クローバー4枚目
あまりにもかけ離れすぎた場所には来るものじゃないなと、雪原うさぎは思った。
思いだしたかのように長旅の準備をして見慣れた銀世界の国を出て、常に暑くてけれど景色は草木の緑が濃いめの色の国に来たのだ。
こんな場所の神社にもあたたかい甘酒はあるだろうかと思って来たけれど、無い。
その代わりに屋台が沢山並んでいて、いつもの神社とはかけ離れたにぎやかさがそこにはある。
「焼きそば、たこ焼き」
食べ物の種類としてはよく知っていて、それがこんなに簡単に買えるというか、一度に同じ場所で何種類もの食べ物屋台を見ることは少なかったのであれこれ歩いて見て回る。
食べ物の他には、装飾品や玩具もあった。
それなりに人が多くてにぎやかで、夏用の着物を着ている者もいた。
「それなに」
小型化した雲を持っている男の子がいたので、雪原うさぎはその子を猫つまみして持ち上げながら問いかける。
「きゃっ!びっくりした……なぁに、おねえちゃん」
「あ、ごめん。小さい雲をもってたから」
「雲?あ、これ……?わたあめだよ。お砂糖でできてるの」
「へー」
男の子が話し終えてから、雪原うさぎは猫つまみをやめる。
「あ、あっちの屋台で買えるよ」
「そっか。ありがとう」
言われたとおりの方向に行くと、たしかに小さい雲を作っていたり、袋詰めされていたりなわたあめ屋があった。
「それ一つください」
思い出してみれば、わたあめはじめて食べるかもしれない。
これと、あとなにか祭りならではの食べ物を買ってから海と言うところにでも行ってみようと雪原うさぎは思った。