はじめまして、コウキと言います。
この世界には魔法が存在した
その起源は森に覆われた平和で美しき”ソウェルト”という名の国だという
だが、その美しさの裏腹に神殺しで平和を得たという
本当かどうかは知らない
隣国の”ダクゼェア”は最強の兵器を作り、平和を目指している
平和を求め方は沢山あるのだろう
なら、この”ラウェト”はどんな方法で平和を目指すのだろう…
『Hより』
「おめでとう」
それ以外にも、たくさんの友達から送られた賛辞の数々にコウキは素直に喜んだ。
高階級者は無条件でA教室に属することができた。
どんなに魔法成績が悪かろうとも、それ変わらない。
しかも、その教室にいることは、戦争の最前線で戦わなくてもいいということだった。
座学での教室分けは、Aと同じく、1教室は高階級者のみの教室。
これはほとんどが高階級者が上位を埋めている。
高階級者は全員がA-1なのだ。
だが、今回は初めて高階級者がB教室に属することになった。
Bは階級など関係なく、魔法成績上位のみの集まりだった。
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「僕が本当にB教室に一員なのか」
コウキはその教室に扉の前で、小声で呟く。
深呼吸して軽く扉を叩いてから教室にはいる。
ほとんどが人が、コウキに注目して小声で話し始めた。
「あれが?」「Aからなの、本当?」「らしいよ」
高階級者が正直、態度が悪くて心象が悪いのはわかっていたけど…
最初から仲良くなれなさそうな雰囲気だった。それが顔に出ていたのか。
それに気づいた人がコウキに近づく。
「あ、ごめんね。初めてのことだからさ。みんな興味深々なんだよ。悪気はないから、許してな」
肩に腕を回して、親密に接し笑顔でそう言う。
「いや、僕もBに入れること本当に困惑したから。でも、すっごい嬉しい!」
コウキが本当に嬉しいだというの表情、声色で教室の皆が伝わった。
「全然、悪いやつじゃないな」
少し目つきの悪い、机に腕を突き出している青年が言うと、
みんながそれに同意して、歓迎の雰囲気に包まれた。
「僕はヤナダだよ。この目つきの悪い、人相最悪なのが、ゼアくん」
ヤナダがゼアを紹介すると、ゼアの拳を振りかざして、痛そうな音が教室に響いた。
「人相は、お前もよくねぇよ?」
「え?まさか」
鼻で笑うヤナダに、またも酷く痛そうな音が響く。
それに周りと共に笑いながら、コウキも自己紹介をした。
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皆の自己紹介をし終えると、すぐに教室から鍛錬場に移動となった。
「ジャナはまぁいつも通りだけど、ハルキが会議に参加の日に編入とはね」
軽い取っ組み合いにヤナダと組みながら、お喋りをしていた。
「ジャナってあの子?」
鍛錬場には一人で鍛錬を始めている少女がいた。
その子は魔法で何度も発してすべての的が焦が終えているところだった。
教室に最初寄らずに来たことを軽く喝されていたが、彼女はそれに罵声で返していた、その彼女を指して言う。
「そうだよ。魔力の量、火力が一番の子だよ。あっ知ってるか」
ははっと笑いながら、コウキの蹴りをさらにと避けた。
「まぁね。鍛錬場にから火が燃え上がってるのはよく目にしてたからね。…にしても、さっきから全然当たらない!」
と言いながらの拳も当たらない。
「体術はまぁまぁだね」
その言葉にコウキは観察されてる、という気持ちになり、少し複雑な気持ちになった。
「う、うん」
AとBの差がはっきりわかるほど、周りの取っ組み合い動きが全然違った。
今までしてきた鍛錬の厳しさをコウキは体で感じていた。
「僕ね、体術が一番得意だからさ。…悪いね」
自分の順位を下げるかもしれない人間がきたのだ、気になりもするかと心に呟いた時に悪いねと一言。
ドサっと鈍い音が響いた。
何が起こったのかわからないが、とりあえず、コウキは自分が地面と仲良くしていることはわかった。
「イッ…痛い…」
「ちょっと、油断してたでしょ?」
考え事?だめだよ、と軽く窘められた。Aとは違うことが今日1日だけでいくつあるだろうか。
みんな真剣だ、少し会話をしたりはするが動きに無駄がない、気を抜いた、なんてことしないのだ。
笑ってはいても、真剣な眼差しがうかがえる。
「ごめん、気をつける」
ヤナダが言葉にできないが気遣いをしてくれているのだと、なんとなく思った。
ゼアが腕を伸ばす仕草をしながら、気怠げに話しにきた。
「疲れた。コウキ、お前成績はどうなの?」
ゼアの後ろの方では、誰かがのびていた。
「ゼアくん、強いだね」
「あ?うん。まぁまぁじゃね?それより、成績は?」
