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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第十四話【親子】

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「羅刹よ……どうやら、何も知らされていない様だな?」


 穏やかな矢紅の口調。其の真摯な眼差しからは、何の悪意も感じられなかった。


 羽浄の名は、札付きと成った時から捨てた名だ。己を鬼の子と畏れ捨てた家族。己を蔑み忌み嫌う村人達。そして憎しみに、身を染める己。其れ等の過去を、厭でも思い出してしまう。


「貴方が騎士として、其の使命に目覚める迄、話すつもりは無かったの。羅刹……ごめんなさい」


「気にする事は無い。其れに……俺の中に、タリムの血が流れていても、悪い気はしない。俺は、お前に感謝している」


 其の気持ちに、嘘偽りは無かった。


 タリムは己の闇に、ずっと依り添ってくれている。幾ら感謝しても、し足りない。


「羅刹……私が君の元に来たのは、タタラの事だけが理由では無い」


 向けられた真摯な眼差しには、強い暉が宿っている。


 慈愛に満ちた優しさと、全てを射抜く様な強さを感じた。


「君の内に秘められた力を、引き出す手助けがしたい。其の心に秘めた闇に、光を当てる為に私は来たのだ」


 力強い言葉。


 不思議と心が落ち着かされる。


 矢紅には、不思議な強さを感じていた。


「君は必ず、強く成れる——そう、必ずだッ!!」


 其の言葉を受けて、胸を熱い物が焼いた。


 強く成りたかった。今の自分は、致命的に弱い。其れは随分と以前から知っている。幾度も敗北を喫して来た。其の度に。腹の奥底からどす黒い蛇が目覚めて、己の胸裏を貪り喰らって往く。負けて得られる物なんて、何一つ無い。負ければ、喪うだけだ。


 今の自分には、護りたい者が居る。決して、喪いたくは無い。


 羅刹は、短剣を静かに納刀した。



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