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Vendetta  作者: tama
アキ
4/19

アキ 2012 冬

ナオが亡くなって、十日が過ぎた。


きっと私には、罪がある。

メグにも、罪がある。

ミウにも、罪がある。


メグは変わってないと思う。

ナオの死は、さすがにショックだったみたいだったけど、

もう何もなかったように、マサと楽しそうに過ごしていた。


ミウは酷かった、頬は痩け、髪の毛は艶を失い、

いつも悲しそうな顔をしていた。

ミウは、ヒナへのイジメにあんなに嫌悪感を露わにしていたのに、

ナオに対するイジメには、積極的に参加したいた。

いや、むしろみんなを引っ張っていた立場だった。

何故?と聞いても、悲しそうなそれでいて怒っているような顔をして、

何も答えてはくれなかった。




「友達だったんだ…」


ナオの葬式の時、ミウが話してくれた。

ナオと同じ中学で、同じバスケ部だった。

明るくて楽しい、気持ちの良い奴だった、と。


「そんな友達を、殺した…」


ミウは唇を噛みながら、泣いていた。

罪を噛み締めるように、ごめんなさい、と呟いていた。




放課後、ナオの恋人だったタクちゃんが、話し掛けてきた。


「アキ…ナオの事イジメてたか?」


随分とストレートだな、と内心苦笑いしながらも、

これが私の、罪滅ぼしなのかなと思い、


「うん、イジメてた。」


タクちゃんは、息をのみ項垂れた。


「そっか…」


罵倒されると覚悟していたが、タクちゃんは酷く落ち込んでいるようだった。


「俺さ、知らなかったんだ…」


「イジメは知ってた、けど誰が?なんて…」


「なんで知ろうとしなかったんだろう。」


「俺さ、イジメてた奴恨む筋合い無いのかなって、」


タクちゃんも、罪を感じている…

悪いのは私達なのに、だから言う。タクちゃんの資格を伝える。


「そんな事無い、恨むべきだと思う。」


「私達は皆、罪を感じている…と思う。」


本当にそうなのかな、と自問していると、


「なぁアキ…ナオが何したってんだよ。理由があるのか?」


「理由…」


理由はあったと思う。ある。

でも、


「イジメに関わっていたのは、私、メグ、ミウ、レン、マサ…丸山」


丸山という名前に、腸が煮えくり返りそうになる…


「…あと、関わったって意味で、ヒナも」


「…」


「明日、話させて。」


「?」


タクちゃんは、驚いた表情で私を見る。


「私が全員集めて、皆であなたに、真実を話します。」


私は、罪を償いたかった…

許されないだろうけど、タクちゃんは怒るだろうけど、

軽蔑されるだろうけど、

吐き出したかった…罪を。




「ああ…分かった。」


アキは、ナオと仲良かったと思う。

ミウとナオは、中学の時からの腐れ縁だった。

そんな奴等が、何で…

それに、丸山は担任じゃないか…

ナオが何をしたんだろう…何も分からなかった、

明日だ、アキが約束してくれた、話すと。

知って何になるんだろう…

ナオが褒めてくれるのか?

もう居ないのに…




次の日。

下駄箱で上履きに履き替えていたら、

タタタ…と、エミが走って来た。


「っはぁ…たっ、タクちゃん…」


エミは教室の方から走ってきたようだった。

肩で息をしながら、俺の方に顔を向ける。


「どうした?そんなに慌てて、」


エミは顔面蒼白になりながら、


「アキちゃんが、死んだ…」

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