確証はないが、確信していること。
授業内、全てが”ヤキワスレ”のことではなかった。
でも、あれが授業で最初で最後の”ヤキワスレ”について知れた日だった。
先生は淡々と話す為、全て帳面に書きとめることはできなかった。
・”ヤキワスレ”の由来は、捨てて燃やすという地域で子どもは焼かずに放置したために、焼くことが行われずにされたのが所以。
・”ヤキワスレ”出身者は、どこかしらの部位が機能してない。
泣くことができないのは全員、共通のである。
・薬が飲むことで延命している。
しっかり聞き取れて帳面に書かれたのは、これくらいだ。あとは単語だけだった。
彼はどんな気持ちで先生の言葉を聞いていたんだろう。
つづき『Sより』
ースズレ視点
感知型には、二種類型式がある。
一つは、”至近距離型”で役割は、”魔法石”や魔法の壁に覆われていることから”魔壁”に懸かっている物質の中身を探知すること。凡そ10mの物質ならば、探知できる。
二つは、”長距離型”で役割は、一般に100m範囲の生き物、物質を感知すること。
班または班内では後方に位置して、敵の場所を感知をすることが役割だが、敵と同じ又は、範囲が小さいならば効果は発揮することができず、敵の罠などに使用されることのが多い。
至近距離型が視れる魔壁があると、上手く視ることができない。なので、物質探知の仕事は担わせない。
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誰も騒ぐ事のない会議室。和やかな雰囲気は一切ない。
感知型が大半を占める会議では、これが普通であるがいつもより、酷く空気が悪い。
「事前感知式では、不穏な雰囲気を醸し出していたのは真実です」
「最近、あの周りをダクゼェア《隣国-敵》うろついていたは真実であろうが、予測が上手くいってなさすぎると思うが?」
「それを改善すべく為にも、感知型は訓練に参加する頻度を減らすべきと思います」
「本番で合わないの方が問題でしょ?」
「今、訓練は関係ないだろう」
最近はダクゼェアが良くない空気を出しているとは思う。
だけど、訓練を減らすことが関係しているとは思わない。
意見がバラバラになっている。上の人らも焦っているかもしれない。
「断定するのは良くないとは前回、話し合いました。ですが、確定していないからこそ対処の方も確定しないのではないでしょうか?」
相変わらずハルキさんは冷静に物を言う。周りはグダグタと同じことしか言わないのにだ。正直、感知型の上部の人らは特に腰が重い。ハルキさんの意見をすんなり考えたりしないだろう。
「断定するのか?化け物を造っているということをか?証拠がなさずぎる」
「そうですか?証拠は、ここ最近の予測報告書と今回の調査で入手した血痕ではいけませんか?」
不穏な空気が感じたという人の言葉とあんな少量の血痕では、許可は下りないよ。
確かにあの血痕には様々な血が混ざっていたと思う。でも、偶然でも通るくらいだろうし。
「ちょっと、血が異様だっただけだろ?それでは、ダメだ。ハルキ」
やっぱりダメだよ。人の発言くらいでは、動いてはくれない。
「スズレさん、あの腐った血液に異様な魔力も混じっていたんでしょ?」
「え?」
「そうなのか?」
どうして私にふるのかな…あれは本当に確信はないって言ったのに、なんとなく思ったくらいの軽い意味だったのに!
