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Vendetta  作者: tama
レン
5/19

レン 2011 春

僕の名前は、新山蓮。

大体、レンとか呼ばれている。

この春、晴れて高校生になった。

学園生活にも慣れてきて、友達も出来たが、何かが足りない。

彼女だ、彼女が欲しい。

まぁ、ここだけ聞くと、僕がまるで、女の子に飢えていると思うだろう。

だが、そこは否定させてもらいたい。

僕はモテる。

何故なら、顔が良い!カッコいいのだ、僕は。

しかも、背が高くて頭も良い。

モテない筈がない。

現に、中三の時まで彼女は居た。

ただ、高校入学で、彼女が県外に離れたので、別れた。

彼女は、別れたくない遠距離でもやっていける、と言っていたが、

僕は、やっていける自信がなかったし、あまり未練も無かったので、

別れた…

が、やっぱり寂しい。

ん?結局飢えているのか、僕は…

まぁいい。




僕には、意中の女の子が居た。

金城雛。ヒナと呼ばれている女の子だ。

ヒナは、とにかく可愛かった、クラス一の美少女、と呼ばれるに相応しい女の子だ。

ただ、彼女はとても内気な女の子のようだ、

男子どころか、女子と話をしているのも見たことが無い。

急に話し掛けたりしたら、警戒されるんじゃ……

などとは、微塵も考えなかった。

こんな、イケメンの僕に声を掛けられて、嬉しくない筈がない。

そう思いながら、話し掛ける。


「やぁ、ヒナちゃん。」


ヒナは、ビクッと驚き、恐る恐る僕の方に顔を向ける。


「…あっ…は、はい。」


「あはは、そんなに驚かないでよ。」


「僕は、新山蓮、レンって呼んでよ。」


「あっ…は、はい…知ってます、クラスメイトなので…」


「あ~…だ、だよね、何言ってんだろう。」


「あ、あの新山さん…」


「ん?」


「な、なにかご用ですか?」


「ああ~そっか…ちょっと話がしたいなと思って、」


「わ、私は、お話…無いです。」


ヒナは、そう一方的に告げると、逃げるように去って行った。


「…」


なるほど…こいつは手強い、

僕は、走り去っていくヒナの背中を唖然と見ながら、そう思った。




ヒナには、言葉じゃ駄目だな…

会話にならないし、だからといって、メールってのもダメな気がする。

というか、メアド聞くのに三カ月は掛かりそうだ…

なら選択肢は、ラブレター…だな。

内心ベタだなと、苦笑いしながら、手紙を書いた。

ヒナにはこんなベタなのが、効果絶大な気がする。

と変に納得していた。


「あっ…ヒナ。」


この前の反応とまったく同じように、ビクッと驚き、こちらに振り返る。


「…は、はい…何か?…」


「あの、コレ…」


うぉぉぉ!!ドキドキする!

というか、ラブレター渡すとか、よく考えたら初めてじゃないか!


「…」


ヒナは手紙を受け取って、なんだか困ったような顔をして、

やがて何かに気付いたように、顔が紅潮していった…


「よかったら、読んで。」


「あ…は、はい。よ、読ませて貰います…」


「あ~返事もくれたら、嬉しい。」


「…」


「…で、でわ…し、失礼します…」


「あっ…うん」


ヒナは、ぺこりと頭を下げ、

走り去って行った。


「っはぁ~」


と溜め息を吐く、

何やってんだ…女子なんて黙ってても、寄ってくるのに、

ヒナは確かに可愛いが、こんな苦労してまで…

いや、でもさっきの反応は、脈アリ…だよな、

自分の顔がニヤけているのに気付き、ハッとなる。

いかん、いかん…

…まぁ、待つしか無いよな。




『ごめんなさい。』

綺麗な字で、その一言が書いてあった。


「マジか…」


「僕が…フラれた。」


初めての失恋だった。

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