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異界人のヒト救い  作者: 岡田夕遙
1/1

望マヌ孤独ハ最悪ノ恐怖

人徳に恵まれず、同級生にいじめられる日々、家族に見放され、夢を打ち砕かれ………。こんな人生に俺の生きる意味はあるのか?そんな疑問を抱えて生きて半年が経った。俺は生きることを諦めた。

俺は今日、死ぬ。


 生徒がいくつものコミュニティをつくり、昼食を食べながら駄弁る時間。俺は一人屋上に出た。俺のことを嘲笑うかのように、俺のことを内側から蒸発させるように照りつける真夏の日差し。学校中から聞こえる生徒、教師すべての声が俺を馬鹿にしているようにしか思えない。………そうとしか思えない。

 「何でアイツは学校にいるんだ?」「生きてる意味あいつにあるの?」「独りでいつもブツブツブツブツ何言ってるんだ?気持ち悪ぃなぁ。」「死ねばいいのに。」「死ねば?」「死ねよ。「死ねって。」「早く死ねよ。」「死ね。」「しね。」「シネ。」死ね死ね死ねしねしねしねしねシネシネシネシネシネシネシネ

「………!ハァッ……ハァ……ハァ。」

 ただの悪口なんて、可愛いもんだった。そんなもんだったら全然耐えれた。死のうとなんて思わなかった。なのになんで、あんなこと……顔にできた幾つものアザ、腕の切り傷、よくある設定の便所でのいじめ。「なんかむかつくから。」そんな理由で、そんなあほみたいな理由で行われていたいじめ、そこからの解放。逃げだと言われても仕方がないが、俺にはそれに立ち向かうほどの勇気はないし、逃げることしか俺は、俺にはできない。弱い?確かにそうだな、俺は弱い。こんなに弱い俺は…

「もう……こりごりだ。」

 胸くらいの高さの策を乗り越えて淵に立つ。視界に入る俺の檻である校舎は綺麗に造られている。ただ、俺にはここの空気がひどく濁ったものに見えて、それは校舎を覆いつくしていた。見ているだけで吐きそうになった。

「これで全部終わりだ。こんな人生いらない。」

「キミは恵まれているのに?」

 後ろから女子の声が俺の耳に入る。それはとても耳に心地良い声だった。でも、汚れきってしまった俺の心は、誰の声も受け入れようとしなかった。だから……

「俺は恵まれてなんかいない!もう終わらせてくれ!」

目を瞑り、空に背を預ける。体は風に包まれた。

「ハァ、仕方ない。ヒトの仔は面倒くさいなぁ。」

 俺の人生はこれで終わるはずだった。


「………ぇ……ねぇ……ねぇってば!」

「⁉……あれ、何で……俺、飛び降りたはずじゃ。」

目を覚ますとそこには女子がいた。おそらく声を掛けてきた女子……

「?何を言ってるの?キミはここでずっと寝てたんだよ?」

「…?そうなのか?」

 いや、俺は飛び降りたはずじゃ…。暑さのせいで倒れてた、のか?

「うん。で、あまりにも長い時間寝てたから心配になってさ、今夏だし、熱中症になったらダメでしょ?」

「別に……あんたは何でここに来たんだ?」

「えっとね……ボクはキミの隣のクラスの、2年4組の岩田風音。キミがボクの教室の前を通ったからさ、気になってついてきたんだ。」

 この岩田っていうやつは、よくいるスポーツ好きな感じでポニーテール女子だ。よく教室にいる感じの明るい女子。見た目はいいやつなんだが、俺はそういうやつによく騙されてきたから信用できない。

「なんで俺なんかにかまうんだよ。教室の前を歩く奴なんていくらでもいるだろ。」

「うんとね、ボクの教室通った時にキミの顔を見たんだけどさ、キミの顔、触れると一瞬で何かが崩れそうだったからかな。ボク、ヒトがそういう顔してたら放っておけない質でさ。」

「……!」

 俺はそんな顔をしていたのか?自分でも信じられなくて、自分の弱いところを知られてしまったのがとても恥ずかしかった。俺はそんな自分をなぜか知ってる岩田を拒絶するように聞いた

「何でそんなことが分かるんだよ。」

「いろいろなヒトを見てきたからかなぁ。キミとボクとでは触れ合ってきたヒトの数は天と地の差ぐらいあると思うよ。ついでにいい?」

「なんだよ。」

「キミが何でそんな顔をしてたか当ててあげようか?」

「…別にいい…。」

「キミはいじめられてるよね?キミと同じ眼をしているコはこの世に五万といる。ただ、ボクはキミの日常をよく知らないし、まして興味なんか持ったこともなかったんだ。でも、あの顔を見てしまうと、興味を持たずにはいられなかったんだよね。調べたりはしなかったよ?ボクは眼を見たらヒトの現状をある程度知ることが出来るからさ。」

「………俺をどうするつもりなんだよ。」

 眼を見ただけで人の現状をある程度知れる、この言葉に何で突っ込まなかったのか、自分でも理解できない。俺のことを本当に知っていたから、その言葉を信じ切っていたのかも知れない

