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27。 文芸部の謎に影1人

−5月25日 放課後 文芸部−


まりあ『ちょっとシイナどうしたのよー?ねえこっち見てよー!そしてきつく抱きしめてよぉ!!ヘイッ!ハグッ!ハグボーイッ!』


 マヤマがコーヒーを吹き出す。カエデはさも、どうでもよさげに雑誌をめくっている。(戻ってきた)


カエデ『大胆なこと言うんだねえ。』


まりあ『聞いてないの分かってるから言ってみただけよ。』


 シイナが紅茶を飲みながら部室内を見渡している。


 給湯器がある。いつも思う。ほんとなぜだ。

 エアコンもある。そして作動している。どうりで快適で過ごしやすい訳だ。……ん?でも待てよ。教室や職員室ならエアコンついてるの当たり前だけど何で部員がたった一人しかいないような(しかもこんなやつ)部室にエアコンがあるんだ?まあこの学園、私立だけど。


 シイナは紅茶のカップを持ったまま部室を出る。目で追うまりあたち3人。


まりあ『どこ行くんだろ。』


カエデ『さあ?』


まりあ『で、何やってるんですか?』


 先ほどから何やらパソコンでカチャカチャやっているマヤマに問いかける。


マヤマ『え?2ちゃん。』


まりあ『ほんと文芸部のカケラもねえな。というか“ねらー”なんですか。』


カエデ『え、知らなかったの?』


まりあ『…………。』


マヤマ『2人とも見てよwwwこのコピペウケるwwwバロスwww』


まりあ『リアルに嫌悪感抱いてる人多いんで人前ではあんまり使わない方がいいですよ。(人事)』


 部室を出たシイナはB棟内を(紅茶のカップを持ったまま)ぶらぶら歩き回っている。時折、他の部室の中を覗きながら。



カエデ『ねえどうでもいいけど主要登場人物あと2人いつになったら出てくんのかな?物語進まないじゃんね。』


マヤマ『…あと2人も入ったら僕の活躍の場もっと無くなっちゃいそうだね。』


まりあ『マヤマさんだと難しいんですよ、話作るの。』


マヤマ『…………。』


カエデ(マヤマさん、そんな事言わずに私のためだけに活躍してください。きゃっ、私何考えてるんだろっ。もうっ、藍のバカバカっ。)


まりあ『ほんと何考えてんのよ…。』


カエデ『お前はエスパーかっ!!!』


まりあ『(にやついてる顔見れば察しがつくわよ。)私はエスパー伊東じゃないわよ。普通の女子高生よ。』


カエデ『つーかお前最初とキャラおもいっきり変わってんじゃねえか!!!何が魔法少女だ!!!』


まりあ『私に限ったことじゃないでしょ!最初なんかシイナは変人の設定だったじゃない!話、進めてみたら変人どころかちょっと暗い普通の高校生じゃない。』


カエデ『“爽やか”を付け足しなさいよ!!あの年であんなに女にガツガ……』


まりあ『…何よ?』


カエデ『何でもないわよ。』


まりあ『何よ!あんた何隠してんのよ!?』


カエデ『何にも隠してないわよ!それに気になるならシイナに直接聞けばいいでしょ!!』


まりあ『隠してるじゃない!!マヤマさん!カエデの胸はこれでパットが5枚も入ってるんですよ!!5枚入れてこれなんですよ!!ブラ取ったら洗濯板に干しぶど』


カエデ『まあああああありいいいいいああああああ!!!!!つーかテメエ何で知ってんだ!!!!!!!!』


マヤマ(女の子はよく分からないなあ。いっそ男にはしって…それはないか。)



 廊下の窓から夕焼けの空を眺めているシイナ。


シイナ(もうすぐ夏だなあ。)



