クローバー5枚目
雪原うさぎが暑い国の海から連れてきたのは、人間の姿になるとしゃべれなくなることをのぞけばとても賢い人魚だった。
彼女の話を聞く限りではどうやら住むところを変えたくなったらしいので、雪原うさぎはちょうど家事をしてくれる誰かがいたら楽しいかもしれないと思って、なんだか気があったのでそうした。
「私のとこ。雪で覆われてるけどその下は綺麗な鉱石なんだって。学校で習ったんだ」
何日の間かかけて枯れ葉の国とか通り過ぎ、雪原うさぎは人魚を連れていつものところに戻ってきた。
「あと、あなたに教えた文字も。まぁ、これからよろしく。嫌になったらどこかのあいてるお家にいったらいいよ」
人間の姿の人魚はこくりと頷き、手を差し出してきたので、雪原うさぎは握手をする。
近くの雪をかき分けて家の中に入り、薪に火をともして部屋の中を温める。
「食料あったかな」
棚を探してみると、小麦粉や缶詰があったから無いわけでは無かったけれど正直なところ心許なかったので、旅から帰って早々買い出しに行く必要がある。
「買い物してくる」
空がすっかり暗くなっていたので、いつもの片手剣とスキーを持って雪原うさぎはまた外に出た。