夏にさよなら
夏の終わりの風が吹く。
ちりん、と涼しげになる風鈴はもうその役目を終えたかのように項垂れていた。
あの太陽はもはや懐かしくて。
うっとうしくもなくてはならかった。
照り付けるアスファルトの上には、僕らがいた。
背中に垂れる汗を気にもとめない。ただ、走り出した。
少年のように。少女のように。
まるで子供のような、無邪気な笑顔を振りまき散らして。君は笑った。
ただ、夏の色に染まっていたいだけだった。
未来のことなんか目もやらず、今を楽しんでいたかった。
夏の世界に、取り残されるように。
ああ、夏の終わりの風が吹く。
後ろ髪をひかれるように、僕は後ろを振り向いた。
長い下り坂の向こうでは、太陽が半分沈んでいた。
名残惜しそうに頭だけを出して。
この夏、僕は変われただろうか。
そんなのは分からないよ、と君は変わらず笑った。
夏が終わって、僕らは前に進む。
ちりん、と風鈴がさよならを告げた。
ふと思いついて書きました。推敲もほとんどしていなくてお粗末なものですが、読んでくださりありがとうございました。
書いてるうちに彼らの夏を小説にしたくなりました。
気が向いたら続き(本編?)を書くかもしれません。