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10.錬金釜と保管庫

昨日と同じようにソファで目覚めたあたしは、鶏さん達に挨拶をした。

一つの卵をあたしの朝食用にくれた後、玄関のドアに向けて歩き出す。今日もパトロール兼朝ご飯と称して、庭や森へ出かけるようだ。


「あ、鶏さん。お肉はまだまだあるから今日は狩らなくて大丈夫だからね」

コッ!


何でって驚かれても、冷蔵庫の中満タンなんですが。

「お肉が冷蔵庫から溢れても、腐らすだけだから勿体ないでしょ?」

コッコ。


それもそっかーと納得してくれたなら良かった。だけど何故か少し体の大きい唯一の雄の鶏さんは、反対した。

コッコッコ。


ウム。なんて言っているのかわからない。どうやら始めに話した鶏さんとだけ、意思相通が出来るようだ。彼は何やらお肉に特別な思いでもあるのだろうか。異世界あるあるだと、ベーコンとか干し肉を作ったりしているみたいだけど、他の誰かに売るわけでも、あげるわけでもないから、冷蔵庫のお肉だけでいい気がするよ?

先に言っておくけど、あたしは作り方なんてまったくわからないからね。


どうやら自分の主張が認められていないと悟った彼(鶏さん)は、付いて来いとばかりに短い羽根を持ち上げ、あたしの前を歩き始めた。


これは付いて行かないと拗ねて面倒な予感。

仕方ない。付いて行ってみよう。

どうしても今からしなければならないことなんてないし、今日の所は彼の主張を聞いてみるのも悪くない。


姿かたちは違うけれど、カルガモの親子のように何故か列に並んでみんなで廊下を歩く。

ここを開けろと羽で示したのは、昨日あたしが寝ようとしていたカントリ風の部屋の横。そういえば昨日は隣を見ていなかったよ。

早く開けろと騒ぐので、ドアを開けた。


これは、また・・・。色々とそそるね。

この部屋も状態維持の魔法か何か掛かっているのだろう。誰も世話をしていないのにもかかわらず、素材らしき物たちは古びていない。

そして大きな鍋、そう魔女が薬草を煮込むのに使いそうな大鍋みたいな物と、大型の電子レンジみたいなものがあった。


コッコココッコ・・・・・・・。


説明らしきことをしてくれている声をバックに、そこにあったノートを開いた。

そこにあったのは、錬金釜で作るいろんなレシピだった。大鍋に見える錬金釜では食料品・薬品等を扱い、電子レンジみたいな錬金釜は、それ以外を作るものだと説明がされていた。

まだまだ研究の余地があり。

研究熱心な人だったようだ。


肉と書かれた付箋をめくるとそこに錬金釜で作るベーコンや干し肉、焼き豚、ソーセージなどの材料や作り方が載っていた。


なるほど。

どうやら肉を使って、これらを作れと彼(鶏さん)は言っているらしい。

確かにお肉も焼く、煮込むの味がちがうだけだと、飽きてくるかもしれない。しかも、これらの味を知っている彼(鶏さん)は、舌が肥えているグルメさんなのだろう。


これは作るしかないね。あたしとしては、そのほかの物に目が行くのだけど、気合入った鶏さん達を止めるのはお世話になっているあたしの心情としては、頂けない。


この中に米があるなら味噌汁と焼き豚とかいいんだけど、あるのかな。米どころか、小麦とかあるのだろうか。せめてパンだけでも食べたい。小麦があるなら、その中に挟むベーコンやソーセージなんていいと思うんだよね。卵あるし。


悩んでても仕方ない。作れるだけ作ってからまた考えよう。

この中のレシピで出来そうなのは、ベーコンだね。塩とローズマリーがあれば出来るみたいだし。他の葉っぱでもいいみたいだから、昨日の謎の葉っぱでもいいかもしれない。


本格的に作るなら、燻製用のチップがあった方が良かった記憶だけはあるのだけど、今日はお手軽な奴にしておこう。食べられる物を確保してから、研究用にしておかないと、夜暴動が起きてはいけない。何故か鶏さん達は夜はみんなで食べるという意思が伝わってくるからだ。


「じゃあ、今日はベーコンを作ってみるね。だからあの葉っぱと香りのいい樹の枝?が落ちてたら拾ってきて欲しい」


大きく皆が頷いたと思えば、鶏とは思えない速度で居なくなった。

飛んでいたように見えた鶏さんがいたけど、気のせい?いや、この世界の鶏さんは飛ぶのだ。うん。


ということで、庭にどんなハーブがあるのか探しにでるのもいいかもしれない。鑑定が出来る物を増やしていかないと、錬金釜に入れる素材が分からない。それでは疼くワクワクが楽しめない。毒草だけには当たらないように気を付けなければいけないけど。


このまま外に出て活動するには微妙なルームウェアから一先ず、部屋にあった動きやすい服装に着替えて、まずは目玉焼きとバラ肉っぽいものを焼いて食べることにする。とりあえずの腹ごしらえが出来たなら、小麦か米があるのか家の中を探しておきたい。この先ずっと卵と野菜とお肉だけは、贅沢な悩みかもしれないけど、ちょっと辛い。

錬金釜にパンと書かれたボタンがあるのだから、どこかにあると信じて!


ぐぅぅぅぅ・・・。

鶏さん達が嬉しそうに食べるから、夜はあまり量を食べれていない。

さあ、腹が減っては戦は出来ぬ。しっかり食べて、夜ごはんもしっかり自分の分が確保できる量をつくらないとね!


朝食を食べ、あらゆる部屋を探し、まさかのまさかで自分の部屋としようとしている部屋の床に、保管庫があるなんて思っても見なかったよ。

そこで無事小麦を発見したので、今からパンを焼こうと思う。




読んで頂き、ありがとうございました。

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