20.冷静になる為に、お酒を飲みましょう!
バーサーカー状態が家に帰っても続いた。
中々眠れそうになかったので、サクッとマジックバッグを作る。
正直絵心がないせいで、なんやねん!と自分で突っ込みたくなる袋が完成した。
味があると言ってしまえばそれまでだけど、殆ど見た目は麻袋。
その出来の酷さに笑ってしまって、ちょっと頭が冷えた。
まあ、ちゃんと眼鏡でみれば機能はバッチリ。
誰かに見せるわけでもないし、貯蔵庫におけるし、入れるのワイバーンだし、いいか。
腐らなければいいのだ、腐らなければ。
庭に転がっているワイバーンを袋に突っ込んだら、今日はもう何も考えたくない。
お風呂に入って、ごちゃごちゃした物全部洗い流したい。
お風呂で逆上せてしまいそうになるまで浸かったのが良かったのか、ベッドに入れば闇に溺れるように意識が沈んだ。
明日からのことは明日考えればいい。
朝がきた。
靄っとした感じもない。
いい目覚めだと思う。
これならあーさんと向き合えるし、これからどうするのがいいか決まるはず。
本当によくわからない世界だ。
あたしに世界樹のことを植え付けた人物が、ゲームでいうところのGMとして、世界樹はAIみたいなものかな?
見守るだけの存在が、暴走して?自我をもって?何故かシステムコントロールしている感じ?
人間を死なせたくないと世界中の世界樹を枯らさないようにコントロールしていたはずなのに、魔力を吸い上げすぎて人間の数を減らしていることに、気付いていないのか。
魔力を持つ人間が少なくなったのが事実なら、魔力を必要とする魔道具は廃れていくし、世界樹の葉も必要としなくなっていく。
何故なら、この世界の人間や魔物に魔力があるからこそ、世界樹の葉は効果を持つ。
魔力を持たない者に、世界樹の葉を与えても生命は元に戻らないし、癒されることもない。
保存の効果は発揮するから、血を止めたり、病気の進行を止めることは出来るらしいが、森に生えている薬草などで薬師が作った薬の方が、良く効くらしい。
これが事実ならば、いずれ世界は世界樹を守ることを止めるかもしれないね。
逆に魔力を吸い取る悪とされてしまう時代が来るかもしれない。
――と、つらつらと考えたところで答えが出るわけじゃない。
実際この世界のことは、何も知らないのだ。
あたしが何者なのかさえも。
だから、今日はお酒を造るのだ。
なにがだからなのだと言われても、今のあたしが出来ることはお酒を造ること。
造ったお酒を肴に、α波で考えるのも悪くないはず。
要は面倒なことを後回しにしたい。
さあ、お酒を造りましょ。
呑兵衛だと誰に言われることもない。
あ、でもその前に、お酒を取りに行くところから始めないとね。
ワイバーンのせいで樽を置いてきちゃったよ。
では、早速朝ごはんを食べて、取りに行きましょう!
ご飯を食べて自転車のところに行けば、樽が置かれてあった。
どうやらお酒を持って帰ってくれたようだ。
「あーさん、ありがとね」
コッコ。
控えめに返事があった。
凹んでるのは分かる。
「あーさん。お酒造って飲んで、色々話そう?この島も便利だし、世界的には無いと困るのかもしれないけれど、使ってるのはあたし達だけだよね」
コッコ。
「だからね。捨てちゃってもいいんじゃない?」
コッコッコッコ?!(な、な、なんですとー)
「まあ、それよりも。お酒造っちゃおう!」
コッコッコ?!(本気で言ってる?!)
あーさん、驚愕!
「本気、本気。ただ捨てるのはもったいないから、活用はしようね」
自分の中の魔力を使わないで使える魔術具も作ってみたいし、
こんなんあるよー。
って、植え付けられた知識の1つ、召喚術も試してみたいし、
マジックバッグを沢山作って、いざという時の為に蓄えたいじゃない?
ダンジョン巡りをしてお宝を探しくいくのもいいけれど、毎日の日常を楽しく過ごせる方がいい。
その為には食料を溜め込むのだ!
鶏さんたちが溜め込みたいという気持ちがわかったよ。
どんとこいだ!
「あ、あーさん。砂糖とお塩がもうすぐなくなるのだけど、何処に行けば手に入る?」
コッコ。
「お塩は裏山の洞窟の中に岩塩が。砂糖は花壇にある白い花を煮詰めたらいいの?出来るの、蜂蜜じゃないんだ?」
コッコ。
蜂蜜はハッチが蓄えているのを貰ってくる。
なるほど?
貰ってくるのが、奪ってくるのか、そこは追々に。
ではでは、お砂糖を作って、果物を切って、お酒を入れて漬けましょう。
錬金釜に入れれば、一時間であっという間に出来上がり!
果物も皮を剥いて煮込めばジャムになるし、無駄なんてない。
さあ、あーさん飲みましょう。
飲まなきゃやってられないと思うんだ。
冷静になんて思っても、やれることなんて限られている。
だからね。
この際だから、あーさんの本音も教えてね。




