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25.疑心と襲撃

シッシが解体されている中、本当はそれを待って一緒に食事をするのがいいのかもしれないが、座り込んだら眠気が襲ってきた。


あれだけの大きい虫に襲われるとか、普通で考えたら、トラウマレベルの出来事。

あの悪路の中よくあたし頑張ったよね。

休憩することなく歩きぱなしで、喉も乾いたし、足も怠い。

少しだけ横になりたいかも。


「救世主様、お疲れのご様子。少し部屋で休まれますか?」


正直マルク隊長のその案に乗りたい。

だけど、普通の旅人としてこの町に受け入れられているわけじゃない。

それだけが不安だった。


「何も心配することはありませんのじゃ」


婆様の言葉に、裏があるかもなんて思いたくないけれど。

あたし、ひねくれてるのかな?


「では、少しだけ横にならさせて頂きます。食事も自分で用意したものを食べますので、お構いなく」


二階の奥の部屋に案内されたあたしは、すぐに結界を発動し、浄化で体を清め、魔力の循環を促した。

おにぎりを食べながら、周りの気配を探る。


お肉を解体している人たちの周りに、沢山の人が取り囲んでいるのを感じるだけで、他は問題なさそうだった。

やっぱり、気にし過ぎかな?


寝袋を出してその中に包まれば、あっと言う間に眠りについた。


『落ち人よ。世界樹は朽ちてはおらぬ。気を付けよ』


どれぐらい眠っていたのかわからない。ここに来たときは夕日が見えていたから、陽が落ちる前だったはず。今は部屋の中だけでなく、外も闇に覆われているようだ。


頭の中に響いてきたあの声は、加護をくれた人?

とても丈夫な身体と精神力にしてくれたぽいから、とても重宝してる。ありがとう!

じゃなくて、世界樹が朽ちてないって警告してくれたってことだよね?


でも初めに婆様にあった時に、もうないって言ってなかった?その為この町は破棄されたぽいことを。

あの後やたらと疲れて眠っちゃったから、詳しく聞けてない。

どう気を付けたらいいのやら。


ああ、そうか。

世界樹がないから、魔(瘴気)が森に充満している為に、あんなに魔物が大きいのか。

今いる場所に比べたら、森の中はかなり空気が重たくて濃い。

逆に言えば、魔力に溢れているから素材の宝庫ともいえる。


さあ、今回のあたしの歓迎は、町を守りたいために世界樹を復活させたいのか、世界樹の暴走か。

どっちだろうね?


うーん。どうしようかな。

このまま居なくなってもいいのだけど、この町の下した結論を知っておくのは、大事な気がする。


眠ってスッキリした頭で考えてみたが、答えは出そうにない。

あの婆様もマルク隊長も、騙そうというタイプの人間ではなかったし、あたしに危害を与える気がしない。世界樹がいいように神託だとか言って、あたしに魔力を与えさせようとしている、ならありそうだ。


朝日が昇ったら、その線で探ってみよう。


決戦になるとは思えないけれど、腹ごしらえは大事。

ウエストポーチからサンドイッチと、水筒を出して腹ごしらえ。


うん。美味しい。

――あの子狼ちゃんは、元気かな。

大きくなったらあのリーダー君みたいになると分かっていても、今だけの柔らかな毛を楽しんでも悪くないよね?

もふもふで癒されたい。


あれ?これって、どこかのエロオヤジな言い分?

お金払ってるのだから、触っていいだろ?的な?


あたし、やっぱりまだ疲れてるんだよ。

うん、そうに違いない。

家に帰ってあのふかふかのベッドに寝たら、きっと大丈夫!


現実逃避をしながらぼんやりしていると、この部屋全体が何かに包まれた感じがした。

むっ。

あやつめ、実力行使に出やがった!


あの島にある世界樹が本体で、回線みたいにこの樹の根っこが繋がっているのだろう。家の裏手からあやつの魔力を感じた。


完全に回路を断ち切るために、燃やしてもいいかな?

外に出ないでここからやっちゃえば、あたしがしたってバレないよね?


逆にあの根っこがあるからこそ、やたらと魔が森に溜まっている気がするし。

だって、森がやたらと騒がしい。


どうするべきかと悩んでいる間に、外から叫び声が聞こえた。


「魔物だ!魔物が攻めてきた!」

「戦える奴は武器を持て!それ以外の者はシェルターに逃げ込め!!」


考えている余裕なんてなかった。あたしが出来ることをしなければ!

銃を片手にいつでも突撃できるように、一階へ降りていきそのまま外へ出た。


「救世主様、危ないので!」

制止するマルク隊長の手を振り払って外へ出る。


「大丈夫!あたしは森から抜けてきたのだから!」


閉じられた城門の上が見える場所に移動して外を確認する。


「あれ?あれは・・・」


危ないです!と必死に叫び雁字搦めにして、外に出ようとするのを止める兵士に声を掛ける。

「大丈夫!あの子たちは森の異変を知らせに来た狼。ほら、首に布が巻き付けられているでしょ?」


本気で心配してくれている兵士たちには申し訳ないけれど、小狼ちゃんに何かあったらこれをぶっ放すかもしれない。だから、ここは引いてくれるとありがたい。


そんな鬼気迫った顔が怖かったのか、手を離してくれた。

門を少しだけ開けてくれたので、外でみんなを迎える。


「森の魔物たちが騒いでるのね?」

「ウォン」

「両方いる?」

「ウォン!」


マジか!


「マルク隊長!スタンピードです。虫も獣も、両方出てきます。出来るだけ倒しますので、ここを開けないでくださいね」


「何を言ってるのですか?!救世主様!」

「ここを開けたら、間違いなく町はなくなりますよ。いいですね?」

「いえ、私たち兵士が町を守らなくて誰が守るというのです!私たちも戦います!」


外に出ようとする隊長たちを止めるため、町の入り口を強固に固めた。

『強化』『強化』『強化』


付与術で成功したものの一つ。

あたしの持ち物全てこれが掛けられていると言えば、効果は言わずもがな。


大概のものは弾くくらい、固いよ!


「救世主様!」

「大丈夫!もしも危なくなりそうなら、屋根から弓で牽制してくれたんでいいから。くれぐれもあたしを撃たないでね」


「あんたたちも無理はしないのよ。いくらその布の力で防御力が十倍になっていると言っても、攻撃力は底上げ出来てないのだから」

「ウォン!」


「小狼ちゃん、母さん狼、あなたたちにはもう一つつけるからおいで」


これで良し!

脚に纏わりついてくる小狼ちゃん!

こんな時でないなら、抱っこしてもふもふし放題なのに!


おのれ、世界樹め。目にもの見せてあげる!




読んで頂き、ありがとうございました。

ブックマークもありがとうございます


次回「26.バーサーカー再び、テイム」

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