陸
——天界。
神々の住まう居城に、二人の騎士が跪いていた。
一人は初老の男だった。鮮やかな赤毛が印象的で在る。
もう一人は、三十代の男。其の鍛え上げられた体躯は、洗練されている。
二人は共に、天界の神と契約した天仕で在った。
《禍人の血族》と違って、天仕は何の制約も受けない。そして天仕には、不老と強大な力が与えられる。言わば、神の御遣いと成るのだ。
「良くぞ、参った。邪悪なる魔獣・タタラが復活した事は、知っているな?」
神が言った。
「我々に、タタラ討伐の命を御与え下さい」
赤毛の男——矢紅が言った。
「タタラ討伐は、矢紅。貴方、一人で赴きなさい」
「何故、大軍を率いないのですか?」
若い騎士が問う。
「【闇の牢獄】が先程、破られました」
「【闇の牢獄】が……。では、例の戦騎が解き放たれたと言う事に成る。其れと同時に、皇渦陸仙が動いた事を意味する」
「だからこそ、同じく皇渦陸仙で在る貴方達を喚び寄せたのです」
——皇渦陸仙。
天界の賢人・仙人達の頂点に位置する六人。其の内の三人が、闇に墜ちて【闇の牢獄】に幽閉されていた。
「天界は今、非常事態に在ります。天界の戦力を、タタラに割く余裕は在りません。竟、貴方は暗黒戦騎・ガルム並びに、皇渦陸仙の討伐を命じます。最強の騎士《金獅子》と呼ばれる貴方にしか、任せる事が出来ません」
「畏まりました」
二人は深々と頭を下げて、其の場を去った。




