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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第八話【武芸】

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 深淵よりも更に深く濃い闇が、何処までも広がっていた。果ての無い、何処までも終わりの無い終焉の闇。


 何者にも抗う事の出来ない闇。何者にも抜け出す事が叶わぬ闇。其れは、極界の在る場所に存在していた。【闇の牢獄】の中を、一人の少年が囚われている。四百年近くも、底知れぬ闇の中で過ごしている。


 常人ならば、完全に自我を喪い無に帰している。けれども、其の少年は違った。深い怨みを懐いていた。


 深い悲しみも又、抱いていた。其の想いに引かれる様に、囁く声が在った。


 四百年もの時間を、自我を喪わずに居られたのは、其の声のお陰だった。声は少年に、知恵を授けた。戦騎に附いて、魔徒に附いて、天界や極界に附いて。様々な知識を与えて、力の使い方を授けた。時には曾ての英雄の話しも語り継いだ。声には幾千もの知識が在る。少年には、果ての無い時が在る。語る言葉も時間も、尽きる事が無い。其れが、少年に取って救いと成った。


 少年は声と共に、牢獄を抜けだす術を探した。どうしても、此処を抜け出したかったのだ。何としても、現世に舞い戻りたい。


 晴らしたい想いが、少年には在ったのだ。曾ての友が、戦騎騎士として蘇っている。自分が【闇の牢獄】に投獄される前に、其の事実を知っていた。閻魔大王が、其の判決を下したのを少年は見ていたのだ。憎悪が弾ける様に、心を粉砕しようとしていた。四百年の時の中で、共に対する想いは更に深く成っていた。


 必ず現世に舞い戻って、曾ての友を自らの手で討つ。


 其の想いが、四百年の間に何かを産み出していた。


 産まれたばかりの其れは、神と呼ぶには余りにも幼かった。けれども、其の力は絶大だった。神の力を以ってすれば、此処を出る事が出来る。声がそう、教えてくれた。


 少年は、神と契約していた。


 己の産み出した禍神(まがつかみ)と契約した事に()り、少年は《禍人の血族》と成った。尤も産まれたての神には、《地の掟》も《血の定め》も課すだけの知恵は無い。


 声が少年に囁いた。


 ——間もなく【闇の牢獄】は破られる。


 【闇の牢獄】に幽閉されているのは、少年だけでは無い。直接には彼等と話した事は無いが、声を通じて其の存在は知らされていた。そして彼等が、禍神と契約していた事も知らされた。彼等は少年と違って、強大な力を有している。禍神を通じて【闇の牢獄】を破る為の力を錬成している。声が全て、手引きしてくれている。


 現世に舞い戻る術が間も無く整う事を知って、少年は深い闇の中で笑った。



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