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そんなに好きなら、もうその世界に転生してしまいなさい。  作者: 葉山麻代


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02 転生無双?

 10歳になり、2次魔力測定の義に呼ばれた。1次と違い、人数は少ない。魔力が有る者しか呼ばれないからだ。

 これは魔力の質を見極める測定らしい。そういえば、1次魔力測定の義の時に強い魔力があると測定されたけど、今まで使用したことがなく、質って何だろうと思った。


「スペスルーキス、こちらへ」


 年老いた神官に呼ばれる。


「はい」

「この石板に手をのせなさい。光る項目の魔法が使用できる魔法である」


 レーダーチャートのような多重の円に数値が書いてある大きな石板の中央に手をのせた。円の回りに7つの宝飾があり、これが光るらしい。空、火、水、緑、雷、土、光、と文字もあり、程度の差はあるが、以下の効力があるそうだ。


 空、空を飛べる。(該当者は皆無。過去に2人)

 火、炎を出せる。(70%)

 水、水を出せる。(80%)

 緑、植物を操れる。(5%)

 雷、電撃を出せる。(60%)

 土、土や石を操れる。(40%)

 光、癒しの光を出せる。(0.1%)

 合計が100%ではないのは、複数賜る者も多くいるからだ。


 期待を胸に、板に手をのせた。

 ボワッと板が白く光り、円の中を丸く満遍なく大きく満たしていくが、宝飾はひとつも光らなかった。


 神官や回りの者たちが慌てて、大騒ぎになった。他の測定者で試してみると正常に測定される。他の測定参加者は、円を全て満たすのではなく、適正のある宝飾が輝き、光りはレーダーチャートのようなデコボコの見た目になるのだ。宝飾が何も光らず円だけを光が満たしたことなど今までになかったらしい。


「き、君には魔法は使えないようだ。魔力値は非常に高いようだが……」

「え……」


 別室につれていかれ若い神官から話を聞いたが、普通は1次測定のあと、魔法が使えるようになるように、魔力が強かった者は学校に通い訓練を始めるらしい。そんなことは誰にも言われなかった。いや、父親から、学校へ行けないが良いのかと確認された。あれはそういう話だったのかと、今更ながら驚愕(きょうがく)した。両親には魔力がなく、幼い頃から練習が必要と言うことすら知らなかったらしい。学校に通わなくても、親が魔力待ちなら、同じ魔法くらいは効率が悪いとしても使い方を教えられるのだそうだ。


「今からではどうにもならないのでしょうか?」

「難しいだろうな」


 1度、有力貴族の養子縁組を断っているので、その貴族の手前、引き受け先が難しいらしい。


「あとは、15歳の成人の義のあと、知識の(ほこら)に入って、知識の神から知識を授かれば、何とかなるかもしれないな」


 そんな回避策があるなら何とかなるかもしれないと考えたが、知識の祠は大変危険な場所らしく、帰還率が非常に低いそうだ。


 魔力値だけは高いので、魔道具に魔力を補充して小銭を稼いだり、冒険者について回り、荷物持ちをして戦いかたを教わりながら15歳になるのを待った。


 冒険者に魔法の使い方を教わるも、一切訓練してこなかった強すぎる魔力はまったく制御できず、そのまま強い魔力を敵にぶつけて攻撃することしか出来なかった。物凄く効率が悪い。魔法が使える人なら1~5ポイントくらいの使用で雷や炎などで攻撃できるところ、200ポイントくらいの魔力をそのままぶつけるのだ。いくら人より魔力が多いと言っても、使用が200倍では、すぐに尽きてしまう。


 楽勝だと思っていた人生は、前世の使える知識が何一つ無いことに気がついた。ろくに勉強もしてこなかったし、特技もなければ、絵や音楽などの芸術系の才能もない。役立ったのは四則演算(しそくえんざん)くらいだ。時間をかけてきたのはネットゲームだけで、曲は無理でもさすがに歌は伝えられると思ったけれど、この世界で幼い頃から歌ったことなど無く、成人する頃には良く知っている歌すらうまく歌えなかった。前世では、幼稚園も小学校もたくさん歌を歌ったから歌えたらしい。料理なんて作ったこともなかったので、気の利いたものは何も作れず、全く前世無双出来なかった。1度、マヨネーズを作ろうと材料を揃えてもらったけど、どんなに混ぜてもマヨネーズにならず、貴重な卵と油を無駄にしただけだった。なぜか分量だけは覚えていて、卵の黄身と同量くらいのお酢と10倍くらいの油と一つまみの塩だ。ラノベで読んだときに、覚えやすいなと思った記憶がありそのまま覚えていたのだ。もし再び知る機会が有ったならば、しっかり作り方も学習しよう。あの主人公はいとも簡単に作っていたのになぁ。


 優しい母と、おおらかに育たててくれた父に、僕は何も返すことが出来ずにこのまま終わりたくないと思った。

 15歳の成人の義のあと、知識の祠に入る覚悟を決めた。母は泣いて引き留め、父は大反対した。帰還者が少なすぎるからだ。それでも僕は何かしたいのだ。何者にも成れないのは嫌だ。


15歳の年、知識の祠の前で、成人の義は行われた。

希望者のみ、祠の中に入ることを許された。神官が作法を教え、希望した2人のみが入ることになった。僕が先らしい。


「奥行きはそんなにありません。行き当たりに祭壇がありますので、そこで作法通りに祈り、戻ってきてください。戻らなくても1時間後に、次の人を向かわせます」


 知識の祠はダンジョンと違い、敵が出てきたりせず、罠も毒の沼もなかった。暗い中を真っ直ぐ進み、かなり歩いた先に、神を祀ったと思われる明るい祭壇が突如出現した。


 神官に習った作法にのっとり、神を呼び出す呪文を唱え、祭壇の前にひれ伏した。


「ソナタは何を願う?」


 頭の中に声が響く。


「両親に恩返しが出来るように、私に生活力を授けてください」


 魔法の使い方を教わるべきかもしれないが、感覚的に出来るようになると思えなかった。


「ソナタの魔力を全て捧げよ」

「かしこまりました」


 意識が遠くなり、その場に倒れ込んだ。

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