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義賊のマテリア  作者: 夕日
継ぐ者の名
73/102

2-008


予想はすでにできていたことだ、と自分を納得させながらも帰路につく。


「結構かかってしまいますね。もしかしたら一ヵ月以上……とか」


「……ありえない話じゃないからマズいんだよな」


「ごめんなさい、私が吸血衝動を起こさなければ……」


「お前のせいじゃない、全部仕方ないことだから気にするなよ」


吸血衝動を回避する方法はない。それは、吸血鬼にとっての生理現象のようなものだ。

それに、ミリアを吸血鬼に変貌させ、我関せずともいうように自分の領域の中で退屈そうに本を読んでいるあの魔女がそもそもの元凶である。

しかも、俺への情報提供さえも満足にする様子もないという屑さだ。

あとで一発殴られてくれないだろうか、と願っても叶わない願望を吐き出しそうになったが、口をぐっと噤む。


周囲を行き交う冒険者たちの合間をすり抜けながら、人通りの少なそうな道を選んで白鷹の止まり木亭を目指そうとするが、それでも人の波からまったく逃れることができなかった。


ため息を吐き出して、俺は先ほどギルドの受付前にいた少女を思い出す。


多忙で会うことが難しい、ローガンという人物がどれほどこの都市に重要な人物なのか、あのギルド受付の少女の困惑した表情から伺い知れた。

一週間程度なら、なんとかしてミリアの《血の衝動》を隠すことはできるかもしれないが、それ以上この都市に留まり続けるのは危険だ。

俺の名を公にしてしまっている以上トラブルが舞い込んでくるに違いない。

ミリアを元に戻すために自分を餌にしようと覚悟した結果だが……。


(無理にこの名を使うべきじゃなかったか……)


あの魔女が言っていた通り、ゼノヴェルトの名は危険すぎる。親父はそういうトラブルから逃れるために、一時期信頼のおけるあの傭兵団―――《月光花》に紛れ込んでいたのだから。

今の俺はただの旅人、それも見るからに貧弱そうな姿でクロスリード内を歩いている。



「あの、良かったら、このままクロスリードを見て回りませんか?」


渋面になっているのをみかねたのか、ミリアが話しかけてきた。

確かに、先ほどの宿屋での件もある。クロスリード内にどのような店があるかもまだ十分分かっていないし、丁度良いのかもしれない。

俺はミリアの提案に、そうだな、と応答する。


「どこかの食堂で昼食を食べた後に、ここら辺回ってみるか」


「はいっ!是非とも陶磁器の工房を見てみたいんです!後はお皿とか、壺とか……後は……」


「……それなら、早めに昼食を済ませなきゃな」


……夕食前に白鷹の止まり木亭に帰れるか、不安になってきた。

まあ、この二週間程、泣き言も言わずに旅を続けてきたのだ。ここは、ミリアに付き合ってやるのが通りというものだろう。


近くに食堂がないか見渡してみるが、それらしいものは見つからない。クロスリードがそれぞれのギルドで区域分けされていることもあって、食堂の数も偏っているのだろうか。

宿にいるリリィから、クロスリードの食堂や有名な店について聞いておいた方が良かったか。


「ちょっと探して――――」


と、ミリアに振り向こうとして、一瞬自らの視界が陰った気がした。

突然の日の陰りを不審に思って、俺は頭上を見上げる。


視界情報に映る、何者かの影。

それは俺の目の前に着地すると、砂ぼこりを巻き上げた。


「!!?」


突然現れた何かを確認して、それが人間であることに気付く。


「ふぃー、なんとか凌げたっぽいかー?」


俺の目の前に突如現れた男が、首をこきこきと鳴らしている。


「……あ、まだ無理っぽい感じか。ん?」


年齢は二十代半ばだろうか。癖のある色素の抜け落ちた灰色の髪を頭の後ろで括り付けている。長い灰褐色のコートを身に纏い、布で巻かれた何か骨董品のようなものを背中に背負っている。その布に巻かれたものは細長く、男の身長の半分程あるようだ。

