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咎人の詩  作者: 81MONSTER(日本を代表する怪物)ポンコツ犬のタナトス
第十一話【傀儡】(前編)

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壱



 私立晴明女学院は、魔窟と化していた。


 放課後と言う事も在って、生徒数は幾分と少なく成ってはいた。だが部活動をする生徒達の大半は、未だ校舎内に残っている。何(ど)れ程の生徒数が残っていて、何れ程の魔徒が蔓延(はびこ)っているかは杳として知れないが、状況は芳しくなかった。


 半神半人の神楽に取って、人間は取るに足らない存在だったが、嫌いでは無かった。無駄に命を落とされても、寝覚めが悪い。極力、魔徒の被害を食い止めたかった。


 尤も神楽達に其れ程の余裕は無い。


 神楽も刹那も、異能の力の持ち主では在ったが、闘える類いの能力では無かった。闘う力を有した従者——菴との合流を果たさなければ、活路は開けない。


 仄(ほの)かに押し寄せる焦燥感は、神楽の人間としての感情で在った。其れは危機感とも少し違ってはいたが、兎にも角にも神楽は僅か許(ばか)り焦っていた。


「さて、刹那よ。此の状況を、如何(いか)に切り抜けようか?」


 傍目には、神楽は余裕の佇まいで在った。


 其れは神楽の神としての見栄で在ったのかも知れない。


「解らない……けど、皆を護らなくちゃ。御願い、私に力を貸して!」


 射貫く様な真っ直ぐな瞳。


 神楽は笑みを認(したた)めながら口を開いた。


「皆を護る方法ならば、一つだけ在る。但し、かなりの危険に晒される事になるぞ?」


「私はどうなっても構わない。だから、御願い。皆を護って!」


 覚悟なら出来ていると謂う事なのだろう。


 神楽は両手を天に掲げた。遥か上空から、光が降り注ぎ校舎を包み込む。


「魔徒どもを、結界に閉じ込めた。此れで奴等は、私達だけを標的にせざるを得なくなる」


 其の言葉と共に神楽達の周囲を、三つの邪気が取り囲む。


 三体の魔徒は一様に、鉱物の身体で出来た獣の姿をしていた。


 神楽は前方の魔徒へと駆けた。其の手には、仄かに光が帯びている。


 舞う様な動きで、神楽は魔徒に触れた。其の途端、魔徒は動きを止めた。


 後方の魔徒が、猛り吠えながら飛び掛かっていた。


 身体を捻って、神楽は腕(かいな)を廻す。魔徒に触れた瞬間、魔徒は動きを止めた。


 其の一連の動作の間、刹那は詠(うた)っていた。


 祈りの籠った其の詩(うた)が、光と成って二人を包み込んでいた。


 残る魔徒が刹那に襲い掛かるが、光が魔徒の牙を遮っている。


「暫くの間、眠っていて貰うぞ」


 神楽の手に触れて、魔徒は無力化された。



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