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Vendetta  作者: tama
ヒナ
11/19

ヒナ 2012 冬 前編

屋上で、紙パックのジュースを飲んでいるナオちゃんを見つけた。

ボーッとしていたが、やがて、私に気付きニコッと笑った。

昔のように、笑顔に力がなくて、胸が痛くなった…


「お、お昼は屋上で食べてるの?」


「うん、そういえばヒナとはお昼一緒したこと無かったね。」


「タクちゃん達と食べてるよ。タクちゃん達は購買部でパン奪取中。」


ははっと笑う。


「私は、お弁当だし待ってるの、一緒に食べたいしね。」


「そうだ、ヒナも一緒に食べよ?」


タクちゃんに悪いし、いいよと言ったら、


「カズ君達も一緒だし、二人きりじゃないよ。」


カズ君もノブ君も、気が利かないよね、と笑った。


ナオちゃんは、ストローを玩びながら、なんとなく聞いた。


「何か用あった?」


「あっ…」


用はあった、私はナオちゃんを捜しに屋上に来たんだ。

でも…


「な、ナオちゃん最近、元気無いなって…」


私は、今ナオちゃんが措かれてる状況を、何とかしたかった…

私なんかじゃ、どうにも出来ないだろうけど…何とかナオちゃんの役に立ちたかった、

ナオちゃん最近、元気無いなって…私は、何を言っているんだろう…

ナオちゃんが、元気ない理由、私が一番よく知っているのに…

ナオちゃんは、イジメられていた。

私へのイジメを庇っているうちに、ナオちゃんにターゲットが移っていたのだ…


「…ご、ごめんなさい。」


なんで、謝るの?って聞かれて、またごめんなさい。と答えた。

フーッと、溜め息をつくナオちゃんは、

やがて、私の目を見て、ニコッと笑ってくれた。


「イジメなんて、どうって事無い!」


「って、思ってた。」


「私には、タクちゃんが居るし、エミやヒナも居る。」


「だから実際、どうって事無かったよ…」


「でもさ、」


と句切り、俯いた。


「最近、イジメにミウが加わったんだ…」


「ミウが、だよ…」




ナオちゃんは、ミウちゃんと親友だった。

以前、ナオちゃんが話してくれた。

ミウちゃんとナオちゃんは、中学一年からの仲らしい…

互いに女子バスケ部に入部して、初めに出来た友達だった。

初めは、見た目がヤンキーで、近寄り難かったけど、

一生懸命練習するミウちゃん見てたら、距離を置いていたのがバカらしくなって、

ナオちゃんから話し掛けて、すぐに仲良くなったらしい。


「ミウってさ、弟萌えなんだよ。」


と、嬉しそうに話していた。

弟と居る時は、あっマコちゃんって言うんだけどね、

とっても優しいお姉さんになるんだよ…ギャップが凄くて、すっごい可愛いよ。

と、満面の笑みで楽しげに話してくれた。

そんな、大好きな友達から、裏切られた…




「誰にイジメられたって、平気なんだけどな…」


「ミウにイジメられると、昔の思い出とか思い出しちゃって…」


「泣いちゃうよ。」


はぁと、溜め息をつくナオちゃん。


「ミウに何があったんだろう…私が何かしたのかな?」


と、独り言の様に話して、また、はぁと溜め息をついた。


「下らないよね…イジメって。」


「って当たり前か…」


「…うん。」


「わ、私は、何時でも何処でも、ナオちゃんの味方で、傍に居るから…」


ナオちゃんが、そうしてくれた様にと、

言いたかった事を言ってみた。

すると、ナオちゃんはさっきより、少し力強い笑顔で

ありがとう、って言ったくれた。




ナオちゃんと、お腹空いたねと、話していたら。

階段の方から、ドタドタと人が、やって来た。


「購買部、マジ地獄…」


とか言いながら、タクちゃん達が、私達の隣に座る。

お弁当を食べながら、ナオちゃんが、


「私、自分でお弁当作ってるし、タクちゃんの分も作ろうか?」


「えっ、マジで?」


「ははっ、ついでだし、いいよ。」


「ちょっと!!羨ましいんだけど、それ俺のも入ってんだよな?」


と、カズ君がナオちゃんに聞いた。


「私タクちゃんの分しか、作りたくな~い。」


ナオちゃんは、舌を出しながら、タクちゃんの腕に自分の腕を絡ませた。


「ヒナに作ってもらったら?」


「ヒナも確か、自分で作ってたよね?」


急にフラれて、ビクッとなった。


「う、うん…」


「マジで!?作ってくれ!!」


カズ君は、何だかよく分からないテンションで、私に懇願してきた。

私は私で、男の子にお弁当を作るってシチュエーションにドキドキしながら、


「ぁわ、わ、私の作ったお弁当なんかで良かったら…」


「頼むよ、ヒナ!アイツ等が、ラブラブで弁当つつく姿をパン貪りながら眺めるなんて、屈辱的だ。」


イヤ、気を使って、二人きりにしてやれよ、と思ったが流した。


「ヒューヒュー、決まりだね。」


と、ナオちゃんがニッコリ笑いながら、私の肩をポンッと叩いた。


「あ、あのう、宜しいでしょうか?」


「あっノブ、居たのか?」


タクちゃんが、何気に酷いことを言った。


「いやいや、俺の弁当は?」


「「「無い。」」」


タクちゃん、ナオちゃん、カズ君の三人が、綺麗にハモり、皆で笑った。

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