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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第五話【拳闘】

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拾弐



 羅刹は、戦騎を喚装した。


「愛する者と供に、逝くが良い!」


 刀身に炎を宿して、刀を振り降ろす。


 炎の斬撃が、二人の元へと飛来する。其れを真面まともに受けて、魔徒は消滅した。技の名は【灯燕ひえん】と言った。


 斬ったのは魔徒だけで、女の方は傷一つ付いていない。


 哭きながら、女は羅刹の頬を平手で打った。


「お願いだから、とっとと消えて……人殺し!」


「済まない……」


 立ち去る羅刹。黙って、後を追う刹那。


 大切な者だったのは、解っていた。


 互いに愛し合っていたのは、解っていた。


 けれども、魔徒は斬らねば為らない。何故ならば、自分は戦騎騎士なのだから。其れなのに何故か、胸の奥が痛かった。初めて感じる痛みで在った。


 ——羅刹。其れが、人の痛みよ。


 頭の中で、囁くタリム。


「人の……痛み?」


 ——そう。貴方に、足りなかった物の一つよ。


「そうか。此れが……」


 過去が脳裏を過ぎる。


「羅刹。さっき女の人が言った事、余り気にしないで……」


 絞り出したかの様に、刹那が口を開いた。


「いいや。本当の事さ……。俺は、人殺しだ」


「え……?」


 哀しそうな羅刹の横顔を、刹那は見た。


 お互い其れ以上、何も言わなかった。


 雪と共に只、哀しみだけが降り積もっていた。



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