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乞食王国の姫君  作者: Sana
1章
1/20

プロローグ

記憶の底。


覚えているはずがない生れ落ちた瞬間の景色。


息苦しくて、息苦しくて、助けて!と、心が叫んでいた。

突然、肺の中にたくさんの空気が入ってくる。


――――眩しい!――――


目の前に明るい光が溢れて、目から涙が、唇から声がもれる。


声に応えるように、天井から花びらのようなものが降り注いだ。


風のような、光のような、なにかが、ひゅんひゅん、ぐるぐると、怖いぐらいの速さで周りを回っていてめまぐるしい。


びっくりして涙も、声も止まった。

何度も瞬きする。

これは、なに?


泣き止んだわたしを、しっかりとした安定感のある手が抱き上げて、温かな湯で体を清めてくれた。


白い、ふんわりとした布に包まれ、寝ているかかさまに渡される。


わたしを見るかかさまのやさしい笑顔。

ととさまのうれしそうな顔。


でも、かかさまが、すこし悲しそうなのはなぜだろう?


わたしもうれしくて、かかさまが心配で、ふたりへと手を伸ばす。


そこへ、ノックの音が響いた。


「お入りなさい」


執事のジョセフの声に続いて、いくつもの足音が聞こえ―――


ととさまが、わたしをかかさまから受け取った途端、周りの景色が変わった。


ここは、浮島だ。

大好きな、やわらかな緑の匂い。

わたしの目の上に光輝く宿り木が見える。

白い服を着たととさまが、わたしを抱いたままゆっくりと膝をまげた。

跪いている子ども達と視線が合う。

どの顔も真剣で、その額には小さな輝きがある。


「誓いを」


声を合図に、4人の子ども達がわたしを囲んだ。


「--------------------」


なに?

何と言っているの?


風と光の渦が一層激しくなって聞こえない。


ただ誓いの言葉が金色の光となって、わたしと子ども達を包んでいくのがわかる。


天井から、また沢山の光の花びらが舞い落ちてくる――――――――。



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