ハルキ君が「大丈夫だよ」と言っているような、同意を求めているような、そんな顔する。この顔に私は、正直勝てない。
「ええ、そうです。確かに少量ではありましたが、至近距離型でも血痕分析の実績が高い私が自信を持って言わせていただきます。ーーー」
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朝早くに行われた会議も終わり、途中参加で受けた授業後の昼食の時、私はハルキを見つけて人通りが少ないとことに引っ張った。
「ハルキさん!どうしてくれるんですか!?」
「スズレさん、何か問題ありましたか?」
何も悪くないことをしていないと言わんばかりの顔で、首をかしげるハルキ。
「ありますよ!大有りですよ!!今日の」
会議のことです、と言いのけようとすると、「ここで今朝の会議については止めましょう」と落ち着かせるように言う。
人がいないところに向かう。
「ここなら、誰も聞いていませんから。存分に話せますよ」
長距離型の歴代入れても、一番の才能を無駄にしない。きっと、私が言及しようとしていることも理解した上で私の教室近くいたんだろう。たまたま、待っていたら他の人に話しかけられていて、私から話しかけたなっただけで…
「今朝のこと、まだ上部の許可は下りてませんが、あれは下りる流れです。違ったらどうするんですか?」
「スズレさん、僕は違わないと思うですよ。それに、貴方が、実績もある貴方が、不審に思った。それは僕にとって大きな証拠なので」
彼はいつもそうだ。簡単に褒める。それもしっかりとした根拠と共に言うことが多い。なのに、たまに、形になることもない根拠で褒めるときがある。
これのせいで、私は彼に弱いわけだ。
「人に説明できない、もしくは説得できない根拠ではダメなんですよ」
「確かに説明できないのかもしれないけど、僕は貴方の視たものは正しいと思うです」
ずるいなぁ、好きだな…でも、カオリ先輩が振られたくらいだ。ハルキさんは恋愛にうつつ抜かしたりしないのだろう。そこが、女心を射抜くんだろう…
「信用しているのは嬉しいですが!協力してくださいよ。今後の証拠集めに」
「ええ、もちろん。それの為に、監視の目を広げたいと思っているんだよね」
突然のタメ口、同じ年だからおかしくないけれど、心臓がもたない。毎回、毎回。わざとだろうか。
いや、最初の警護は誠意を表してるだろうけど…
「それは、」
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減らない書類と対峙する私のところにゼアが来た。同じ出身だったこともあり、昔から交流がある。
「スズレ、忙しそうだな」
「ゼア、うん、忙しい」
でも、彼はハルキさんのことを嫌う人だ。理由はよくわからないだけど、カオリ先輩が好きでハルキが振ったからとか、自分よりできることに腹が立たしいからだとかではないことはわかってる。でも、勝手にそれらを真実されてしまっているみたいだ。カオリ先輩が好きなの真実だろうけど、理由は他にあると思う。長年の友人の勘的に。
「前回のダクゼェアのことはわかったのか?」
「そんな簡単にわかることじゃないよ…」
魔法成績が良い彼だが、分析や座学は良いいわけではない。だけど、それをないがしろにせず、素直に私に教えて貰いに来るくらいだから、彼の言葉の悪さは目を瞑れる。いや、彼は腹を立てていなければ、まともだ。まだ子どもなのだ。
「ふーん。でも、不審な動きがあるって確定したんだろう?」
「…そうなんだけど。正直、それも不確定なんだよね」
「え?え、会議で啖呵切ったんだろう?」
今朝のことが語弊して噂になってる!?
「違う、違うよ。あれはハルキさんが!…なんて言えばいいんだろう…」
「…お前くらいだよ。俺の前で平気な顔して、ハルキの名前を出すの」
それは周りに気を使わせている発言なのわかっているのかな、わかってなさそうだな。
うーん、機嫌悪そうじゃないからいいかなって思ったんだけど。気悪くしたかな?
「そうかな。…あ、あんまりヤナダ君が困らせないでよ。彼の胃に穴が開いてしまう」
「…はいはい…それで?ハルキがなんの?」
「いや、なんでもない」
私って結構、ハルキ君に過大評価されてるだよね!はは!なんて言ったら怒りそう。
やめておこう。
「言えよ」
怒ることは言えないけど、魔法成績2番さんだもんね。みんなを引っ張ってもらわないとな。
「あー、調査班を今月、あと2回するかも」
あまり驚いた表情は浮かべない。はじめからこれを確認しに来たのかもしれない。
「多いな」
ゼアはどこか外方向いて返事をする。でも、本当に真面目な話をしているときは目線を一瞬とも外さない。
「もっと増えるかもしれない」
「確証のため?」
証拠はもちろん、欲しい。まだ上部は疑っているだろうから。
私があれほど強く言ったから、半信半疑で動いているだけ、全力ではない。
「…確証…答え合わせのためかな。不穏なモノは確定で行動することになるよ」
「ああ、わかった。まぁ、頑張れ」
書類の山を指して、ゼアは行ってしまった。
「よしっ頑張ろう」
そういえば
四人である夜中に見たハルキの姿は、どう映ったのかな
安心したようなハルキの顔はゼアはどう思ったんだろう
その後くらいからなんだよね
ゼアがハルキに険悪な雰囲気をぶつけ始めたのは…
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「”氷結”については、どれくらい知ってる?」
スズレ:ゼアとはおさ馴染み。
至近距離型。座学では2番の成績で優秀である。
魔法成績はD教室である。簡単に言えば、良くない。
感知型なので、良くなくても特に支障はない。
身長高めで、眼鏡を掛けている。