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やり直し予定。  作者: 葉木ハラ
7/21

サナと言います。

幼い頃から彼は素敵で教育が違った。

左目の下にある黒い模様さえも魅力的だった。

もちろん、身分も違って、見るだけの存在。

毒のある土地で鍛えたり、毎日の鍛錬が人と違った。

彼のお父さんは厳しそうな人だった。

そんな彼に

「俺はレイ、お前は?すごい感知型なんだろう?先生らが褒めてたぜ?」

話しかけられた時は舞い上がって、緊張して、混乱してたのを覚えている。

初めて話した日。

私はもう忘れられない!

でも、やり直せるなら、もっと冷静になりたかった・・・

                                『SNより』

 

 ここは海がない国、”ダクゼェア”。

 主に山々に囲まれている。

 山と言えど、山菜や食糧が取れるような山ではなく、岩などのできた山。

 まさに貧窮するようにできたような土地。


 そこには昔、戦闘民族が住んでいて、戦いを好む民が住んでいたとか…


「私は好んでないよ…」


「サナ、独り言呟いてないで、報告書を仕上げろ」


「あ、はい!」


 私の前には一つ上の先輩が机を挟んで向かい側に座っている。

 幼少期に頃に一目惚れして今もなお、一途に私は思い続けている。

 この国一番強くて、かっこよくて、男前で、彼は本当に素敵な人。


 そんな思いに耽ると喝がはいった。


「そういや…サナ、どう考えてるんだ。俺の行動を先に読む敵についてさ」


「え?あー…やっぱり、感知型に視られているって考えるのが無難ですかね」


 突然の質問に反応が遅れたのが原因ではないだろうが、彼は不貞腐れたように机に頬をつける。


「面倒だな…お前より視る範囲が広いってことか?」


「そうですね。まぁ悪魔の”氷結”なんて呼ばれるくらいですからね。注目されるのも仕方がないですよ」


 言い終えるのと同時に、机にあるものを落とされた。水が入った瓶も落ちて部屋に音が響く。

 思った以上に思い詰めていることが伺えた。

 普段、八つ当たりなんてしない彼だからだ。


「仕方がないってなんだ?仲間が死んでいるのに?」


 彼は顔を上げて声を荒げて言われたが、すぐに冷静になったようで、「あ、悪い」と謝罪がはいる。


「いや、私も言い方が悪かったですから」


 仕方がないは良くなかった。でも、全員を守ること無理なのだ。

 一人で抱え込み、気を病まないで欲しい気持ちで言葉選びを間違えてしまった。

 レイさんはレイさんにできることしている。

 それでも、負けている私たち”ダクゼェア”は作戦負けだ。

 司令塔の権限がレイさんに渡れば、良くなるとは思うけど…

 指令役をしながら、前線で攻撃に回るのは難しすぎる。

 私だって、感知しながら動くのはきついのに…


あっち(ラウェト)のお前以上能力を持つ感知型は一人だろうな。毎回、対処されているわけでもないしな」


「確かに毎回ではないですね…後援なんだから、毎回でもいい気がしますが…なんでしょう」


「後援ではないからじゃないか?」


 二人を少しの沈黙が包む。


「私と同じ位置ということで?」


「かもしれないな……。なぁ、サナ…お前の能力限界を相手が知っていれば相手はお前に存在を知られずに行動できることにならないか?」


 いまいち理解できず、少し返事をするのに時間が掛かった。理解した時に額に汗が流れた気がした。


「なります…それは早く対処しないと、危険です…」


 最後の方はもう小さな声であったが、レイはそれを聞いてから命令を下した。


「会議を早急に開くように手配してくれ」




 ***************


 会議


「それで?どうするのですか?」


 進行役がそう質問すれば、一人が手を挙げて発言する。


「はい、気づかれないようにあらかじめ、その敵の対策班の対策班を用意しておくべきかと思います」


 レイさんがそこに手を挙げる。


「それは気付かれる。予め伝えられていると思うが、敵はサナの能力を上回る」


「それは予測なのではないのですか?」


「いや、予測じゃない」


 まだ予測ですよね…まぁこうも言わないと動かないもんな。ここはしっかり話を合わせないと…


「私の範囲に入らないように行動するのは偶然では片付けれません。それに感知型独特の違和感を覚えます。それ以外にもーーー」


 進行役がサナの意見に納得がいったところ、周りも納得したように頷く。


「では、最初の行動は別々で行動して、合図によって、連携をとりましょう」





 _________________________サナ fin







 小さい頃に父に言われた。


「レイは天才だ」「あいつらに、レイなら勝てる」「レイ、経験が必要だ」

「レイ!もっと死ぬ気で鍛えろ!」


 父の言葉はいつも褒めてくれるものばかりではなかった。

 だが、強くなりたいと強く思った。

 友人の親しい人が亡くなり、泣く様を沢山見てきて、そう思ったのだ。


 みんなが俺に期待する眼差しや言葉を貰うたびに、何か背中重いものを乗っている気分だった。


 立場を低くはなかった。実力もあった。なのに、大きな権限はない。

 いや、父親の命には逆らえないのだ。


 だから、俺はこの生臭く、腐敗の匂いが漂う地下にいるのだろう。


 いや、果たしてそうだろうか?


 五年前、俺が13歳の時だ。その前から、後方の方で実践参加はしていたが、初めて真ん中の辺りを経験した時、俺は見た。実力の差というものを…


 危険ということで、少し遠くのところで見ていた。それは仲間死を眺めることしかできなかった俺の無力さを知った日だ。俺はあの日見たものを今も覚えている。


 禍々しい魔力が黒く渦巻いて、黒い巨木が暴れている様だった。

 それは仲間を次々に串刺したり、切り刻んでいた。


 ラウェト、敵国の一人に天災がいたのだ。


 俺らダクゼェアはそれを”死神”と呼んだ。確か八年前から現れたとか…


 その八年の少し前からだった、ラウェトと仲の悪さが異常に悪くなったのは…

 だが、力でねじ伏せてきた時からが原因だったと周りは言う。


 そう、四年前の襲撃成功から”死神”は現れていない。


 それはどうしてか、議論にはなったが、まだ皆確定を出せず、怯えている。

 俺もその一人なのだろう。

 だから、この地下で最低な実験の手伝いをしているのだ。


 俺も落ちたな…


「レイさん、実験の手伝いありがとうございます!どうですか?なかなかに制御できるようになったでしょう?実践ももういい頃合いかと!!」


「…ああ、そうだな」


「実践に伴い…皆さんにお披露目をしたのですが?」


「上から許可は貰ってるだろ?」


「ええ、でも、反感を買いそうで…レイさん、あなたに協力して頂きたい!」


 父親の命と言え、本当に逆らえないのか?本当は自分自身が望んでいるからじゃないのか?


「ああ、わかった」


 理由付けしているだけじゃないか、俺は…


「ありがたいです!!レイさんのお墨付きつきとあらば、皆さん納得していただけます!!」





 さて、道徳を捨てたぞ。俺ら、ダクゼェアは…


 ラウェト、お前らの”死神”はどうした?病死か?


 そんなことは知らない。


 次に仲間が死ぬのはお前らだ。






サナ:茶髪で肩まで髪がある。

   ダクゼェアの下階級出身。

   反応速度が遅い。

   でも、ダクゼェアでは一番の感知型。

   ハルキには力及ばない模様。

   そこそこかわいい。

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