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ミノタウロスじゃありません!  作者: name


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テンホー&チーホー

「オレを忘れてもらっちゃ、って、おっ」

「わたしも、えっ! はやっ」

 双子の意識がオモスに向いている隙に攻撃を仕掛けようとしたカイトとサクヤにチーホーの魔法が飛んできた。

 魔法は描写時間があるため発動に時間がかかる。発動速度だけならば、同じ遠距離のアーチャーと比べると格段に劣る。連射となるとなおさらだ。

 しかし、簡単に発動時間を短縮する方法がある。

 それは魔法陣の簡略化だ。

 魔法陣がある程度形になっていれば魔法は発動する。描写する速さは術者によって異なるが、早く発動させたいなら魔法陣が完成する前に魔法を放てばいい。完璧に描写する必要はないのだ。

 だが欠点もある。

 早く発動する反面、威力が落ちるのだ。

 魔法の威力は魔法を理解すること、魔法陣の意味を知り、細部まで正しく描写することで威力が上がるのだ。

 実際、複雑な魔法陣を細部まで完璧に描写できる者など殆どいないし、時間がかかり過ぎて実戦では役には立たない。

 テンホーは集中力がなく、正確に描写するのは苦手だが、早く形にする能力には長けていた。


「驚いているよテンホー」

「そうだねチーホー」

 二人は愉快そうに笑いながら踊り出した。


「あの魔法、やっかいだな」

「……うむ」

「どうにかしないと、魔法が撃てないわ」

 テンホーの魔法はサクヤよりも発動が早い。

 描写にはそれなりに集中する必要がある。動きながらでも描写できるが、攻撃をされれば集中が途切れ魔法陣が破棄される。

 さっきは間一髪躱せたが、描写しながら次は躱せるかわからない。


「テンホーをどうにかしたいが」

 カイトはチーホーをチラリと見た。

 ホプライトであるチーホーが簡単に後衛のテンホーへの攻撃を許すとは思えない。


「リーヴ何かいい作戦はないの?」

 サクヤはパーティーの頭脳であるリーヴに意見を求める。

「数の有利を活かしましょう」

 リーヴは少し考えた後、何か思いついたのか、話を切り出した。

「数の有利?」

「はい。いくらホプライトといえども一人で防げる範囲は限られています」

「そうか」

「はい。具体的には……」

 リーヴは皆に作戦を伝えた。


「いつまでも踊っていていいのですか?」

 未だに踊っている双子にリーヴは声をかけた。

「戦闘中だったねテンホー」

「忘れていたねチーホー」


「「あまりにも弱くて」」


 そう言いながら二人は笑った。


「戦っているのを忘れるなんて、見た目と同じで頭も子供ですか?」

「弱い」と言われ腹が立ったリーヴだったが、怒りを抑え、わざと小馬鹿にするような言い方をした。


「「子供だって!」」

 二人から笑顔が消え、その表情は険しくなった。


「死ね!」

 テンホーの魔法がリーヴを襲う。

「わわっと」

「死ね死ね死ね」

 テンホーは怒りで我を失っているのか、危なっかしく躱したリーヴを執拗に狙った。


「かかった」

 先程と同じようにサクヤは左へ転回した。

 リーヴは右へ右へと躱していたためテンホーの背後へ回り込む形となった。

「シールドア!!」

「……させん!」

 サクヤにシールドアタックを繰り出そうとしたチーホーをオモスが阻止する。

 いくら重装備といえども、叩きつけられたメイスをまともに食らえばただでは済まない。チーホーは盾で防がざるを得なかった。


「やったわ」

 完全にフリーとなったサクヤは狙いを定めた。


「な~んちゃって」

「キャー!!!」

 サクヤが魔法を放つ瞬間、テンホーの雷撃がサクヤを襲った。

 テンホーはリーヴに執着しているふりをしながら冷静に状況を見ていたのだ。

 攻撃を予想してなかったサクヤは躱すことができずその場に倒れた。


「サクヤ―」


 リーヴが叫ぶも、サクヤの反応はなかった。


お読みいただきありがとうございます。

次話もご一読いただければ幸いです。

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