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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第五話【拳闘】

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 5ラウンド目にして、六の構えは変わっていた。右構えから、左構えに成っていた。そう、六は両利き(スイッチヒッター)だったのだ。加えて、右腕をだらりと下げていた。


 ——ヒットマンスタイル。此の構えから繰り出されるジャブは、腕を鞭の様に速くしならせる。元々、ジャブとは世界最速の拳。其の最速を、更に磨き進化させたジャブが、此の技だ。


 間合いを詰めようと近付く藤堂を、斜め下から最速にして変幻自在のジャブが襲う。


 技の名は、フリッカージャブ。世界を執れる拳の一つで在る。


 被弾する藤堂。逆に距離を詰める六。六から藤堂に接近するのは、初めてで在った。通常のジャブからのワン、ツー。全て被弾する。六の拳は、決して軽くは無い。ポイントはかなり奪われてしまっているので、判定には勝機が無い。KO以外には、勝ちの目は無い。


 尤も、はなからKO勝ち以外は狙っていない。


 打ち衝ける拳の連打。業火の拳が、嵐を呑み込んでいく。ラッシュに次ぐラッシュ。藤堂は手を出せないのでは無い。手を出さないのだ。そんな事は、解っていた。


 何かを狙っているのは、理解わかっているが、今は打ち続けるしかない。


 熱が入る場内の喚声。やがて其れ等が、六の耳に入らなく成っていた。藤堂が、拳を放ってきた。被弾する六。拳を返す六。被弾する藤堂。激しい撃ち合い。激しくぶつかる業火と嵐。


 間もなく、どちらかが消滅きえる。


 僅かな六の隙を衝いて、藤堂の拳が六を刺す。


 藤堂の必殺のブローが、六の顔面に触れる。


 ——其の寸前、藤堂は崩れ墜ちた。


 六の左のクロスカウンターが、藤堂の顔面を被爆していた。


 燃え滾る闘志の炎。


 震え轟く志穂への想い。


 其の二つの炎が、業火と成って嵐を消し去った。


 其の瞬間、レフェリーが試合を停めた。


 クリスマス・イヴの夜、井上六はOPBF東洋太平洋チャンピオンに成った。


 沸き起こる喚声の中、気高き獣は勝利の雄叫びを上げた。




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