そして、男はぼーっと気の抜けた表情のまま、薄い翠玉色の瞳をこちらに向けた。

顎に生やした無精ひげを撫でながら、俺とミリアをじろじろと観察していた。


「ほー、なるほどなるほどー」


「あ、アンタ今、どっから現れて……」


突然の事態に対応しきれないのはミリアも同じようで、目の前の男に唖然としたまま棒立ちだった。


「よし、少年に決めたわ」


「は?お、おい……」


なぜか俺の肩に手を置いて、そのまま背中に隠れるように縮こまる。

謎の行動に、俺とミリアは無言で目配せする。


……と思ったら。


「こらああああああああああ!まてや無銭飲食野郎が!!!」


どたどたと、大きく足を踏み鳴らしながら、腰にエプロンをまいた男が俺たちに駆け寄ってくる。

額に青筋を立てながら、俺にぐいっと近づいてガンを飛ばしてきた。


「お前、そいつの仲間か!?」


「い、いやこいつは……」


「どこに行ってたんだ、弟よー。オレから財布を取り上げる悪戯も大概にしてくれよー」


間延びした口調で、嘘を連ねる男の肩を引っ張り上げようとしたが、俺から離れる様子はない。懐いた犬のように、ぐっと服を掴んだまま俺を逃がさないようにしている。

ああ、つまりこの状況は……


「お前の兄ちゃんが俺の店で金も払わず逃げやがったんだよ!!代金ちゃんと払ってくれるんだろうな、あぁ!?」


「ちょっと待て!俺はこいつの弟なんかじゃ……!」


「ひどいなー弟よ。あの時交わした誓いを忘れたのかー。兄ちゃんが仕事を頑張ってお前たちの服を買ってやったこともあったのに、それを仇で返すなんて、兄ちゃん泣きそうだぞー」


「お前ちょっと黙ってろ!!」


……おい、ふざけるなよ。

いつの間にか俺を中心として人だかりができている。

周りにいる冒険者やら、商人やらがこそこそと何かを話し込んでいるが……すべて良い話ではないだろう。


「ミリア!お前も何か言って―――」


そこで、後ろにいる者に助け船を出してもらおうと振り返る。

……が、ミリアの姿を確認しようとして、え、と声を漏らす。今までいたミリアがそこにいない。

群衆を見てみたら、回りにいる冒険者たちに紛れて俺たちの様子を伺っていた。

俺の視線に気が付いたのか、そのまま申し訳なさそうに視線を逸らす。


「こ、ここでさっきの仕返しはやめてくれ、おいっ!!!」


「……」


無言……!?


