レン 2011 秋
忘れ物をして、放課後の教室に行くと、メグとアキとヒナが居た。
珍しい組み合わせだなと思ったが、
まぁたまにはヒナも女子と話するんだな、と思い。
「お~ぅ…」
美女三人が、何のお話ですか?と話し掛けるつもりだったが、
三人の会話を聞いて、思わず隠れた。
「ヒナってさ、モテるよね。」
「そ、そんな…事、」
「いやいや、モテるでしょう。謙遜とか止めてよ、気持ち悪い。」
机に肘をつき、手の平に顎を乗せたメグが、ニコニコ笑いながら、話していた。
ヒナは、そのニコニコが怖いらしく、俯いて黙ってしまっていた。
「ほら、春だったっけ…レンから告られたんでしょ?」
ヤベェ、フラれたショックで、メグに話しちゃったんだ。
フザケンナよ、メグ!!人がフラれた話を、ネタにするんじゃない!恥ずかしぃ~
顔を真っ赤にしながら、くそ~文句言ってやる!!と息巻き、
乱入しようとしたら、
「あ、あれは…違います…」
「え~何が?何が違うの?フッたんでしょ?」
「レン泣きながら、フラれた~って言ってたよ。」
な、泣いてねーよ!
「ほら、レンってちょっとナルシストだけど、顔は良いじゃない?」
ナルシストなのか、僕は…
「なんで、フッたの?」
うっ…聞きたくないような、聞きたいような。
「…」
「うわ、黙っちゃった。」
ヒナは、俯いて何も喋らなくなっていた。
なんでだ、僕をフッた理由は、そんなに言いにくい事なのか?
ちょっと気になってきた…
「なんで黙っちゃう訳?ただ理由聞いてるだけじゃない。ね、アキ?」
「うん…レン君落ち込んでたし、何でかなって…」
「…れ、レン君は、カッコいい、です。」
えっ!ヒナ僕の事、カッコいいって思ってくれてるのか…
「ね~、カッコいいよね?知らないだろうけど、」
「ヒナの事、羨ましいって子一杯いるよ?」
「うちのクラスにも、他のクラスにもね、レン好きな子一杯居るんだよ。」
「私にはマサが居るから、どうでもいいんだけどさ、」
「理由聞いてきてって、頼まれちゃった。」
「皆なんで理由知りたいのかなぁ~?春の話なのに、今更だよね~。」
とニコニコ笑いながら、話す。
「…レンの性格が嫌だった?分かるよ、チャラいしねヒナは苦手かも、」
「…そ、」
「生意気。」
「そんな理由だったら、生意気だって言われそう…性格なんてどうでもいいじゃん。みたいに。」
「まだ、学生だし恋愛は早い?」
「…」
「生意気。」
「流石、学年トップは、言うことが違うわ、ってね。」
メグは、クスクスと笑っていた。
こ、これは…メグは、何が言いたいんだ?
「ね?ヒナ…何でフッたの?」
「…」
ヒナは閉口し、俯いたままだった。
なんだこれは?
なんて答えても生意気って…
口実か?理由をつけているのか?
そうだ、これは大義名分、イジメの。
くっ…メグの野郎、僕をだしにして、イジメる気か、ヒナを…
くそっ、胸くそ悪い!
「おいっ、メグ!!」
僕はたまらず、飛び出した。
「げっ…レン、」
「汚ぇぞメグ!!僕をだしにヒナイジメる気か?」
メグは、狼狽していたようだったがすぐに、
「はぁ?何の事?」
「惚けんな!!」
「はぁ?だから何がよ?」
「てか、どっから聞いてた訳?」
「隠れて聞いていたの?」
「女子の話し隠れて聞くとか、マジキモいっつーの!」
「あ?逆ギレかよ!話しすり替えてんじゃねぇ!!」
「理由なんてどうでもいいっつの、僕は、フラれた。それだけだ!!」
「お前がどうでもよくても、他の女の子が納得いかないって話だよ!」
「ヒナ!どうなの?」
「答えなくていい!!」
メグと鼻先が触れ合うような間合いで、睨みあっていると、
「…に、新山さんをフッたのは、軽そうな人だったからです。」
まぁ、分かってたけどね。
そういう理由だよな、やっぱ…ヒナの性格だし…
でも、そんなのは関係ない。
「なんで…ヒナっコイツは、」
「き、嫌いなんです、女の子見下しているっていうか…」
「なんだ…よ、それ。」
なんなんだよ、ヒナ…僕は君を助けようと…
その言葉を聞くと、メグは、
「へぇ~、そうなんだ。」
と、僕の方を見て、ニヤリと笑った。
ヒナは立ち上がり、逃げるように帰った。
「ナイト様みたいでカッコよかったのに、」
「相当嫌われているのね…」
「あんな女、どうなったっていいじゃない。」
そう囁いて、メグとアキも帰って行った。
次の日から、ヒナへのイジメが始まった。




