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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第三話【作家】

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 鬼神化した老人の姿は、禍々しい物で在った。


 植物を連想させる身体。其の周囲を、文字の様な物が無数に取り囲んでいた。


 さかしらな老人程、たちの悪い物は無い。横柄な態度で、全てを達観したと勘違いしている。其の様に、香流羅は虫酸が走った。其の本質は、魔徒に成ろうが変わらない。身の程を、解らせて遣る。老人を見遣りながら、香流羅は構えていた。前傾姿勢の好戦的な構えだった。


「香流羅、気を付けろ。奴の能力が、未だ解らん」


「一気に倒してしまえば、関係ない。赤丸、奴の動きを止めろ。青丸は俺に憑依しろ!」


「アイアイサ—!」


 二頭の獣が、香流羅の言葉に従う。《禍人の血族》の中には、契約した神から其の眷属で在る霊獣が与えられる。才覚の有る香流羅は、二頭の霊獣を使役していた。


 狼の姿をした赤丸。


 鷹の姿をした青丸。


 二頭を同時に使役するには、相当な精神力を有した。赤丸が俊敏な動きで、魔徒を攪乱している。魔徒は己の周囲に浮遊している文字を、赤丸に向けて放った。が、当たらない。赤丸がトップスピードに乗れば、香流羅ですら捉えるのは困難で在った。一介の魔徒では、触れる事すら至極困難で在る。


 青丸は青い光りと成って、香流羅の両腕に纏わり付いた。青い光りの羽根を宿した右腕を、香流羅は振り翳していた。氣の流れを、正確に把握しなければ、霊獣を憑依させる事は叶わない。圧倒的な才覚を、香流羅は有していた。


 無数の羽根が、魔徒を襲った。


 羽根の中に呪符の刺さったナイフが一本、紛れている。虚実を織り交ぜた攻撃を得意としていた。


 ナイフが魔徒に触れた瞬間、爆発が起きた。致命傷には至らないが、其れ為りの効果は期待できる筈だった。一足に間合いを詰めて、香流羅は小太刀を引き抜いた。


 立ち昇る煙幕を突き破って、文字が飛来する。反撃は予想していたが、得体が知れない。魔徒固有の能力で在る。全身をチリチリと、何かが焦がす。迫り来る危機を、肌が報せてくれている。


 『爆』の文字が香流羅の視界に入った瞬間、香流羅を爆発が飲み込んだ。


「危ない所だったねぇ……」


 青い光りが、香流羅の身体を包んでいた。


 咄嗟に青丸を使ってガードしていなかったら、只では済んでいなかった。


「けど、逃げられちゃったね?」


「何、奴の匂いは憶えた。直ぐに、見付かる」


 赤丸には、魔徒の追跡能力が在った。


「奴は、俺の獲物だ」


 香流羅は狡猾な笑みを浮かべていた。


「魔徒も騎士も、俺が殺してやる」


 其の瞳には、強い憎悪の光が宿っていた。



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