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10。 ノートが教えてくれたこと

キーンコーンカーンバーン。


「では今日の授業はここまでです。」



まりあ『疲れたぁ。』



シイナ『また授業中、ずっと1人でぶつぶつ喋ってたろ?』


まりあ『私そんなアブナい人間じゃありません。』



 まりあは机の中から何かを取り出そうとする。



まりあ『……ん?…あれ?…ない……。』


シイナ『何が?』


カエデ『脳みそじゃない。』


 カエデが2人の席へやって来た。



まりあ『…ノートがないの…。大事なノートが…。机の中に入れたはずなのに……。』


カエデ『ええ?何のノート?』


まりあ『大事なノート。』


カエデ『何よ、その抽象的な答えは。最後に見たのはいつなのよ?』


まりあ『……一時間目が終わってから机の中に閉まったの…。そして今は2時間目がちょうど終わった所…。』


シイナ『(何で説明口調なんだ?)じゃあつまり、まりあがノートを閉まった直後、一時間目が終わった休み時間の間に無くなったって事か。』



まりあ『……姉さん、事件です……。』



シイナ『でも、もうちょっとよく探してみたら?オレも手伝うからさ。』


まりあ『…ありがとう。でも、ちゃんと机もひっくり返して探してるのに無いの…。』




カエデ『ひぃぃぃぃっ。机がひっくり返ってる。』




まりあ『…だめ…。やっぱり無い…。これだけ探してないんだから……


姉さん、事件です。』




シイナ『もうええっちゅうに。』




まりあ『……そういえば、私さっきの休み時間色々バタバタしてて自分の席にいなかった……。犯人はきっとそのスキに……。』



シイナ『確かにまりあ、手バタバタさせながら奇声あげてスキップしながら走り回ってたよね。』



まりあ『だってトイレにも行きたかったし自販機でジュースも買いたかったし、どうすればいいか分からなかったんだもん。』


シイナ『まあ2つの物事を同時に進行させる事は難しいからね。仕方ないと思うよ。』


カエデ『何か違うと思うけど。』


 まりあは手帳(黒革)とペンを取り出す。


まりあ『で、2人はさっきの休み時間何してた?』


カエデ『ちょっと!ちょっとちょっと!』


シイナ『前にオレそれですべってるからやめな。』


カエデ『……。あんたねぇ、私たちを疑うってどういうつもりよ?』


まりあ『私はまりあではありません。名探偵まりあ。事件を解くヒントを探しているだけです。ご協力いただけますね?』


カエデ『もー、あんたは。シイナも何か言ってやりなよ!』


シイナ『ああ。わかった。名探偵まりあ、オレはずっとこの席に座ってたよ。』


カエデ『そうじゃねえだろ!!!』


まりあ『座って何してたの?』



シイナ『この前学園で拾った猫の名前何にしようかなって。』


まりあ『まだ決めてねえのかよ!!………っていうか私、名前つけたよね?ミシンだかそんな感じのつけてあげたよね?』


シイナ『ニシンだよ。』


まりあ『あっ、そうだ!そうだ!私としたことが。ニシンだニシン!元気してる??』



シイナ『まりあにも会いたいにゃあって言ってたよ。』




まりあ『あ、来た!!今キュンて来た!!矢がささった!!ハートに矢がささった!!誰かぁ!!この人現行犯で逮捕して!!放火魔よ!放火魔!!このままじゃ私ハートに火がついちゃう!!!』




