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ミノタウロスじゃありません!  作者: name


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戦闘開始

「マイラちゃんたち大丈夫でしょうか?」

 観戦にきていたジーナは隣にいるマイに訊いた。

 登場したマイラの姿を見て、ミノワの趣味かと驚いたが、マイからあの格好はギフトであると聞き胸をなでおろした。


「彼女なら心配いりませんよ」

 心配するジーナを余所にマイは平然と返した。

「でも、あのアンコという人はDランクですよ」

 箕輪家のメンバー全員がFランクなのに対し、魔蛇のメンバーはチュン、アンコ、ドラがD、テンホー、チーホーの双子がEランクである。

 Dランクなんて大したことないと思うかもしれないが、忘れてはいけない。魔蛇のメンバーはワーカーの仕事は殆どしない。仕事をしないとランクは上がらない。

 つまりランクが高くないのは、上がらないのではなく上げてないのだ。


「問題ないでしょう」

 それはミノワたちも同じだ。ワーカーはFランクからスタートする。

 どんなに実力があってもなりたてのワーカーはFランクなのだ。

 実際にマイラと戦ったマイは、マイラの強さはFランクなど優に超えていると知っていた。


「で、でも……」

「心配するな、ジーナ。そろそろ始まるぞ。気楽に見てよーや」

 一緒にいたホーガンが、いつものお気楽な調子でそう言った。


 互いのメンバーが中央に集まり審判が注意事項を説明する。

 ユニオン戦は殺し合いではない。成り行き上死ぬことはあるが、ほとんどの場合そうなる前にレフェリーストップがかかり、その者は戦闘離脱と見なされるが、離脱者への追撃は禁止されている。

 説明が終わると、お互い東西に分かれた。


「はじめ!」

 開始の合図とともに武器を構えたチーホーとアンコがそれぞれのターゲットに向かって飛び出していく。


「「死ね」」

 アンコのスティレットがマイラを、チーホーのハルバードがカイトを襲う。


「へえ」

「チッ」

 スティレットはマイラに躱され、ハルバードは間に入った大きな盾に阻まれた。

「少しは楽しめそうだね」

 刀身を舐めながらアンコは怪しく微笑んだ。


「アタイはアンコ。死を運ぶアサシン、死のアンコさ」

「私はマイラ、いえ、箕輪マイラ。ミノワタウロスの弟子です」


 箕輪マイラ。それはブラッディ・クーガーを装着したマイラ別名、リングネームだ。

 箕輪弁慶である彼がマスクを被るとミノワタウロスになるように、自分も箕輪マイラを名乗りたいとお願いしたのだ。

 ミノワは「変じゃないか?」と渋ったが、マイラの熱意に負け承諾した。

 マイラはミノワと同じ箕輪を名乗ることで、恥ずかしい戦いはできないと自身の覚悟を決めるため、またどんなに過酷な戦いでも家族を感じて戦うことができると思ったのだ。


「箕輪の名に懸けて必ず勝ちます!」

 マイラはアンコにはっきりと言い切った。

「何だいその目は。気に入らないガキだね」

 アンコの眉間に皺が寄る。

「その生意気な目刳り貫いてやるよ!」

 アンコのスティレットが再びマイラを襲った。


「邪魔すんなよ」

 チーホーは攻撃を防いだオモスに向って不満を漏らす。


「……そうはいかん」

 オモスはパーティーの盾役、不満を言われようともこれが仕事だ。


「ストーンバレット」

「うわっ」

 左へ転回していたサクヤの放った魔法が、炸裂しチーホーは倒れこんだ。

「ナイス、サクヤ」

 倒れているチーホーに追撃しようとカイトが駆ける。


「サンダースパーク」

「おっと」

 上空からテンホーの雷魔法がカイトを襲うも後方へジャンプし回避する。

 その隙にチーホーは立ち上がり体勢を整えた。


「大丈夫かいチーホー」

「いきなり石が飛んできてびっくりしだけだよ」

 立ち上がったチーホーは何事もなかったように答えた。

「それはよかったチーホー」

「虫に刺された程度だよ」

「そうなんだ」

「でも……」


「虫がチョロチョロ目障りだな!」


 言うが否や、チーホーはサクヤをハルバードで突くが、またしてもオモスに阻まれる。


「あいつ邪魔だなテンホー」

「邪魔だねチーホー」


 オモスを見る双子の表情は明らかに変わっていた。


お読みいただきありがとうございます。

次話もご一読いただければ幸いです。

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