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やり直し予定。  作者: 葉木ハラ
9/21

ソウェルトだけ

「問題がないといいけど…今回、やっとダクゼェアが参加してくれて良かったわ。彼らは争い過ぎよ。すぐには無理でも私たちが平和の道に導かなければいけないわ」


「10年前は一度いい風が吹いたのに、すぐに悪くなったのよね」


「 あれからは諦めたよね。まぁ4年前に竜の嘆きを聞いたから、見放さずきたけど、次、参加しなかったらさすがにもう一度諦めるとこだったわ」


『ソウェルトの人々』


レイとサナが晩餐会の広場視察の為に歩く。チラチラと人々の視線を受けた。


「サナ、俺らの担当場所は?」


「え、はい。左の方奥出入り口です」


サナは少し挙動不審であった。それに比べてレイは周りを気にせず、歩く。


誰も悪意の目線であるわけではなく好奇心と警戒心でことがわかっていたのだ。

頭巾が付いている衣服のものが多かった。生地が違う。その衣服がソウェルトの者のように伺えた。

だから、警戒しなくてもいい。

この晩餐会にラウェト以外の国もいる。それらもちらほらいるが気にする必要はないと判断したのだ。


「わかった」


サナは周りをキョロキョロする。悪い視線ではないか、確認の為だ。レイさんが堂々としてくれているからこそ、初めてで不安な後輩という立場に見えて、キョロキョロしてもそんなに不自然ではない。

周りにもそんなに気に留めていない様子だった。


サナはやはりソウェルトが多いと思えた。まだ、始まるまでの準備をしてくれているのだろう。


上の階の観覧席にも何人か人がいた。

あ、あの人男前だな…ソウェルトではないっぽいかな。どこの国の護衛だろう。


その青年はこちらを見ていた。いや、周りを見ていた。目があったわけではないから、そうだろう。

やはりどこかの国の護衛だろう。


「人が多いですね」


「ん?人酔いか?」


サナには感知型の能力で危険物の確認に来ているわけだから、能力で視ているのだろう。これほどの人数は酷くキツイのかもしれない。

レイが心配そうに顔を覗き込むとサナは、大丈夫です、と呟いた。


「氷結なんて呼ばれる人が隣にいるんですから、心強いですから」


サナは周りには絶対に聞こえない声でレイに言い、笑顔で返すと呆れた顔された。

少し下を向いていた、だから、顔を上げた時、目があった。

男前の青年に… 胸騒ぎがした。


ゆっくり彼の目線から外し、口を不自然ではない程度に隠す。


小声でレイさんに話しかける。


「廊下に行きましょう」


レイは首を傾げたりせず、ああ、と言って背中に手をまわした。


「どうしましたか?医務室にご案内しましょうか?」


ソウェルトの服装らしき人が声を掛けた。


「お願いできますか?」


レイさんの返事に快く引き受けてくれて、私たち医務室に案内された。


「知らない人がいると安心できないでしょうから、私はこちらで失礼します。ゆっくりされてください」


案内してくれた人は部屋を出て行った。

レイがその彼にお礼をいい、少し経ってから問う。


「で?なにか見つけたか?」


「えっと、読唇術を持っている人がいたと思うです。だから、レイさんの配置が知られたかもしれないです。すみません。注意を怠りました」


レイは少し考える振りをするがすぐに切り替える。


「今回、上部の連中らの指示で平和に終えることは決まってる。だから、問題は起きなはずだ。だいたい、ラウェトが俺らを注意するのは普通だ。焦るな」


「はい…でも、配置場所を念の為に変更しておきますか?」


「もしここにあの感知型いるなら、もう連絡して今いるところから、ばれてる。それにお前が気づいたことを気づいている可能性もある。なら、無駄なことだ」


サナはそうですね、と理解したが明らかに落ち込む姿に、頭を撫でる。

ビクッと反応するのと同時にサナは元気を回復する。


「気付かれてもいなくても、気づいていても、どのみちこの廊下が戦闘場所なら、レイさんのが圧倒的有利ですね」


元気にいうサナに軽くデコピンを食らわす。少し考えた所作を取ってから、そうだな、と同意した。






***************





晩餐会は始まった。



ソウェルトの司会が話を始め、それぞれの国の代表に飲み物が配られる。





そして、問題は起きた…




ラウェトの姫君の飲み物に毒が入っていたのだ。




ラウェトとダクゼェアの兵士たちが動き出した。







上の観覧席に青年は下から見えないとこに引っ込み、通信機向かって発言した。

「すみません。気づかれてしまったみたいです」


『あー、まぁ場所わかるんだろう?』

発信機から返事がくる。


「はい、それはわかります。魔力は覚えているので、場所特定に問題はないです」


『顔も覚えたか?』


「はい、そちらも問題ないです。”氷結”とその”感知型”の顔は覚えました」


『さすがだな!本当に優秀で助かるよ。ハルキ!』


「いえいえ、ですが、お力になれて光栄です」


『じゃあ、配置は頼んだわ」


「はい、失礼します」


ハルキは通信機を切った。


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