「大した兄ちゃんじゃねぇか、お前が財布を隠したせいで、その兄ちゃんの面目丸潰れだなぁ?」


「聞いてくれ!俺はこいつの弟なんかじゃない!今だって何が何だか分かっていないんだ!」


「ああ!?シラを切るつもりか!?兄も弟も犯罪者として牢にぶち込んでやろうか!」


……まあ、ここまで来て、目の前の犯罪者予備軍を見逃す奴はいないよな。

俺の背に隠れたまま、にこっと笑った謎の男を見て、顔面に一発打ち込んでやりたい衝動に駆られた。


わらわらと集まってくる野次馬を見て、ここでこれ以上自分という存在が目立つことを恐れる。

もしかしたらミリアの存在を知っている者が周囲にいるかもしれない。こんなバカな出来事で、俺たちの名前が有名になることは避けたかった。

……それに、どうやっても、俺の弁解を聞いてくれるような雰囲気でもない。


拳をぎりぎりと握りしめながら、仕方なく観念する。

俺は後ろに隠れ続けている男が食べた料理の代金を代わりに払う羽目になった。



……この男、後で三発ぐらいぶん殴ってやる。



――――



十数分経って、俺たちは、とある食堂の一つに入って、俺たちを身代わりにした男と対峙していた。

目の前に並べられたパンと、湯気をあげる豆入りのスープを、男は羨ましげに覗き込んでくる。


「いやぁー少年、命の恩人。あのまま捕まってたら、今頃お兄さんは屈強な衛兵たちに取り押さえられてたし」


にへら、と笑う男の顔にイラッとしながら、俺はスープを一口啜る。

この男、反省する気があるのかないのか。

傍らに座るミリアが、申し訳なさそうにずっと俺に視線を送り続けているのも苦痛だった。


「ちゃんと金は返してくれるんだろうな?」


「少年、疑り深いなー。こうみえてもお兄さん、冒険者なのよ?正式な依頼を受ければ、さっきのお金なんてすぐに返すことが―――」


「で、でも、財布を落としたんですよね?冒険者の証明書も落としていたりとかは……」


ピシリ、と何かが割れた音が聞こえた気がした。

冒険者ギルドに所属するものに与えられる冒険者であることの証明書は、その冒険者のランクとどこで冒険者として証明されているのかを記載する重要なものだ。

財布の中に、その証明書が入っていたりでもしたら……。

という懸念が図星だったのか、男は笑顔のまま硬直している。


「大丈夫、大丈夫。冒険者ギルド本部に行って再発行してもらえば」


「再発行はもう一度冒険者の力量を量らないといけなくなるので、遅くても二週間はかかるって聞いたことが―――」


「お姫さん、なんでオレの心抉ってくるの?さっきのこと根に持ってるの?お兄さん泣くよ?泣いちゃうよ?」


笑顔の表情のまま青ざめていく男に、おいおいと呆れてしまう。

……というか、今、ミリアのことをなんといって……。


「お、おい……なんだそのお姫さんってのは……」


バレている?見たところ色々と問題有りげな人物だが、王都に行ってミリアの姿を確認したことがあったのか?

俺の言葉に、男は首をひねっている。


「えー?だってお姫さんっぽいじゃん?みるからに高級そうな装備してるし、見た目もすっごいかわいいし、どこかのお姫様みたいだからそういった方があだ名としていい感じだし?」


「あ、あだ名ってお前……」


「え、えっと……流石にお姫さまと呼ばれるのは……」


「あ、そういえば自己紹介まだだったよねぇ。オレの名前はヴェイル。ヴェイル・スカーっていうのよ。お兄さん、こう見えても結構強いから、魔物討伐依頼とかも受けるよーよろしく、少年」


