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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第九話【銭奴】

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 大剣が出狗の身体を捉える寸前で、竟の身体は弾き飛ばされた。突如として現れた女の飛び蹴りを、今日は真面に受けていた。


「危ない処だったねぇ!」


 出狗に駆け寄る女。


 全く面識の無い女だった。だが、人懐っこい笑みを向けている。自然と、警戒が緩んでしまいそうになる。


其奴そやつを連れて、逃げるのじゃ。今、ガルムを喪えば……我々の計画は、大きく狂う事と成る」


 出狗の前方には、小柄な老人が胡坐を掻いて宙に浮かんでいた。


 気配からは、其の力を推し測れない。


「はぁ〜い、老師!」


 どうやら、女と老人は師弟関係に在る様だった。


「矢張り、お前等が絡んでいたか」


 竟が、老人を睨み付けながら言った。


皇渦陸仙おうかろくせんと暗黒戦騎ガルム。同時に相手取るのは、流石に不味いな」


「馬鹿を申すな。御主は……最強の名を、欲しい儘にしとる。戦力的には、未だ未だ足りておらぬぐらいだ」


 何時の間にか、周囲を無数の人影が囲んでいた。


 まるで気配を持たなかった。


「《嘲りの鉈椰九しゃなく》に其処まで言われるとは、光栄だな」


 竟は、余裕の表情を浮かべていた。


「死者を使うとは、お前等も随分、人手不足の様だな」


 辺りを見廻す竟を、出狗は睨み続けた。


「そんな顔をしなくても、ちゃんと斬ってやるさ」


 竟が何かを投げて、此方へ歩み寄って来た。其の刹那、周囲の死者達の首が飛んだ。力無く倒れる死者達。


 投げられた武器が、持ち主の元へと帰っていく。どうやら、円月輪の様だ。


「役に立たない駒だったな?」


 小馬鹿にした様に、老人を見る。


「そうでもない」


 刹那、邪悪な気配が現れた。


 死者達が、魔徒と成って蘇っていた。どう謂う理屈なのか、老人は魔徒を操っている。


「御主の相手は、其奴等そやつらがしてくれる」


 竟に襲い掛かる魔徒達。


「流石に、数が多いな。こいつは、骨が折れそうだ」


 言葉の割には、余裕そうな表情で在った。


 竟の両側から、二つの影が近付いて来る。円月輪を両手に投げて、後方に飛んだ。


 二体の魔徒が、飛散していった。


「さぁ、今の内に逃げるわよ!」


 女が出狗に笑い掛ける。


 自分と年恰好は、余り変わらない。可愛らしい顔をしていた。人の気配を、感じなかった。


「出狗よ。此処は一旦、退いた方が良策の様だ」


 逃げる様に、促すガルム。


「解っている!」


 苛立ちながらも、其の言葉に従う。


 《金獅子》——夷蕗竟。


 其の名は、憶えた。


 次に相手取った時は、必ず斬ってやる。



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