉ちゃんが来ないから。」


「私は無視ですかそーですか」


「さ、二葉ちゃんいこう。このアイス魔女は置いて。」


「うん。お、お兄ちゃんは恵瑠ちゃんのこと好きなの?」


「誓ってそんなことはない」


「そ、そっか…じゃ、アイス買って!!」


「はいはい」


元の姿、春城としてなら全然ありなんだけどなぁ。絶対フラグ建ってた。

中三とは思えないくらいとにかく素直だし。

うしろでぎゃいぎゃい騒いでる女神とは大違いだなぁ




3人でアイスを買ったあとは、家に帰り、宿題をして、あとは寝るだけ。

しかしアイスのおかげで財布の中身がほとんど消えたな。懐が寒くなってしまったぜ。アイスだけに。

俺はこんなくだらないことを何歳まで言うんだろうなぁ。



2017:04:24(月)   7:00

いい朝だと思って時計を見たらこれだよ。

とりあえず、財布の中身は戻った。わあい…はぁ。







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