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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第十四話【親子】

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「此処か、タリム?」


 羅刹は静かに、問い掛ける。秘めやかな焦りが、羅刹の胸中を撫でる。


 刹那が魔徒の手に堕ちたとタリムに聞いて、血相を変えて飛び出していた。酷く落ち着かない。此の間の一件でもそうだが、刹那の身に危機が迫ると冷静で居られなく為る。騎士として、在っては為らない失態で在った。沈着冷静な判断を下さなければ、命取りに為る局面は幾らでも在る。無駄に命を落とせば、護れる物も護れない。


 目の前の建物からは、何の気配も感じられない。一見するならば、何の変哲もない家屋。邪気も感じられない。だが、タリムが此の場所を示している。刹那はタリムの分身で在るペンダントを身に附けている。譬え何処に居ようが、其の場所を特定する事が出来る。


 敷地内に入ろうとするが、結界にはばまれてしまう。


「糞ッ……!!」


 短剣を構えた儘、突撃を掛けるが弾かれてしまう。結界に身を焼かれて、羅刹の全身の皮膚はただれていた。無理やりにでも抉じ開けて遣ろうとむきに成れば成る程に、全身は焼かれていった。


 全く、自分でも酷く愚かに思えた。


「落ち着きなさい、羅刹ッ!!」


 尚も突撃を続ける羅刹を、タリムの声がいさめる。


「黙れ、タリムッ!!」


 此れ程迄に必死に誰かを護りたいと思った事は、未だ曾て無かった。其れ程迄に、羅刹の中で刹那の存在は大きく成っていた。


「羅刹よ、落ち着き給え」


 背後から、矢紅の声がした。


 振り向くと、矢紅と共に男が立っていた。確か塁留るると言ったか。物静かで、穏和おとなしい男で在る。


 塁留はゆっくりと羅刹に歩み依ると、羅刹の頬を殴り衝けた。


 激しく後方へと倒れる羅刹。


 殴られた痛みを感じる余裕も無く、羅刹の胸中を怒りが満たしていた。


「貴様、何をする!!」


 剥き出しに成った怒りが、羅刹の紅く染まった瞳に宿る。


 感情が酷く昂ぶっていた。


「お前は其れでも、戦騎騎士か。焦りに心を惑わされ、怒りに我を忘れていて、大切な者を護れるのか?」


 塁留の瞳の奥から、うれいを帯びた決意の暉を感じた。


「僕はお前みたいな奴を、騎士として認めはしないッ!!」


 塁留はレイピアを引き抜いて、呪符をかざした。


 呪符をレイピアで貫きながら、結界へと衝き出した。


 閃光と共に、結界は容易く飛散していく。


 其の瞬間、禍々しい邪気が流れ込んで来た。


「お前の出る幕は無い」


 そう良い残して、塁留は民家へと消えて言った。


 己の腑甲斐無ふがいなさに怒りが充ちて、羅刹は叫んでいた。



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