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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第八話【武芸】

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「こんな所に呼び出して、何の用だ?」


 学校の屋上に刹那と神楽が居た。


「貴方に教えて貰いたいの……私の力の事を、貴方は私の事を《捧ぐ者》と言ったわ」


「矢張りお前は、何も知らずに育ったのだな。お前の家族は、優しいな。何も知らずに、普通の女子(おなご)として過ごした方が、お前に取っては幸せだぞ?」


 妖艶な笑みを浮かべて、神楽は問う。


「私は……皆の力に成りたいの。何も知らずに、護られてばかりじゃ嫌なの!」


「危険な日常を生きるよりも、平穏無事な日々を過ごした方が幾分、幸せだと思うがな。まぁ……私の知る物は皆、決まって命知らずばかりだ。ならば、教えてやろう」


「有り難う……!」


 目を輝かせる刹那。


 自分の背負う定めを知れば、其の笑みは消えるだろう。護られる日々を、無難に過ごす事だろう。


「《捧ぐ者》とは、其の名の通り己を捧ぐ者の事だ。己の命を削り、他人に力を与える事が出来る。傷を治す能力(ちから)も、備わっている。軽い怪我ぐらいなら、代償も少ない。……だが、命に関わる傷を治すならば……寿命が数年、無くなる物と思った方が良い」


「凄い……。私に、そんな力が在るなんて」


 嬉しそうに、頬を紅潮させる。


 其の表情も、直ぐに消える事に成る。


「そして《捧ぐ者》の大きな特徴は、其の身を魔徒に捧ぐ事が可能だと言う事だ。例え其れが、魔徒の王族で在ってもだ。故に、魔徒や邪悪な者に狙われ易い。尤も……お前には、封印が掛かっている。狙われる可能性は、宝くじ程度にしかない」


 表情を少し曇らせる。間違っても、封印を解きたいとは言うまい。


「戦騎騎士の力に成る方法は、無いの?」


「在るぞ。騎士を、とびきり強くする方法がな」


「どうすれば、良いの?」


「簡単な事だ。願えば良い。《捧ぐ者》の力は、祷りの力だ」


「だったら、御願い。私の封印を、解いて頂戴!」


 決意に満ちた表情。


 曇り無き其の(まなこ)を見て、神楽は満面の笑みを浮かべた。


「お前は面白い奴だな。気に入った。封印を解いてやる代わりに、私とも契約してみないか?」


「そんな事が、出来るの……?」


 驚いた表情を浮かべて、刹那が問う。


「出来るさ。私は一応、神だからな。お前の負担を、私が軽減してやろう。其の上で、力を抑える術式を授けてやる」


「どうして、其処までしてくれるの?」


「単なる私の気紛れだ。気にする事は無い。《血の定め》や《地の掟》等と言う、まどろっこしい奴も要らない。但し、私を楽しませろ。良いな?」


 笑みを浮かべて、刹那に問う。


 神楽はいつも笑みを浮かべているが、其れは表面上の事に過ぎない。本心から、笑った事が無かった。だからこそ、心の底から笑ってみたかった。刹那と契約する理由も、菴の時と同じだ。


 神楽は友として、刹那を気に入ったのだ。友と親しく成れば、愛着が湧く。菴の様に昵懇の仲に成れば、情も入る。


 刹那は、呆気に取られた様な表情を浮かべていた。


「解った。楽しませる。……けど。貴方、変わってるわね?」


「お前も充分、変わり者だ!」


 神楽は手を翳して、刹那の胸に触れた。


「今、封印を解いてやる!」



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