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18.妖精の悪戯

一階を道なりにポップした敵を倒してきて、アイテムもかなり溜まった。引き返しているだけでもリポップすることを考えると、充分過ぎるほどの材料になると思う。

だから、帰ろう?


そう声を掛けようとした時には、あーさんはもう居なかった。

え・・・・・と?

どこ?


コッコ!

ですよね。わかりたくないけど、わかってたよ。

二階に降りたんだよね?

なんで?


あたしゃ、数々のスプラッタ状態を目にして、もうどこもかしこも一杯いっぱい。

夕食のお肉なんて見たくもないですが。

夕飯なしで、寝ててもいいですかね?


そんなあたしの心からの訴えは、言うことさえ出来ずにダンジョンの中に沈んだ。

あたし一人で家まで帰る自信もなく、トボトボと付いて行くしかなかった。


そして付いていくと決まったなら、嫌でも気合を入れるしかない。気の緩みが命を落とすキッカケになってしまうのだから。

胃からなにやら上がってくるものを感じながら、必死に呑み込んで二階に降りた。


二階に降りた途端に、目の前がパーッと開けた。

ここ、本当にダンジョン?


見渡す限りいろんな色の花々で埋め尽くされ、何処を歩いていいのか迷うぐらい敷き詰められている。

一歩踏み出して、花を踏みつけても大丈夫なのだろうか。


先を軽やかに歩くあーさんの後を、足元を気にしながら歩く。

気になって歩いた場所を振り返ってみるが、自分が踏みつけた後なんて、何処もなかった。

再生能力が高いのか、リポップ時間が短いのか。

どちらにしても自分が歩いた場所がわからないなんて、帰り道を見失うに等しい。


花が痛まなくて良かったというよりも、この事態が怖い。


そしてあーさんに続いて歩いているはずなのに、歩いた気がしない。

どこまでも同じような花ばかりで、本当に歩いているのかと疑いたくなるほどだ。


コッコ。

もうすぐ、とあーさんはいうが、何をもってもうすぐなのか。

癒さるはずの花々が、恐怖の対象になるとか、誰かが思うのか。

初めての経験ばかりで、心が疲れているのだと思う。疑心暗鬼に囚われていた。

あーさんのことすら信じられないぐらいに。


ねー。あーさん。

もう歩きたくないよ。

花ばかりで何もない。

それなら早く帰ってお風呂に入ってスッキリして、早く寝たい。

疲れたの。

何のために、此処に来たの?

もう材料揃ったでしょ?

ねー、あーさん。


コッコ―――――――ォォッ!!


物凄く焦ったあーさんの声。

一体何に焦ってるの?!


ズーンと重たい頭を必死に起こして周りを見るけれど、やはりそこは花だけで・・・。

ん?大きな木?

――――――というより、山?


よくわからないけれど、この山みたいな大きな樹の近くは、なんだか気持ちがいい。

ちょっと凭れて休憩してもいいかな?

先ほどから頭が痛くてたまらない。少しだけ目を瞑るだけでも違うと思うから、少しだけ場所借りるね。


どれぐらい目を瞑っていたのかわからないけれど、気が付けば先ほどまで酷かった頭痛がなくなっていた。


コッコ。

「ん、大丈夫。あたし・・・・・・・?」

コッコ。

「え、妖精に、なに?」

コッコ。

「惑乱の術?」

コッコ。

「悪戯?」


正直まったく頭が回らない。

先ほどまで錯乱状態だった負の感情は、早々に消化できない。

今は誰のことも信用できないし、混濁した感情を持て余している。


こんなにも精神的に圧迫掛けておいて、悪戯だから許せとか言われたら、ふざけるな言いたい。

ここにあたしを何で来させたの。


コッコ・・・・。

申し訳なさそうにあーさんが謝る。

まぁ、今のあたしの状態は、あーさんがここに連れてきたのが元凶だけど、あーさんにとって妖精たちの悪戯は予想外だったようだ。


「で、どうしてあたしをここに連れてきたの」

ちょっと険のある言い方になるのは仕方ない。


コッコ。

「この樹を見せたかった?」


改めて見ようと目を向けると、ちゃんと鑑定が出来ていた。

どうやらあの怪しげな術のせいで、鑑定すら出来なかったようだ。


世界樹 この世界にある世界樹の原種  弱体化


世界樹って世界にある程度あるんだね。これ1本とか言われたら逆に怖かったから、安心した。

それよりも、弱体化って。


コッコ。

「魔力が足りない?」

コッコ。

「長きにわたり、ここに人が来なかったから?」

コッコ。

「水をやって欲しいって、どうやって・・・」


周りを見渡したけれど、水の出る泉とか小川とか眼鏡で見渡すけれど、どこにもない。

先にってくれていれば、マジックバックに水入れて持ってきたのに。


コッコ。

「魔力で水を出せるはずだ?」


「この水鉄砲じゃない、銃で水属性にすればいいの?」

コッコ。

「違う?あたし自身の魔力でって・・・どういうこと?」

コッコ。

「ここに来た時に、自分で水を出したはず?」


記憶を遡って思い出してみる。

そしてここに来て死にかかった時、確かに水を飲んだ記憶が。


必死すぎてどうやったのか、全くわからない。

確かあの時は、・・・水が飲みたいと心の底から渇望した。


魔力が体にあるのは、家の物を使っているときにすぐにわかった。あれを具現化させることなんて、考えたことなかったけれど、出来るってことだよね。


この魔術具を通さなくても、魔力は具現化させ、水をこの手のひらに出す。

手のひらに何となく集まってきている温かいものを、水に変換する。


それは呪文?

「ウォーター」

――違う。


空気中から集めてくる?

この世界の空気の元素がどうなのかわからないし、わかったところで元素何てわかんないから、どうしようもない。

この空気の中に水滴が合って、それを集めてくるイメージとか?


それともラノベでよく見るように杖みたいなもの、媒体が必要?

それって、魔術具とどうちがうの?


わかんないことだらけで、どうしろっていうの。

あそこにあった本を全部読めばわかった?

鶏のあーさんにどうやって出すのなんて聞いてわかるの?


あ、そういえばあーさんたち、かまいたち見たいなので戦ってたよね。

魔力使ってる!

キュッとしてバッとだす、なんて言われたらどうにもできないけどね。


「ねー、あーさんはどうやって風を起こしてるの?」

コッコ!

思えば出る!


――だよね。

ちょっと期待したのに。

さて、どうしよう・・・。


 

読んで頂き、ありがとうございました。

面白いと思って貰えたら、嬉しいです。


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