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7.肉の調理といざ実食!

余りにもワクワクして落ち着きがない鶏さん達。

何のお肉なのか、どんな味なのかあたしには全く見当がつかない為、どれを食べるのか聞いてみる。

「食べたいお肉を教えてね」


肉を掴んでどれに反応するか鶏さん達を見ていると、ザ・肉と言わんばかりの赤身の肉で皆が湧いた。

どこのお肉なのかいまいちわからないけれど、焼けばいいのかな?

触った感じ、かなり弾力があるから、かなり筋肉質な場所だと思う。となると、あたしが食べるとしたら、煮込むかかなり叩いてからか、ミンチにする感じになるけれど、この鶏さん達なら、焼くだけでそのまま突いて食べれそうだ。


「このまま焼く?煮込む?細々にする?」

コッ・・・・。

コッコ!

「煮込みかぁ。醤油・お酒がないから、トマト煮?ワインがあるかな?」

コッコ!

ある!と元気よく駆けだした鶏さん達。どれだけ食べたかったの。

あ、そうか。

ここはあたしが落ちて来るまで、暫く誰もいなかったみたいなこと言ってた。ここを出て行ったのか、亡くなったのかわからないけれど、この子たちだけで生きていたのには、違いない。だったら久しぶりの料理と言えるものを食べるのだろう。

それにあたしも他の調味料があることがわかって嬉しいし。

さあ、何が出てくるかな。


一番乗りは、ボスの鶏さん。瓶らしきものを抱えている。――うん、抱えているね。ここではこれが常識だと思おう。

受け取って匂いを嗅いでみると、豊潤なワインの匂い。あまり飲まないあたしでも、これは年代かかっているとわかるよ。これを料理とか、勿体ないと思ってしまうのは人間の性なのか。一応、聞いてみよう。沢山あると、ちょっと嬉しい。


「これ、まだあるの?」

コッコ。

ほお。あるんだ。じゃあ、使っちゃおう。開けたら全部飲み切ったほうがいい。正しい保存の方法なんて知らないんだから。料理で残ったら、ちょっと頂こう。


次にやってきた鶏さんは、何かの葉っぱを持ってきた。どうやら肉の臭み取りの葉っぱぽい。クンクンと匂いを嗅いだが、全く何なのかわからない。香辛料の葉っぱぽいなにかでしょう。


次にやってきた鶏さんも、瓶らしきものを持ってきている。受け取って匂いを嗅ぐと、お酒ぽかった。何のお酒かはわからないけれど、料理に仕えるのなら、ありがたい。


そして樽ぽいものを二羽で持ってきた鶏さん。コルクを抜くとあの独特の発酵した匂いがした。醤油だ。きっと探したら味噌もあるのだろう。これだけでテンションが上がる。

そして前にここにいた人は、間違いなく日本人だとわかった。トイレでそうかな?とは思ったんだけどね。

どんな人だったのか、聞けるものなら聞いてみたいけれど、流石に鶏さんのコッコで全部を察するのは厳しいね。


ある程度揃ったようなので、材料を切り始めよう。

今まで日本の調味料で味付けをしていたから、今回どんなの味になるのか想像がつかない。でもまあ、やるだけやってみましょう。

少し前に作った野菜スープにトマトを入れて、煮込んでおく。

その間に分厚い肉をサイコロのように切っていく。塩コショウだけして、まずフライパンに並べて表面だけを焼き、焦げ目がついたらワインと何かの葉っぱと茸を投入。

これだけでキッチンに匂いが充満して、お腹の虫がまだまだかと語りだす。それは鶏さん達も同じようで、とてもソワソワして落ち着きがない。

これに先ほどトマトを入れた、野菜スープを投入して更に煮込む。トマトが濃厚なのか、野菜がいい感じに煮だされているのか、更に出来上がりに期待がかかる匂いになった。


適当にやった料理のはずなのに、匂いだけは一流ぽいものになってるよ。

これはお肉が凄いのか、野菜が凄いのか、このワインが凄いのか。

鶏の皆さんが、コッコ、コッコと大合唱になってきた。

これは時間をかけている場合じゃない?

取り合えずスプーンで掬って舐めてみる。


!!

コッコの大合唱が止んだ。どうなんだと言わんばかりの視線をし下から感じる。

味はメッチャ美味しい。後はお肉がどうなのかだ。

お玉でお肉だけを掬いスプーンで削ってみる。ぽろりとお肉が崩れた。その欠片を期待を持って口にする。

これは!!


すぐさまみんな用にお皿を出し並べる。

ひよこさんも合わせて10羽。ひよこさんがこれを食べるのかは謎だけど、ぴいぴいと猫のように足に纏わりついているので、食べる準備をする。

8つのお皿にはお玉一掬い丸ごと。2つのお皿にはその半分ずつを入れて、さあ、みんなで食べてみよう!


鶏さん達が凄い勢いで整列し始め、綺麗に並んだ。

その前にお皿を1つずつ置いて、さいごのひよこさんの前に置き終わったら、さあ食事の時間だ。

「どうぞ!召し上がれ」


凄い勢いでお肉からがっついていく。

あたしがひよこさんと同じ量、半分食べたころには鶏さんたちのお皿には何もなかった。

そして、黄昏ている。

「お肉少な目で良ければ、まだあるよ?」

みんなの顔が一斉に向けられた。

焼くだけなら時間かからないから、もうちょっと焼いてみてもいいかな。

「少し待ってね」


先ほどと同じようにサイコロ状にお肉を切るが、時間短縮のため少しばかり小さくする。同じようにお肉を焼いていて先ほどの手順で少し煮込んだら、出来上がり!

みんなのお皿に配っていくと、すぐに美味しそうに啄み始めた。


あたしも先ほどの残りをワインで頂く。

美味しい。

ここに人間はあたし一人で、鶏が獣を狩るという不思議な環境だけど、この世界で頑張って行けそうな気がした。


読んで頂き、ありがとうございました。

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