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weBLove(ウェブラブ)  作者: 睦月煌
第一章 執事とは
2/2

琉愛お嬢様

 この世界のメリットは、実際の自分を曝け出さなくていいこと。顔写真の代わりにアバターと呼ばれる小さな人形のようなものがあって、顔から髪型・服まで好きなように設定できるようになっている。

 和服・洋服、現実世界ではなかなかお目にかかれないピンク色や緑色の髪ー…。最初の設定時点で既に“それなりのレベル”に作ることができ、特別な装飾品や期間限定の珍しいパーツを手に入れたい場合は課金(有料で購入)して着替えることになるのだが、現金をつぎ込まなくても譲ってもらったり交換したり…と、いろいろな方法があって重宝する。

 その種類の豊富さ故か、この“執事・お嬢様になりきる場所”には似つかわしくない人たちも存在して…というか、そういう類の人の方が多いのが現状だ。その証拠に、執事らしく燕尾服に似せたスーツ姿の参加者は私以外にたった2名しか見たことがない。



「琉希!」


 例によってピンク色の髪を高い位置で二つに結い、肩をガッツリ露出した遊女のような外見の女性が声をかけてきた。


「琉愛お嬢様、こんばんわ。」


 彼女は私がここに参加するようになって最初に話しかけてきたお嬢様。他の男性参加者とも会話はするが、執事として気に入っているのは私なのだろうな…と誰が見ても分かる態度で接してくる。

 裏でコソコソ動きまわるような人間よりよっぽど扱いやすいのだが、言葉のやりとりを楽しみたい此方としては多少幼稚というか…物足りないというのが本音だ。

 それでも変にアプローチされて迷惑するでもないので、いつものように笑顔で対応しておいた。


「ねぇ、今日は何時まで居る予定?」


 いつもの質問。

 ネットの世界とはいえ、“ここだけのルール”というものがいくつか存在していて、その中の一つに“会話する場合は原則1対1で”というものがある。つまり時間を合わせてしまえばずっと独占しておくことができてしまうわけ。

 24時には引き上げます、と伝えると案の定「じゃあ私もそのくらいまで居ようかなっ!」と彼女は嬉しそうに笑ってみせる。にこっと笑顔を返したものの…いい加減他の参加者とも会話してみたい…と内心溜息。

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