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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第五話【拳闘】

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 試合を終えて、病院へ行った帰り道。六はタクシーの中で、志穂を想っていた。


 チャンピオンに成る約束。


 結婚の約束。


 ようやく、果たす時が来たのだ。ポケットの中で、指先に触れる幸せを噛み締めた。志穂に内緒で、バイトをして金を貯めた。本当に小さなダイヤで在ったが、今の精一杯の指輪で在った。


 志穂は喜んでくれるだろうか。馳せる想いが、心を逸らせる。早く志穂に逢いたかった。抱き締めたかった。


 志穂のお陰で、愛を知った。温もりに、初めて触れる事が出来た。


 志穂のお陰で、幸せを教わった。孤独の恐怖を覚えた。


 志穂に出逢えた事を、神に感謝した。


 ——と、其の時だった。


 六の乗ったタクシーが、信号無視のダンプカーにぶつかった。


 運転手も六も、即死だった。


 肉体を喪い、思念だけと成った心中で、六は神を呪った。


 ——何故、全てを手に入れた瞬間に、総てを奪う。


 運命を嘆いた。


 志穂への想いを遺す様に、ダイヤの指輪だけが残った。すがる様に、六の思念はダイヤの指輪に宿った。其れも又、やがて消え去る運命で在ったが、神は残酷で在った。


 ——消えたくないか。


 六の思念に、内なる声が囁く。


 ——消えたくない。自分には、志穂を幸せにする使命が在る。此れからなんだ。本当に、此れから始まる所なんだ。


 悲痛なる叫びが、闇を舞った。


 ——成らば、お前を生き返らせてやろう。


 六は魔徒と成って、蘇っていた。



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