「別にどうもしないよ?ついでに聞くけど。」

「なんだよ?」

「キミ、死のうとか思ってるだろ…。」

「は?」

 何を言ってるんだコイツは?確かに死のうと思っていた

「キミの眼には色がないんだ。ソレは希望を失ったヒトが持つ眼なんだよ。キミの親が望んで産んだ命なんだ。キミは生きるべきだと思うよ?」

「今は産んだことを後悔してるだろうな…。お前の言う通り俺は死のうと思ってる。そのためにここに来たんだ。」

「そう…。何で後悔しているってキミは分かるんだい?」

「何でって、俺は出来損ないのどうしようもないやつで、夢もすぐに諦める中途半端なやつだから……。」

「それはあくまでキミがキミ自身に植え付けたイメージを他人も思っているはずだって勘違いしているからじゃないかなぁ?思い込みがヒトを形成してしまうからね。キミはキミ自身に対するイメージに押しつぶされてる。ボクはそう思うんだけど、どうかな?」

 本当にこいつは俺に何をしたいんだ?どうしてもその疑問が消えなくて、訳が分からなくなって、この女の質問や言ってることは図星だった。だから、これ以上自分の心が見透かされないように、拒むように叫んだ。

「ふざけるなよ!俺がおれ自身を苦しめてるって言うのか!?お前はおれの事これぽっちも知りやしないだろ!」

「ハァ、全部じゃないけど知ってるからキミにこうやって言ってるんだろ……。言ったじゃないか、ボクはヒトの目を見たらそのヒトのたいていのことを知れるんだって。」

「そんな非科学的なこと信じれるか!」

「別に信じてくれなくてもいいよ?ボクにはボクのことを理解してくれるヒトがいるからさ。」

「お前らぁ‼授業中に屋上で何騒いでんだぁ!」

「げ……」

 生徒指導担当の教師、ハゲの谷崎だ。この学校で一番といっていいぐらい面倒くさいやつだ。中庭を挟んだ校舎の教室から叫んできた。

「面倒くさいね。そうだ、キミ今から時間ある?」

「何でだよ。」

「さぼろうか、授業。」

「何でさぼる必要が……。」

「教室に戻るのとどっちがいい?キミが授業に遅刻したらクラスメートは何て言うかな?」

 教室……聞いただけで吐き気がする。少しむかつくからというバカな理由でいじめを始めるやつらの巣窟なんてもう見たくもない。

「わかったよ。で、何するんだ?」

「ボクの行きつけのお店に行こうか。えっと、キミのことは何て言えばいい?」

「門倉玲だ。普通に名字で……。」

「よろしく、玲君!」

「ハァ、もう何でもいい。」

俺の名を呼んだ時に彼女の姿を見ると、制服姿の後ろにもう一人の岩田の姿があった。その岩田は山伏の姿をしていて、なぜか腰に黒い翼がついていた。その姿は一体何なのか、なぜそれが見えるのかがわからなくなり考えていた。

「何してるの?早く行こうよ!」

「荷物が……。」

「あぁ、そうだね。取ってくるよ。キミは校門前で待ってて。」

 そういうと彼女はニコニコしながら走っていった。


学校からだいたい徒歩でニ十分、千桐駅近くの商店街を歩く。

「こんにちは、風ちゃん。その子彼氏かい?」

「は?」

「違うよ、八百屋の婆ちゃん~。」

「やあ、風ちゃん、今日もかわいいねぇ。」

「風ちゃんコロッケあげるよ。いつもお世話になってるからねえ。」

 歩いてるだけで多くの従業員や客であったりに話しかけられている。正直、ここまで話しかけられていることで、こいつがそれだけ人がいいっていうのが分かる。

「ね?ボクはいろんな人と関わっているんだ。」

「うるせえ、見てたらお前がすごいのは分かった。」

「なんだよ、ボクが子供のように言って。」

「実際お前は子供みたいだ。」

 とかなんやら話していたら、ひときわ目立つ店があった。素朴な商店街には合わないヨーロッパにでもあるような雰囲気の店。店名は……

「ここだよ、ボクの行きつけ。『古本喫茶店リュッカ』。リュッカはスペイン語で幸福の意味らしいよ。」

「俺には縁がない言葉だな。」

「まぁ、入って入って!」

「お前の店じゃないだr……。」


ここに導かれたのは偶然だったのだろうか。それとも運命?

どちらにしろ、このイワタとの出会いがおれの人生を大きく変えることになった。

どーも、岡田です。

今回は、連載ものを投稿いたしました。

いじめから自殺をした主人公、しかしそれは夢だった!?

ありがちな始り方ですね笑

この作品は週に一回のペースで投稿していこうかと考えております。

しかし、文章を書くのには慣れていないもので、もしかしたら二週間に一回いや、月1になるかも?

そんな感じで不安定な私ですが、この作品を楽しんでいただけたらありがたいです。

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