表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

9.お風呂最高! 錬金釜、気になります。

家に入るとやっぱり過ごしやすく設定されているようで、先ほどまで流していた汗がゆっくりと引いていく。

だけど一度べたついた肌が快適かと言われたら、絶対に違うと断言できる。何故なら昨日から入っていないのだ。今すぐにでも、お風呂に入りたい。

採ってきた野菜をシンクに置き、いそいそと先ほどの部屋に行ってルームウェアを借りてくる。後は下着だけど、こればかりは借りるのもどうかと思うので、お風呂場で洗って乾かすしかないね。

取り合えず短パンみたいなのがあれば、ちょっと借りたい。引き出しを開けていくと、封をした袋があった。未使用と書いてある。多分日本語で。そう見えるだけなのかもしれないけど、今はそこは重要じゃない。

未使用というものに少し期待しながら封を開けると、生地が少しざらつく麻のような物で出来たパンツだった。

肌触りはいまいちな感じだけど、そこは仕方ない。尊厳の方が大事だ。裸族ではないのだから、あるだけありがたい。

あれ?封をした茶色のパンツが何枚あるかと数えていたら、一番奥にメモのようなものが入っていた。


パンツ

錬金の材料 《ロロの木の皮・水・綿・虫の糸(虫により品質が変わる)》

ブラジャー

錬金の材料 《ロロの木の皮・水・綿・虫の糸(虫により品質が変わる)》


欲しかったものについて書かれたメモがあったのはいい。何故同じ材料?サイズとか形とかどうすればいいのかな?錬金釜を見つけたら、そこにレシピが書かれてあって、作り方が書いてあるのだろうか。

ちょっと錬金とか、ワクワクする。

今からでも探してやってみたいと心が躍っているが、足元にいるひよこさん達を見てちょっと冷静になった。

お風呂入ってご飯作るのが先だよね。ちゃんとあたしの仕事をしないと。

さあ、お風呂入ってさっぱりしたら、お肉たちと格闘しなきゃ。


着替えを持ってお風呂に入って使い方の確認。

丸い箱型のものは洗濯機らしく、ボタン一つで動くようだ。食器洗浄、洗濯機、洗剤を入れるところがなかったけれど、どういう仕組みなのかな?クリーンとか浄化とか言われる汚れを落とす魔法みたいなのが仕込まれていて、動いているのだろうか。

これも取り合えず、動くなら今はいい。


お風呂場に入れば、とてもいい香りがする。

浴槽があるのだから、お湯が貯められるはず。ボタンらしきものはすぐに見つかったので、赤いボタンを押した。


「魔力が不足しています。魔力を込めてください」

ああ、そうだよね。どれぐらい取られるかわからないので、今日の分ぐらいと思いながら込めてみる。実際何かが抜けている気がするので、魔力が込められているだと思うけど、やっぱり魔力は不透明で曖昧な物だと思う。

「お湯張りを始めます」

問題なく出来たようだ。

お湯が溜まるのを待っている間に他のボタンを確認する。

赤は思っていた通りだったけれど、緑ってなんだろう。

押してみると、どこから現れたのかわからない泡が頭から降ってきた。


「え、ちょっと。まだ服着てるのに!」

急いで服を脱ぎ、床に泡が落ちないように気を付けながら、脱いだ服を洗濯機にいれスイッチを押した。

セーフ。

良くわからないままに、頭を洗い、顔を洗い、体を洗って、溜まりかけたお湯を浴槽から桶で掬って頭からかけた。

全身同じ泡って、何の成分なのだろうか。お湯をかけて流した後でも、泡の香りは残ったままだ。

ハーブ由来の優しい香りで、髪の毛の触り心地はサラサラで、肌はツルツル。

よし、問題なし。


「お風呂が溜まりました」

さあ、ゆっくり浸かって筋肉を解しておこう。今日だけで畑仕事で結構腕と腰を使った。明日に響くと大変だから、しっかりと温まっておこう。


何故かひよこさんたちも入ってきたので、試しに桶にお湯を張ってあげると嬉しそうに飛び込んだ。

羽をパタパタとさせて、水浴びをしているようにみえる。

あれ?ひよこって水浴びするの?あひるじゃないよね?

でもまあ、鶏さん達のひよこさんだから、そういうものかも。お肉食べるし。

可愛いひよこさんたちの戯れに和んでから、お風呂から出た。


少しパンツはゴワゴワするけれど、問題なし。ルームウェアは生地がいいのか、とても触り心地がいい。錬金釜で言う虫の糸の質によるものだろか。追々検証してみたい。


ひよこさんたちも桶から出てきて、水を飛ばしたらそのままどこかへ走っていった。

鶏さん達のお迎えなのかもしれない。

あたしはこれから、気合入れてお肉捌くよ!


冷蔵庫のお肉、増えてました。これは一体、何人前なのでしょう?

これから卵産んで、増やすという意思表示なのでしょうか?



冷蔵の中身が全部お肉で埋まるという人生初の状況に、呆けている場合じゃなかった。あたしがこの肉を切って味付けしなければ、誰も出来なのだから、気合を入れるしかない。

お肉のソムリエじゃないから、正直部位によって調理を変えるということは出来ない。だとしたら、失敗する可能性も込めて、作ってみるしかない!


その日作った肉じゃがとしぐれ煮は、鶏さん達に大好評だった。二日分あると思っていた鍋一杯の物が、あの小さい体の中に消えていくのを目の当りにして、異世界だなぁ~とワインを飲んだ。

その日はあの部屋で寝てみようと思っていたのに、何故かソファでひよこさんたちと寝ていて、鶏さん達の美声で目覚めることになった。



読んで頂き、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