褒めた言葉には、慣れているのか。本当に大したことないと思ってるのかわからない反応を見せて、成績が気なるようだった。
「普通かな…悪くはないけど。2教室には入れない水準かな」
1教室は高階級者のみ。階級関係なしの座学成績がいいものが2教室だった。
ヤナダが、背中痛む?と尋ねながらも、ゼアの返答に口挟む。
「座学とか勉学関連は1と2に変わらないでしょ?」
そうなのだが、今年は2のが成績がいい。
「そうゆうことじゃない」
ゼアは良くないと聞くと酷くがっかりしたようで素っ気ない。
「そんなに勝手にがっかりしないで、気に食わないなら自分の成績上げたら?」
今度は手も足も出されず、ヤナダは静かに睨らまれていた。
「俺より魔法成績良くない癖にうるせーよ」
怒鳴ったわけでもなく、それは静かな怒りの声だった。
一番になっててほしいみたいな言い草だな…
いや、一番になりたいっぽいけど、そうでもないようなってかんじかな…
「今日はL43合わせをしない?ハルキ、いないから。コウキくんがどこ担当になるかはわからないけど」
女の子が取っ組み合いに区切りの良さそうな時を見計らったように、提案をする。
「ハルキ、ハルキってハルキがいないとなんもできないのかよ」
ゼアがまた気怠げな仕草で、嫌味を含んだ言葉を返す。
「相変わらずね。感知型と通じ合う練習が、協力戦で一番ためになるよ?」
それに慣れたような態度で女の子も返していた。
「は?それでも、個人で動き回るやつだっているだろ」
少し喧嘩が熱を帯び始めたところに、ヤナダが止めにはいる。
「はーい、二人とも喧嘩しなーい。Qの協力合わせの練習を各人数でやろう。コウキは僕とジャナと合わせの説明を受けて?いいね?」
みんな納得したように、各自で集まり始めた。
「ごめんね。コウキ、普段、こんな雰囲気じゃないだけどね。ハルキがいないと、ゼアは愚痴りまくるからさ。悪いやつではないだ。口は悪いけど」
ヤナダが困った顔で笑いながら、そう言う。
苦労してそうだな…
ヤナダの苦労が垣間見た気がした。
「ヤーナーダー!い・や・だ!」
ジャナの声が響く。近くにいるものしか聞こえない声でヤナダが「ゼアのがまだ、まし」とボソッと言った。
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昼食をヤナダとコウキは摂り始めた。
「コウキ、どうだった?初日は」
「準備体操がきつかったかな…取っ組み合いもなかなかに」
ヤナダが「そうか」と頷きながら、今日の訓練の不安なことについて聞いてくれた。
「午後からは座学の教室じゃない?それは1教室なんだよね?」
「うん。ヤナダくんは?」
「僕ね。3教室だよ。可もなく不可もない成績だよ」
「そうなんだ…ゼアくんは?」
「ゼア?あいつも俺と一緒だよ。あいつはちょっと成績、危ないけどね」
周りもB教室の人らで食堂も埋まっていた。
「ハルキくんは今日は来ないの?」
ヤナダは少し不思議そうな顔を浮かべてから、少し考える仕草のあと納得したような表情をとった。
「ハルキね、今日は来なかったね。たまに、あるよ。途中参加とまるまるお休みと」
「そうなんだ」
「ジャナもそうだけど、ハルキのことも知ってる?」
「うん、有名だしね」
ハルキくんはかなり有名だ。よく噂になること聞く。
僕が高階級者、初のことしたのと同じように、初のB-2の組み合わせの持ち主で、
彼はそれだけではないし、感知型では歴代一番だとかで副班長を任されている優秀な人。
そのおかげだろうな…僕のA-1が霞むのは…あまり噂にならない。
妬んでないなんて、言ったら嘘になる。
目敏く噂に耳を傾けているのだからよく知ってる。
本当にいい噂しか聞かない。
「恥ずかしいな」
和やかな空気が一転する出来事。
僕がこの教室に馴染む頃にそれは起こった。
それまで、数ヶ月…
魔法成績:魔力、体術、命中率、火力によって成績が順位化される。
A教室:高階級者のみ。条件;成績関係無しに無条件で高階級者はここに属す。
B教室:階級関係なし。条件;成績上位者のみ。
C教室:階級関係なし。条件;それ以外の成績者が属す。
D教室:階級関係なし。条件;一つの成績に特化した成績者がここに属す。
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学力成績:座学による成績が順位化される。
1教室:高階級者のみ。条件;成績関係なしに無条件で高階級者はここに属す。
2教室:階級関係なし。条件;成績上位者のみ。
3教室:階級関係なし。条件;2から以下の成績者が属す。
4教室:階級関係なし。条件;3から以下の成績者が属す。
16歳以上が調査組に加入し、捜査に参加するようになる。