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23.街までGO で、ここ何処よ。

錬金術部屋にあった転移ドア。

所謂あの伝説のドアのようなものだ。

何が違うのかと言えば、行先が決まった場所にしか行けないということだ。


それでも島じゃない場所へ行けるって、凄い。

行先を一番この島から近い場所だと書かれてある、プラムという町に指針を合わせてドアを開けた。


おお?

町というから勝手に平野にあると思っていたのだけど、山?

しかも鬱蒼とした森のようで、何の鳴き声変わらないぎゃうぎゃう、ギャアギャアと魔物のような声が響いている。


近くの街が滅びたのか、それとも転移場所をわからなくするために、こんな森にしたかのかわからないけれど、帰り・・・ここまで帰れるのだろうか。


これはアレの出番だね。

マジックバックから取り出しましたのは、探知計。

見た目は方位磁石みたいに時計のようなものだが、目的の場所まで案内してくれるという、ナビみたいな優れものだ。

錬金術室を掻きまわしていたら、これを見つけたのだ。

早速役に立つ。


早速ここを記録するために、目印となるマッチ棒みたいな物を地面に差した。

軽く土を掛けておけば、すぐに同化してわからなくなった。


これでよし!

近くにある町まで。

探知計に声を掛けたが、道を示すのに時間がかかった。

やっと出たかと思ったら、所要時間歩きで一時間~二時間とでた。


これはかなり地形が変わっていると覚悟するしかない。島でさえ全部見回ってないというのに、先に誰の助けもない森を探検とか、中々上手く行かないようだ。

ぼやいていても仕方ない。さっさと歩いて行こう。

こんなところで夜を迎えたくないからね。


森の中を歩くにも、どこに危険があるかわからない。鑑定眼鏡で怪しい植物に触らないように、朽ちた葉っぱがずっしりと埋まり、歩きにくい道なき道を歩く。


正直引き返せばよかったと思うほど、鬱陶しいほどに魔物が襲ってくる。

強化された装備のお陰で短剣で一振りなんだけど、色んなものが飛んでくるのが嫌だ。

こんなことに慣れるなんて、と思わないでもないが、この世界に生きるのなら必要だと思うしかない。


ああ、面倒くさい。ここなら見られることないから、銃で一気に片を付けたい。

森の様子を見るに、人が入っていないのはわかる。

生態系が崩れるかもなんて気にしてたら、普通ならこちらがやられるのだから、やっちゃっていいよね。倒すたびに浄化をかけ続けて綺麗にするのも大変だし!


バーサーカー再び!

火は危険だから、水と風で倒していく。

始めからこうすれば良かった。なんで短剣でなんて思ったのだろう。

まあ、冒険と言えばなんて、ちょっと思ったのが間違いだったよね。


それにしても数が多い。倒し切った後、一々拾うのも嫌になるぐらいだけど、仲間の死骸を食べている者を見てしまえば、拾わずにはいられない。

これらが餌になって大きな魔物が存在するとかなってもまずい。

仕方なく木の棒で触れて、マジックバックへ収納していった。


大きいもので一メートルもあるカマキリとか、バッタとか、芋虫とか、蜘蛛とか、なんでよ!

まだデカい哺乳類の方がましなんだけど!


そんなことを思ったのがいけないのか、ある場所を境に有難く哺乳類が襲ってきた。

シッシの突進、クマの襲撃と続くけれど、物音が大きいので虫みたいに不意打ちがないだけ助かっている。


それにしても不思議な森の形態。

普通は奥にこんな大型の哺乳類がいて、草原に近いほど虫が出るものだと思っていたけれど、実は虫とかの方が危ないのだろうか。


後で知ったことだが、虫は群れで襲ってくるために、大型哺乳類も1匹だと捕食されるほうに回るのだということを。その為に虫の方が恐れられていることを。


やっと光が多く入ってくる場所まで来た。草原のような場所まであと少し。

そう油断している内に、背中を押されて倒れた。


あ、まずい!

当たりを見渡すと狼の群れに囲まれていた。

防御は自動でされるから痛みはないし、傷もつかないけれど、物理的に倒れはする。


次々と噛み殺そうと襲ってくる狼が弾き飛ばされているのを、倒れたまま見ていた。

何故なら、起きようとすると襲ってくるので、必然と倒れるのだ。


どうしよう。

全く諦めそうにない。

仕方なく寝転がったまま銃を撃つことにした。


連射に連射。

キャンキャンと鳴き声を上げ、仲間が倒れていくのを見てやっと思うところがあったのか、突撃が止んだ。

頭はいいらしい。


全部倒しても良かったのだけど、後ろの方に小狼がチョロチョロしているのを見てしまい、戦意喪失。

要は食べ物があればいいんだよねと、熊を上げることにした。

毛皮とか売れるのかもしれないけど、お肉は美味しそうにないし、大きいから食べ応えあるだろうと思ったからだ。


「これをあげるから、ここを通して。仲間を全部殺されるより、いいよね?」


伝わるかどうかわからないけれど、熊を出すと後ろに下がった。

訝しみながらもリーダー格の狼が熊に近寄り、匂いを嗅いでいる。


毒などないと判断したのか、リーダー格の狼が食べ始めた。

どうやら序列があるようで、リーダーが食べるのを止めなければ他の狼は食べられないようで、物欲しそうに見ている。


狼の正しい姿なのかもしれないけれど、あたしとしてはあの小狼に食べさせたい。まだ肉が食べられないのならお母さん狼に栄養をつけさせたいんだよ。わかっているかね、リーダー君。小狼のお陰で死を逃れたのだよ。


何かを察知したのか、リーダー君は熊から引いた。

それが合図となり他の狼も熊に寄って行くが、やっぱりあの親子狼はありつけていない。

あの可愛いもふもふが食べ物にありつけないだと?!


警戒されるかと思いながらも、親子狼に少し近寄った。

親子が食べるに丁度いい、突進してきた角ウサギがいたから上げたいと思う。


「ねえ、小狼たちに栄養を上げたいでしょ。これ食べて」


他の狼からの視線を感じたが、そんなのガン無視だ。

あたしはこの親子が大事なんだよ。


「ほら、お腹空かせてるんでしょ」


あたしは近くで小狼が見れないことを残念に思いながら、少し下がった。

お母さん狼は恐る恐る近寄り、角ウサギを噛んですぐに下がり小狼の元へ戻った。


小さく食べやすいようにかみ砕いた肉を、小狼二匹が必死に食べる。それを見守る母さん狼。

それだと君は食べられないじゃないと、もう一匹進呈した。

じっとこちらを見ていたが、食べていいのだと悟ったのか、母さん狼も食べ始めた。


先ほどまで殺伐としていたが、なんだか和んだ。

小狼、可愛い、可愛いよ。




読んで頂き、ありがとうございました。


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