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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第六話【食堂】

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 口々に、いやしい言葉を放つ男達。


 虫酸むしずが走った。


「羅刹、気持ちは解るけど……駄目よ」


「解っている」


 戦騎騎士は、人間を傷付けてはいけない。れが例え、どんなに虫酸が走る様な醜悪しゅうあくな人間でってもだ。人間を裁くのは、人間の役目だ。自分が立ち入るべきでは無かった。


 れよりも、今は魔徒だ。どの人間に、魔徒が憑いているのかを、見極めなければらない。早くしなければ又、犠牲者が出る。今迄の自分ならば、決して抱く事の無かった感情。の想いが、羅刹を焦らせている。


 ——人を、護りたい。そんな想いが、羅刹の心に芽生えていた。


「貴様等、良い加減にせんか。寄ってたかって言いおって。恥を知れ!」


 店の大将が、堪りねて叫んでいた。


「何だと、の糞ジジィが!」


 男の一人が叫んだ瞬間、魔徒が動いていた。


 少年の一人が、男の胸を手刀で刺し貫いていた。


「糞、遅かったか……」


 又、一つの命を護る事が出来なかった。


 自分は、騎士失格だ。だが、今は嘆いている暇は無かった。


 魔徒が、もう一人の男に手刀を放とうとしている。短剣を引き抜き、手刀を受け止める。悲鳴と共に、店内を混乱と恐怖がうごめいていた。


「お前達、逃げろ!」


 例え、虫酸が走る人間でろうとも、護り抜いてみせる。


 己は、戦騎騎士なのだ。


 全ての人間を護る。


 我先へと逃げる男達。


 少年と大将は、逃げなかった。


「お前達。何故なぜ、逃げない!」


「そいつは、俺の親友なんだ。見捨てるなんて、出来る訳がないだろ!」


 又、魔徒と親しい人間が傍に居る中での戦いでった。


 だが、斬る事を躊躇ためらう訳にはかない。誰かが傷付く事に成ってからでは遅いのだ。


「良く言った坊主。おい、兄さん。此処ここわしの店だ。微力びりょくながら、加勢するぞ!」


 包丁を取り出しながら、大将が笑った。


「余計な事は、しなくても良い!」


 はっきり言って、大将が居たら逆に足手纏あしでまといだ。


 居ない方が良い。


「刹那、二人を頼む!」


「……え、頼むって?」


「お前には、タリムが居る。二人の近くに居るだけで、結界が張られる。行け!」


 三者を背にかばう様にして、羅刹は前に出た。


「邪魔をするな、小僧!」


 どうやら今回の魔徒は、依代よりしろの心を完全に支配している様だ。


 最早もはや、少年の自我は何処どこにもない。


 次第に鬼神化する魔徒を睨み付けて、羅刹は戦騎を喚装かんそうした。


「華ぁ……お前、身も心も、化物になっちまったのかよぉ!」


「そうだ。奴を斬らねば、お前の友は永遠に化物のままだ!」


「そんな……」


 表情を暗くする少年。


「羅刹。魔徒の能力が、だ解らないわ。気を付けて!」


の必要は無い。俺が逃げれば、後ろの三人が死ぬ。俺には、前にしか道は無い!」


 炎をまとわせた大剣を構えて、前へと全身した。


 の突進エネルギーを利用して、魔徒へと大剣を刺し貫いた。


 其の剣に最早もはや、迷いは微塵みじんも無かった。


 人を護る。今の羅刹の胸は、其の想いで溢れていた。


 ——何が在っても、必ず護り抜いてみせる。



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