 数分後、シイナが文芸部の部室へ戻ってきた。


どよどよん


シイナ『…何この殺伐とした空気は。』


まりあ『べっつにー。カエデが変な事言うから。』


カエデ『ほとんどオメーだろうが!!!』


マヤマ『…カエデくん、言葉遣い…。』


カエデ『あっ、やだ私ったら。ごめんなさい、マヤマさん。藍反省っ。』


 マヤマは若干引いている。


シイナ『何ケンカなんかしてるのさ。』


カエデ『私はこれからの事を話しあおうとしてただけよ。』


シイナ『…………。これからって?マヤマさんとのこと?』


 マヤマがカエデに目を向ける。




カエデ『え、や、ちょっ、ち、違うじゃないですか!私はもっと真面目な…』


マヤマ『じゃあ真面目に話し合おうよ。僕らのこれからのこと。』


カエデ『マヤマさん……。』



まりあ『困ります。新キャラ登場の伏線貼ってんだからそんなのはヨソでやってください。』


カエデ『§£Жζ√!?!?!?!?』


 シイナがさっきまで座っていた席に戻る。


まりあ『と言うかシイナはどこ行ってたのよ?』


シイナ『まあちょっと調べもの?紅茶淹れるけど誰かおかわりする?』


まりあ『はーい。』


カエデ『あ、じゃあ私も。』


マヤマ『僕もお願いするよ。』


 シイナがカップを回収していく。


シイナ『あれ?カエデ、カップは?』


カエデ『え、あれ使い捨てじゃないの?』


まりあ『…………。』


マヤマ『…………。』


シイナ『ウェッジウッドのティーカップを使い捨て………。』


マヤマ『……と、ところでシイノくん、調べものっていうのは?』


シイナ『あー…その事なんですけど(こいつ2ちゃん見てるよ…)ここの部室って以前は何かに使われてたんですか?』


マヤマ『え?文芸部の部室として使う前はどこも使ってなかったと思うけど。』


シイナ『じゃあ…前々から思ってたんですけど何でこの部室、こんなに色々と揃ってるんです。他の部室とか見てきたけどエアコンなんかついてなかったし。』


 シイナを除く3人が部室内を見渡す。


 パソコン(まあこれはいいとして)ちっちゃいキッチンスペースに給湯器、ちっちゃい食器棚、26インチのBRAVIA、スゴ録(400GB)、ソファベッド、そしてエアコン


まりあ『私たち座ってたのソファだったんだ。どうりで快適だと思った。』


シイナ『恐ろしくてあんまり聞きたくないんですけど…この品々はいったいどこから?』


カエデ『……じ、自費ですよね。マヤマさんのお父様も有名企業にお勤めになってるから…。』


まりあ『でもマヤマのババア、普通の主婦って感じだったよ。』


カエデ『わざとそう見せていただけですよねえ。ほら、ウチだってそうじゃない。』


まりあ『お風呂の足ふきマットがトラの毛皮のくせによく言うわよ。』


カエデ『あ゛ー!!あれ足ふきマットじゃないわよ!!道理でびしょびしょになってると思った!!犯人はお前か!!つーか何で人ん家の風呂入ってんだよ!!!』


シイナ『“マヤマのババア”呼ばわりについてはスルーなんだ。』




マヤマ『もちろん部費だよ。』



シイナ『…………。』


まりあ『…………。』


カエデ『…………。』



まりあ『えっと、部費の予算の割合を決めてるのは?』


シイナ『生徒会のはずだけど…。』


カエデ『…………。』


まりあ『ちょっ。マヤマさん、あんたいったい生徒会のどんな弱み握って部費こんなにふんだくってるんですか。』


シイナ『第一、部員が1人しかいないのに部活として認められるのかよ?(どさくさに紛れてタメ口)』


カエデ『も、もういいじゃん?そのことはさ…。』


まりあ(…カエデ?)


マヤマ『別に弱みなんか握ってないよ。というか逆にあいつには叶わない。』


 カエデの表情が曇っていく。

シイナ『マヤマさんの叶わない相手…。』


マヤマ『この学園の生徒会長は僕の幼なじみなんだよ。母親同士が子供の頃からの友達でね。気が強い奴なんだけどさ、なぜか僕にはサービスがいいんだ。まあ小さい頃から一緒だからね、色々知ってるから口封じって事なのかな?』


 シイナとまりあが顔を見合わせる。


カエデ『そ、そうですよね。マヤマさんたちは飽くまでもただの幼なじみなだけですよね。』


 カエデの笑顔が引きつる。


マヤマ『もちろんだよ、カエデくん。』


まりあ『青い鳥って話知ってます?チルチルミチルの。』


シイナ『こらっ。』



 その時だった。


ドンドン!


 誰かが部室のドアを叩く。


女『ショウ!いるんでしょ?開けなさいよ!』


シイナ『え、誰?呼び捨て…。』


まりあ『この部室に訪ねてくる人物が私たち以外にいたなんて……。』


マヤマ『はあ…。噂をすれば、だよ。』


カエデ『…………。』


 マヤマが扉を開く。そこにいたのは気が強そうなセミロングのきれいな女だった。


女『ショウ、大変よ…あ、この子たち?最近、仲良くしてる後輩たちって。』


マヤマ『ああ、そうだよ。』


女『ふーん。』


まりあ『あ、えっと。』


女『あ、申し遅れました。私は、この学園の生徒会長をしている結城梓彩よ。よろしくね。』



まりあ、シイナ(…アズサ…?あ、そういえばマヤマさんの家に遊びに行った時…。)



マヤマ『えと、こちらがシイノくん。』


シイナ『シイナです。』


マヤマ『そして、まりなくん。』


まりあ『まりあです。』


 アズサがまりあとシイナに小声で話しかける。


アズサ『ごめんね。この人、人の名前ちゃんと覚えないから。』


 2人は苦笑いで返した。


マヤマ『そして、カエデくん。』


カエデ『カエデです。』


アズサ(…ふーん。この子の名前はちゃんと覚えてるんだ。)


アズサ『よろしく。』


カエデ『こちらこそ。』


 カエデとアズサが目を合わせたまま、どちらも離そうとしない。


 結城梓彩との出逢い。それは、楓藍の一番望まない展開だった。

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