シイナ『………………。』


カエデ『………………。』




まりあ『ニシンていう名前じゃ不満な訳?』


カエデ『なかったことにした…。まあシイナのセリフも問題あったと思うけど…。』


シイナ『違うよ。まりあ、ちゃんと覚えてるかなって。』


まりあ『……う〜(困り顔)怒った?』


シイナ『怒ってないよ。だからニシンと遊んであげてね。』


まりあ『うんっ。いっぱいいーーーっぱい遊ぶねっ!』


シイナ『でもオレとも遊んでくれなきゃやだよ。』


まりあ『うんっ!!いーーーーっぱい、いーーーー』


カエデ『もうええっちゅうに!!』


まりあ『カエデは?休み時間何してたの?』


カエデ『………私も、自分の席で太宰治の人間失格読んだり、後はトイレ行ったりしてたけど。』



まりあ『(………っていうかこの2人、私がいないとしゃべらないの?)なるほど。新幹線を途中で乗り換えたとしたら犯人のアリバイは崩れるって訳ね。』




カエデ『何でそこまでしてあんたのノート盗まなきゃなんないのよ。』




まりあ『じゃあ荷物検査をします。』



カエデ『はあ!?ちょっと待ちなさいよ。たかがノートでしょ?新しく作り直せばいいじゃない。今までのは私がコピーしてあげるから。』


まりあ『……勉強で使ってたノートじゃないの……。』


カエデ『ええ?じゃあ何のノートよ?』


まりあ『そ、それは…』


シイナ『いいだろ。カエデ。協力してやろうじゃん。まりあにとってそのノートはよっぽど大事な物なんだよ。』


カエデ『………。分かったわよ。バッグ持ってくればいいんでしょ。(と言いつつ私もシイナのバッグの中身気になるし。)』




 カエデがバッグを取って2人のもとに戻ってきた。


まりあ『では、まずシイナからね。』


 シイナはバッグを開ける。


まりあ『iPodに電子辞書にサイフに参考書にジャンプ………おまえは高校生か!!!』


シイナ『高校生だよ。』


まりあ『………………。じゃあ次はカエデね。』


カエデ『もう…あまりぐちゃぐちゃにしないでよ?』



 カエデのバッグを開ける。


まりあ『アルバム8冊(増えた)に(例の)ノートにボイスレコーダーにデジカメにビデオカメラにコンセントのタップにGPSに錠剤にオペラグラスに………とくに怪しいものはないわね。(しかしよくこれだけ入るな。)』


カエデ『当たり前でしょ。私、優等生だもん。』


シイナ『…本当にどこ行ったんだろな…?まりあも自分のバッグは調べてみたんだろ?』


カエデ『当然じゃない。人の調べるぐらいだもん。自分のは一番最初に調べてるでしょ。』




まりあ『……………。』




カエデ『…おい何とか言えよコラ。』



まりあ『…帰りにサーティワン寄ってこっか?』



カエデ『………もー!!!まりあは…。私、トリプルね!!!』


シイナ『まあまあ。良かったじゃん、見つかってさ。じゃあオレはまりあがかわいそうだからダブルでいいよ。』


まりあ『ごめんなさいっ。机の中じゃ心配だからってバッグに閉まったんだった。…でも、何か今回は改めて友情の大切さを教えられたよね。人を信じる心かぁ。うん。素晴らしい!』


カエデ『あんたは信じてなかったでしょー。』


まりあ『あれは冗談に決まってるじゃない。』


シイナ『ほんとに?』


まりあ『うん。信じて。』


シイナ『分かった。信じるよ。だから、まりあもちゃんとオレたちの事信じてくれよな?』


まりあ『うん!信じる…って何かおかしくない?』


カエデ『じゃあ許してあげるからノートに何書いてあるのか教えなさいよー。』


まりあ『……それは、まだダメ……。


……でも、その時が来たら2人には一番最初に見せます…。

それは、絶対に約束します…。』



 シイナとカエデは無言でただじっとまりあを見据える。




カエデ『…そっか…。わかったよ。楽しみにしてるね。』


シイナ『オレも、楽しみに待ってるよ。』







まりあ『…ねえ…』




シイナ『ん?』


カエデ『え?』






まりあ『ずっと、一緒にいてね。』






 シイナとカエデはいつもとは違うまりあの様子に少し驚き、2人で目を見合わせた後こう答えた。







シイナ・カエデ『ずっと一緒だよ。』

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