マイペースすぎる目の前の男―――ヴェイルは、そういうとこちらに笑いかけてくる。


「で、少年とお姫さまの名前ってなんていうの?」


「そんなことはいいから、ちゃんと金返せ」


「そんなことじゃないよー。これから傭兵として少年たちに付き添うんだから」


「……もう一度」


「えぇ、聞こえなかったの、少年。若いのに耳遠いねぇ。現時点でお金返せないから、代わりに傭兵として少年たちの身の回りの警護をしたいと思うのよーいいでしょ?」


……余計なお世話と言うものだし、いいでしょ?じゃない。

この男、どこまでも図々しい。


「ほらほら、教えてよ~。少年たちの名前きーきーたーいー。名前聞いてあだ名考えたいー。ねぇねぇ-」


「うっぜえ」


「アルトのこんなに嫌そうな顔初めて見ました……」


心の声を内にしまっておけなくなるほどウザい。

舌打ちをしながら俺とミリアの自己紹介を行うと、ヴェイルはうんうんと頷きながら何かを考えている。


「アルト……うーんいいあだ名思い浮かばないなー。やっぱり少年でいいかなー」


「………」


こいつ、やっぱりブチのめしていいだろうか。


「ミリアちゃんもいいあだ名思い浮かばないから、お姫さんってことにしとくわー。じゃあ……おっと、店員さーん、スープ一皿!」


「金払わせておいて料理頼むんじゃねえよ、本気でぶっ飛ばすぞ」


冗談抜きで地面に埋めたい。


「そんな怒んないでよー少年。さっきも行ったけど、お兄さん結構強いのよ?《魔剣》も持ってるしさ」


最後の言葉に、俺は立ち上がりそうになった。

驚いて、ヴェイルを見ると、能天気な表情で、椅子にもたれかかったままだ。


「……いきなり《魔剣》を持ってることを言うなんてバカなのか?」


「だって少年、お兄さんの命の恩人だし、護衛対象だし。お兄さんのことよく知ってもらわないとダメでしょ?」


こういうところで、傭兵としての信頼を得ようとしてくるのは一体どういうことなんだ。

《魔剣》を持っていることを知られれば、愚かな連中に絡まれたり、盗人の標的にされることだってある。

そう考えると、本当にこの男は、見かけによらず強いのかもしれないが……。

と、ヴェイルは俺の不信感溢れる視線に気付いたのか、気の抜けた表情のまま机に立てかけてある布に包まれた謎の物品に手をかけた。


「《魔剣》って……あ、あの《魔剣》ですよね?ヴェイルさんも適性者なんですか?」


「お姫さん、いいこと聞いてくるねー。ヴェイルさん、なんて堅苦しい言い方じゃなくて、お兄さんって呼んでくれていいんだよー」


ニコニコとミリアに微笑みかけるヴェイルに、ミリアは苦笑していた。

布を縛っていた紐を緩めて、その布の内にあったモノがあらわになっていった。

銀色に鈍く光る、奇妙な骨董品。

細長く、先端部分は鉄を丸くして、その先に穴が一つ空いている。その下には小さな刃が付けられており、振り回すにはかなり難しそうな武器だ。

その反対側も奇妙な形をしていて、木と鉄で出来た取っ手のようなものが、筒の下に付けられていた。


「ほいっと。これが、お兄さんが使ってる《魔剣》ね。この地方じゃ珍しいと思うけど、銃剣っていう武器なのよー」


銃剣、などという武器は、俺も聞いたことがなかった。

筒状にあたる所が、昔、傭兵団の一人が持っている武器に似ていたが、このように細長いものは見たことがない。


「《魔剣》の名前は【変幻なる真理(ファンタズム)】って言うんだけども、その力はねぇ……」


と、話を続けようとしてみたいだが、そこで一瞬止まり、何かを考え込んでいる。


「んー、やっぱり実際見てもらった方がいいから、また後で説明するわー。お、お姉さーん、そのスープこっちこっち!パンの追加も」


「おっさん、やっぱり俺たちにちゃんと説明する気ないだろ……っていうかさっきから勝手に料理頼むなって言ってんだろうが!!」


俺の言葉に、ヴェイルはちっちっちっと指を振る。


「おっさんじゃなくて、お兄さん、ね、少年」


「なあ、死にたいのか?あんた本当に死にたいんだな?」


ダメだこのおっさん、早くなんとかしないと。

肩で息をする俺の様子に、ミリアもそのまま呆れ顔だった。

どうやってもこのおっさんは、俺たちの護衛をする腹積もりでいるらしい。


「ここのパン、あんまり旨くないんだよねぇ。王都にあった食堂のパンだったらおいしかったんだけど。あ、店員さん、ボクもスープ一皿お願い」


ピクリ、と一瞬硬直する。

……あれ、今何か、違う声が聞こえて――――


俺たちは咄嗟に、その声の主を確認する。

今座っている机の空いていた席に、もう一人の人物が座り込んでいた。

