14.鑑定
出来上がったと錬金釜が知らせてきた。開けてみると、大きさの違う業務用の密封袋が2本入っていた。
大型肉が包める大きさということは、冷蔵庫に包まれて収納される謎設計の備品ぽい。これは何処にセットしていいのかは、後で鶏さんに聞くことにしよう。
まずは本命の密封袋が出来上がり、一安心だ。
改めて錬金部屋を見渡して、いろんなものを見ていく。レシピを読んだとしても、どんなものなのか分かるために、触って知る必要がある。
ただ、触るだけでは、やっぱり何かわからないものも多かった。
「鑑定」
こっそり囁いてみたが、手に持っている草がなにか、示すものは何処にも出なかった。鑑定のスキルがこの世界にないのか、いやあるはず。
そうなるとあたしに才能がないのか、発動する言葉や動作が違うのか、一通り試してみるしかないかな?
結果、どれだけ睨んでみても情報は浮かんでこなかったし、そんなスキルが発生した様子もない。これは錬金する上で、マイナスポイントではないだろうか。自分が作った物が安心安全設計なのか、確認することが出来ないとか、危ないにもほどがある。
それ以前に、物を作るにも、材料が分からないという致命的欠点が浮き彫りになった。
全部鶏さんが答えてくれるとか、あればいいんだけども、お肉の為だけに動かれたら困るし。
「後は錬金釜みたいに、魔道具?魔術具?みたいなのがあるかだよね」
独り言を言ってみてわかった。これっぽい。
それっぽいものはどれなのか闇雲に探してもだめだから、レシピ集を読んでみよう。そこに作り方とか説明があるかも知らない。
錬金のレシピ集は沢山ある。大まかに分けるこんな感じだ。
①料理
②料理で使用する小物
③衣服(小物含む)
④その他生活用品
⑤付与
一番心躍るのは⑤の付与なんだけど、始めの方はよくわからない記号のような物が並びすぎて、目が痛くなりそうなものばかりだ。
どうやらこれを間違いなく写し取り、錬金で出来上がったものに焼き付ける物のようだ。
これは一筋縄ではいかなさそう。
仕方ない。このままこれを読んでみたいし、頑張って取った虫の糸があるから色々試したいところだけど、そろそろ夕ご飯の準備に入らないといけない。
折角だから今日作ったベーコンをメインに作ってみよう。
野菜スープにたっぷりベーコン入れたものと、ベーコンたっぷりの野菜炒めにすることにして、早速スープを作った。野菜炒めは味付けがすぐに出来るように、切っておくことにする。
まあ、煮込むか焼くだけかの違いと言われたら、それまでだけどね。
スープの塩加減や味の調整を行ったら、火を消して味をなじませることにし、ちょっと遅いおやつにした。
今日のおやつは林檎。
包丁で切って芯だけとって、シャリシャリと食べる。
甘くて美味しい。
食べながら、ボンヤリ思う。
訳の分からない場所に来て死にかけたものの、こうやって普通に生きていける。有難いことだし、今を頑張って生きるしかないのだけど、贅沢な悩みだと思うけれど!
甘い物や紅茶とか珈琲が欲しいと思う。あのレシピ集の中にあると信じて、鑑定が出来る物が早急に欲しい。全部食べて死にかかるようなことをして、覚えたいわけではないのだ。
材料は気合でどうにかしなければならないことがあるかもしれないけれど、鑑定は、鑑定はどうにかして欲しい。聞ける人が鶏さんだけとか、どうよ。
その鶏さんも普通じゃないスーパー鶏さんだから、食べるものに困っては、(肉多いけど)ないのは有難いのだけどね。
お茶が飲みたい。
餡子食べたい。
チョコレート食べたい。
アイスクリーム食べたい。
おにぎりが食べたい。
駄菓子食べたい。
だから、鑑定できるものを探すのだ!
気合が入ったところで、コッコと鶏さん達が見回り?から帰ってきたことが分かった。
ドアを開けるとコッコ、コッコと皆が入ってくる。
これだけ見れば、和むのだけどね。
「鶏さん、今からお肉焼くから待ってて」
コッコ!
第二弾まで焼けるように肉の準備をして、焼き始める。
本当にこの包丁はよく切れる。もしかしたらこれも何か付与されてるのかもしれないなぁ。だって、スーッと切れて、切り口が綺麗なだけでなく、包丁に全く何もつかないのだ。肉の欠片だけでなく、肉汁も血であっても。こんな包丁が現代にあったなら、めっちゃ売れたね。衛生的で且つよく切れるなんて、最高品。
片面が焼けただけでも、良い匂いでお腹が勝手に空いてくる。
コッコ!
どうやら鶏さんも同じようで、落ち着きがないように家の中を歩き始める。
可愛い奴らめ、もう少し待たれよ!
スープも温まったし、まずは頂きましょう!
お皿にスープと野菜炒めを別々に並べていく。全員に行き渡ったところで、頂きます!
うん。美味しい。
いい感じで塩とハーブが効いていて、体も温まる。
筋肉疲労20%回復というバフがついているだけあるかも。
あたしが食べ終わるのを待ってくれていたようで、テーブルの下を見れば期待した目を向けられた。
ハイハイ。焼かせて頂きます。
第二弾のお肉を焼いて、野菜を炒めて、かるく味付けしたならば出来上がり。
これで美味しいのだから、お肉も野菜も素材が凄くいいのが分かるよ。
「どうぞ」
お肉多めで盛りつけられた野菜炒めを、美味しそうに食べてくれる鶏さん達を眺めながら、もっと美味しいものを食べられるように頑張ると気合を入れた。
鑑定が出来る物を探さないとね。
ただ、時間かける前に確認。
「ねえ、鶏さん。色々と食材だったり、出来上がったものについて色々と調べたいのだけど、鑑定が出来るような物あったりする?」
皆が首をコキコキと傾げる。
やっぱり考えが甘かったかな?と思い始めた時、彼らしき鶏さんがどこかに走っていった。
これか?!とばかりに突き出されたのは、眼鏡。
あれ?これって、この世界に来た時に無くしたと思ってた眼鏡?
掛けてみると、とてもしっくり来ていた。
フレームと言い、このレンズの大きさといい、まさしくあたしの眼鏡!
その眼鏡を通して見渡すと、色んな情報が飛び込んできた。
余りの情報の多さに、目の奥がクラクラする。
どうやら、普通の眼鏡はこの世界に来て魔道具的な物になったようです。
読んで頂き、ありがとうございました。
本日19時に今日ラストの投稿在ります。
次で第一章終了です。