ミリアとおっさんも、突然現れた人物に目を丸くしているようだ。

二人はおそらく知らないだろうが、俺はその顔と、ハスキーな声質を知っていた。

黒の混じったくすんだ金髪に、たまご型の顔と、幼さの際立った、少年か少女が分からない中性的な風貌。

そして、身に纏う装飾品の数々が、異質さを際立たせている。


「アイン……お前、突然……」


「やあ、おにーさん、久しぶり。もう二週間以上も経つんだね」


ニコリと微笑んだ少年……または少女は、俺に笑顔を向けたあとにミリアへと顔を向ける。


「ミリアさんも元気そうでなにより。ボクの名前はアインっていうんだ、よろしくね」


「は、はいっ……!えっと……ごめんなさい、どこかでお会いしたことが?」


「会ったことはないけど、識ってるからね。ボク、あの魔女と知り合いだから」


そう言ったアインに、ミリアはその意味の深層を理解したようだった。


「あの方はお元気ですか?」


「元気も元気だよ。むしろ元気すぎて脛に蹴りを五発ぐらい叩き込んでやりたいぐらい」


「え、えっと……?」


突然の魔女への毒舌に、ミリアがたじろぐ。俺もまた、魔女に対して悪態をつくアインを不思議に思った。


「お、お前、あの魔女のことそんなに嫌ってたのか?」


「え?やだなぁ、おにーさん。あんなクソな女なんて、世の中探してもどこにもいないよー」


「……なにかあったのか?おかしいぞお前……」


「そんなことないよ、ボクはいつだってこんなだよ?」


ニコニコと微笑むアインの後ろに何か黒いものを見た気がする。

そして、アインからボソリと、小さな声で一言聞こえた言葉。


「……あの魔女、早く死ねばいいのに」


……本当に、なにがあった。

アインから聞こえた言葉に、ミリアが困惑している。


と、俺たちの会話についていけないヴェイルが、興味深そうに会話に参加してきた。


「少年たちの知り合い?少年よりももっと若く見えるけど、冒険者?」


「うん、まあそんなところ。アインっていうんだ、よろしくね、おじさん」


「おお、よろしくよろしく。オレの名前はヴェイルね。それと、おじさんじゃなくて、お兄さんだぞ、アイアイ」


「……あ、アイアイ?」


……また妙なあだ名をつけたのか。


「アイン、って言われても、やっぱりいいあだ名見つからなかったから、単純にアイアイ。我ながら素晴らしいネーミングセンス?」


「その右頬歪ませたいのか、おっさん」


「あ、アイアイか……まあ、ボクは別に構わないけど……」


許容したらアウトだからやめろ。

アインも、ヴェイルに呆れたまま乾いた笑いを浮かべている。


「『お兄さん』はおにーさんに使ってるから、やっぱりおじさんになっちゃうかな。ごめんね、おじさん」


「えー、お兄さんもお兄さんって呼んで欲しいなー。アイアイーいいじゃんお兄さんでー」


「うっぜえ」


「……で、デジャヴですかね?」


とにかくウザい。とてつもなくウザい。

なんだこのおっさん。頭のネジをどこかに置き忘れてきたのか。

仕切り直そうと、俺は咳払いを一回行う。


「アイン、俺に話があって来たんだよな」


「うん。そうなんだけど、昼食食べてからでいいかな?それに……」


アインはミリアとヴェイルを伺うように視線を動かしたあと、俺の耳元に話しかけてくる。


「魔女との契約上、おにーさんとしか『本題』の話ができないんだ。この後ミリアさん達と別れて、ボクについてきて欲しいんだけど、大丈夫?」


「……分かった。ミリアには先に宿に帰ってもらう」


『魔女との契約上』という言葉に、俺は渋面になる。

あの魔女が俺に言っていた、『下僕』という意味。

いままで深く介入することができなかった事象に、俺という下僕を得たことで、それが緩和されているのだろう。

『情報提供』という俺の願いによって、『世界の事象への介入』がある程度可能になっている、という認識で間違いないのかもしれない。


ミリアに事情を話すと、少し残念そうな表情をしていたが、そのまま承諾してくれた。

本当なら、ミリアも連れて情報の確認を行いたかったが……ミリアが魔女かアインとの『パス』を持っていない以上、この『取引』に関わることは不可能だ。

結局、ヴェイルが俺たちの傭兵になることは確定したようで、昼食を食べ終わると、ミリアと共に白鷹の止まり木亭へと帰っていった。


次回金曜更新予定です。

(もしかしたら早めに更新可能かもしれません。一応Twitterの方で呟きます)

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